有頭骨骨折(ゆうとうこつこっせつ)

(1)病態

 有頭骨とは、中指の中手骨の真下にある手根骨の1つで、右手では有鈎骨の左横に位置しています。交通事故では、転倒した際に手をつく、あるいは、直接の打撲で骨折することが多く、自転車やバイクの事故で多く損傷する場所です。有頭骨の骨折では、手首の可動域制限と運動時の疼痛を残すことが予想されます。

 手根骨は8つの骨で構成されていますが、交通事故では、舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、有鉤骨、有頭骨で骨折が多発しています。これらの複数が骨折・脱臼していることもあります。被害者の方から激痛の訴えがなされることは少なく、平面画像のXPでは確認しにくいことが特徴です。すべての手根骨に言えますが、立体的にぐるっと観る事ができるCTが有用です。出来るだけ早期にCT検査が望まれます。   (2)治療

 骨折部が亀裂程度では、保存的に癒合を待つことになります。骨折部が離開してしまうと、当然に癒合に時間がかかります。その場合、手術となりますが、2本のスクリュー(headless compression screwなど)にて固定します。骨の欠損部が大きい場合、自家骨移植を行った上で固定します。   (3)後遺障害のポイント

Ⅰ.

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