伸筋腱損傷 (しんきんけんそんしょう)
(1)病態
伸筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されることはなく、手指を伸ばすことができなくなります。つまり、曲がったままになります。切創や挫創による開放性損傷と、創がなくて生じる閉鎖性損傷、皮下断裂があります。
皮下断裂は、突き指などの外力によって生じるもので、これが圧倒的多数です。開放損傷により、手の甲で腱が断裂したときは、MP関節での手指の伸展が不良となります。手背部の伸筋腱は、腱間結合という組織で隣の伸筋腱と連結しているので、完全に伸展することはできませんが、一定程度までの伸展は可能です。骨折と違い、強い疼痛を伴うことはありません。
DIP、PIP関節の背側での皮下断裂は、放置すると伸筋腱のバランスが崩れ、スワンネック変形やボタンホール変形という手指の変形に発展します。