自らの過失が大きく、相手保険会社からの賠償金が少ない場合、自ら契約している人身傷害保険が頼りになります。本件も、当方に80%以上の過失がある故、相手への賠償請求は、弁護士費用特約を使って相手の自賠責保険へ後遺障害審査と、できるだけ治療費の自己負担分を回収するだけで終わりました。
その後、人身傷害保険の提示があまりにも低く、その請求が一番の山場となったのですが・・追加書類を提出して交渉を続け、最後には平均賃金で算定・支払ってくれたので、ご英断下さった担当者様には感謝です。
被害者さんにとっての教訓は、人身傷害の保険金請求と言えど、何もせず座していてはダメです。確実に後遺障害を立証し、丁寧に証明書・領収書を集めなければなりません。とりわけ本件のような重傷の場合は、約款を精読して精密な申立て書を作成・提出することが必要です。多くの場合、逸失利益の計算上、大きな差が生じます。それで数十、数百万円(本件は数千万円も増額!)も保険金が変わるのです。
保険約款に精通した秋葉ならではの仕事と言えます
5級2号:高次脳機能障害(20代男性・東京都)
【事案】
自転車で交差点を横断、自動車と出合い頭衝突・・自転車側が完全な赤信号。直ちに救急搬送さ、診断名はクモ膜下出血、硬膜下血種、眼窩底骨折、鎖骨骨折など。高次脳機能障害が予想された。 【問題点】
・80%以上の過失が被害者に課せられる事故で、相手損保の一括対応は望めない。まず、健保利用とその手続きに追われた。
・脳外傷起因のせん妄(脳の興奮により、性格が衝動的、攻撃的になる)から、入院先の病院で様々な迷惑行為が生じ、早々に精神科への転院が促された。ご家族としては精神科を避けたいご意向もあり、転院先の選定が急務となった。
・なんとか紹介をつてにリハビリ科への転院を果たした。そこでは、せん妄も落ち着き、1カ月ほど療養を経て退院となった。その後、整形外科、歯科での治療が進み、神経心理学検査を実施後、医師に診断書類の記載をお願いしたが・・その主治医がなかなか記載せず、催促を続けて8カ月後にようやく記載となった。 【立証ポイント】
高次脳機能障害の立証においては、いつもの作業を丁寧に進めるだけであった。問題は、主治医への(診断書記載の)催促で、最終手段として、その院の理事長と副理事長に直訴の手紙を出すに至った。
その後、自賠責保険で無事に等級認定されたが、残る人身傷害保険への請求も簡単ではなかった。休業損害の書類他、必要書類を集積して提出したが、担当者の提示では、逸失利益が”回復後に就職した先の初任給”で計算されたもので、まったく話にならなかった。その会社へ給与体系を開示していただき、障害がなかった場合の昇給モデルを計算、諸々の書類を添付して、将来の昇給の蓋然性を主張、平均賃金での支払いを求めた申立書を提出、再計算を促した。