【事案】

自転車で走行中、左方から右折してきた車に衝突され受傷。初回申請で後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。   【問題点】

骨癒合は良好であったが、抜釘後も疼痛と肩の可動域が回復せず、屈曲・外転ともに12級レベルの数値となった。ひどい骨折であったため、可動域制限も認定される可能性があると踏んで、初回申請を実施したが、わずか2週間ほどで門前払いの非該当となった。 【立証ポイント】

疼痛の残存に申請を切り替え、主治医に新たな診断書を郵送依頼したが、細かいニュアンスまでは伝わらなかったのか不完全な診断書が返却された。これでは勝負できないと判断したため、ご本人と日程を調整し、医師面談にて追記を依頼、なんとか勝負できる診断書に仕上がった。腕部の残存する症状について後遺障害診断書に記載していただいた。ご本人の困窮点を丁寧に述べた資料を作成し、異議申立手続きに付したところ、40日で14級9号認定となった。

以前は鎖骨骨幹部骨折に伴う可動域制限での認定が散見されたようにも思うが、近年ではその例をほとんどみない。医学的には、「鎖骨骨幹部骨折が肩の可動域を阻害することはほとんどなく、曲がらない理由は筋拘縮にすぎない。」という理由から「非該当」が頻発しているのではないかと思われる。遠位端骨折や肩鎖関節脱臼のような傷病名では12級6号にチャレンジしてもいいが、癒合具合や部位(骨幹部)次第では慎重にならざるを得ない。

(令和6年6月)  

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 同じ治療内容でも、使う保険制度や状態によって、治療費の値段は変わります。一般常識から外れることですが、これは医療業界の常識です。

 医療費は点数で計算します。注射が〇点、レントゲンが〇点とし、点数を加算して治療費は決まります。健康保険では1点=10円、労災は1点=12円と、公的保険の金額は、ほぼ全国的に決まっています。ただし、第3者行為の傷害、多くは交通事故になりますが、これは自由診療の扱いになります。自由ですから1点をいくらで設定しても良いことになります。平均すると20円が多いようです。つまり、多くは健康保険治療の2倍ということになります。

 交通事故で自身に過失がある場合、最後に過失分を差っ引かれますから、治療費が高額ですと手元に入る賠償金が減ることになります。そこで、健康保険や労災の使用で治療費を圧縮すると、手取りの賠償金が増える結果になります。まず、それがスタンダードな考えかたです。

 ところが、自由診療はあくまで自由、第3者行為でも健保並みに10円程度の設定をする院が存在しました。本件はその例で、非常に珍しいことだと思います。立証の内容は基本通りの作業でした。   治療費の安い病院?  

12級13号:脛骨近位端粉砕骨折(60代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で歩道を走行中、駐車場から発進してきた自動車に衝突され、受傷した。直後から強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

こちら側にも過失が出るため労災の適用を促したが、職場の理解が得られなかった。また、ひどい骨折だったため再生治療を勧められるが、どこまでを交通事故として面倒みてもらうのかについての線引きも重要な項目であった。   【立証ポイント】

治療費について確認したところ、なんと自由診療報の方が労災治療よりも安い?という珍事が判明したため、自由診療での一括対応とした。

抜釘後にMRI検査を依頼し、関節面の欠損及び外側半月板損傷が明確に立証できたため、ご本人・主治医と相談し、症状固定とすることとなった。主治医から「今回の手術は土台作りであって、将来的には人工関節になるだろう。」という説明もあったため、後遺障害診断書の見通し欄にその旨を記載していただき、万全な診断書が完成した。今回は画像所見が明らかであるため、わずか1ヶ月で12級13号が認定された。  

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