(1)病態

 尺骨神経が、ギヨン管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているものです。尺骨神経は、頚椎から上腕の内側を走行し、肘の内側を下降し、手首周辺で、有鈎骨の鈎と豆状骨で構成されるギヨン管の中を通過します。

 有鈎骨骨折は、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。

   手のひら側のCT画像ですが、突起=鉤が骨折しているのが確認できます。有鈎骨の骨折により、ギヨン管症候群を発症します。   続きを読む »

【事案】

原付バイクで交差点を横断の際、右方よりの自動車と衝突、受傷したもの。救急搬送され、診断名は外傷性クモ膜下出血、頚椎・胸椎骨折、右鎖骨骨折、左肩鎖関節脱臼、肋骨骨折、右橈骨遠位端骨折、左小指基節骨骨折、右第3指骨折、右腓骨遠位端骨折など・・。

【問題点】

被害者バイク側に一時停止があり、大けがを負いながら、半分以上の過失減額が予想された。幸い、労災が適用され、治療費は減額なく済んだ。また、人身傷害への加入があり、過失分の回収余地はあった。

その前に、たくさんの受傷部位から、後遺障害を漏らさず認定させなければならない。とくに嗅覚・味覚の減退なども重なり、耳鼻科の受診・検査も必要であった。     【立証ポイント】

整形外科の医師面談にて、耳鼻科へ院内紹介頂き、T&Tオルファクトメーター検査を実施した。ご本人の自覚通り、クサい臭い(スカトール他)など一部の臭いが脱失しており、14級となった。 味覚にも減退がみられたが、微妙な減退から検査の負担を強いたとしても非該当が濃厚であるため、未実施とした。

(令和5年1月)   ※ 併合のため、他部位の認定を分離しています。   

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注目の判決?

 先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。   ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~

 事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。

 乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。

 2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。

 3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。    今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。

 当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。  

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【事案】

横断歩道を歩行・横断中、右折してきた対抗自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、スクリューと鋼線で固定した。その後、リハビリを継続し、1年半が経過していた。    【問題点】

骨折と固定の状態から。膝関節の可動域制限で12級7号の対象であったと思う。しかし、長期のリハビリで改善となった点は良いが、14級に下げられた場合、賠償金の低下を甘受しなければならない。急ぎ、症状固定に進め、痛みや諸症状から12級13号を目指すことにした。    【立証ポイント】

相談を受けてから直ちに病院同行した。改善良好ながら、「正座ができない」等、具体的な症状を診断書に記載頂き、12級へのアプローチを試みた。

結果、12級13号を容認頂いた。引き継いだ弁護士も、短い交渉で慰謝料満額と逸失利益もほぼ10年間にまとめた。可動域制限など残さず、改善させることが一番です。しかし、賠償金獲得との両立こそ完全解決と思います。   (令和6年9月)  

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【事案】

バイクで直進中、交差点で左折する自動車の巻き込みにあい衝突、転倒した際、胸腹部を強打した。救急搬送先で緊急手術も、出血と内臓損傷が激しく、残念な結果に・・。半年後、周囲の勧めで秋葉への相談となった。    【問題点】

二輪車vs自動車の巻き込み事故の過失割合は、通常20:80~10:90で争われる。相手保険会社は早々に10:90の回答であった。裁判での解決を原則とする弁護士は、いつも通り訴訟の準備に入るかに見えた。しかし、事故状況から、バイクの左側すり抜けの可能性を危惧、10:90を維持できない危険を感じていた。もし、バイク側の過失が30%となれば最悪である。    【立証ポイント】

そこで、弁護士は秋葉に現場の再現映像の作成を指示した。左折車のスピードを二段階に設定、その速度、曲がる角度、バイクからの視点など、自動車の走行動画をおよそ20通り撮影した。現場の静止画を含め、単なる巻き込み事故と断定せず、事故状況の実際を調べた。

弁護士はその調査結果を検証し、裁判の方針から任意交渉に切り替え、交渉を重ねて保険会社と合意した。異例のスピード解決となったが、弊所にとっては久々に原因調査の仕事となった。   (令和6年11月)  

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 いつも利用している東京駅八重洲口の駐輪場は、ヤンマーの地下になります。その地下スペースですが、普段は一般に開放して休憩スペースになっています。何かイベントや展示があると、以下の通りです。今回の展示はゴージャスで、思わず写真に残しました。 しかし、令和になってヤン坊マー坊も様変わり、イケ面になっています。

 

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【事案】

横断歩道を横断中、後方より左折車の巻き込みにあった。頭蓋骨骨折、急性硬膜下血種となり、救急先で息を引き取った。   【問題点】

加害者となる運転者は接触を認めず、警察が該当カメラの映像を見せても否認を続けた。ここまで認めないとは珍しい。ご家族から相談が秋葉に入り、急ぎ弁護士と共に対応を開始した。   【立証ポイント】

連携弁護士は直ちに刑事事件のフォローにあたった。否認のまま刑事裁判まで行くかと思ったが、加害者側の弁護士が誘導したのか、相手の否認は「不明」に変わった。相当の刑事罰が決まり、その結果を受けて民事裁判に着手した。およそ1年できっちり判決を取って解決させた。

明確な死亡事件の場合、弁護士の仕事が99%で秋葉の調査はほとんどない。秋葉は呆然とするご家族を励まし、共に書類収集をするだけでしたが、一応記録しておきます。   (令和6年11月)  

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