静岡県知事の失言騒動は毎度ですが、知事の弁明を聞くと、確かに全体的は良い訓示ではあると思います。ただし、一部の表現がどうしても引っかかりますし、反感を買いますし、何より、「本音ではそう思っているのかな」と思われかねない部分があったのは事実です。
行政書士はお役所に書類申請する仕事です。私達は許認可業務をしていませんが、交通事故業務であっても、各役所への問い合わせ、書類提出が頻繁です。お役所の皆様には、いつも丁寧にご対応頂き、感謝しております。一方、非常に稀ですが、大昔の昭和の香りがする担当者に出くわすこともないわけではありません。
去年、某市の健保担当者から、症状固定後の健保使用に対して、「(交通事故なので)第3者行為届を出すよう」指示を受けました。賠償を受けるべき加害者の存在がある場合、これは必須の書類です。ただし、症状固定後は賠償と切り離されるので、その届け出書類は不必要となります。丁重に、「症状固定したので、不必要と思いますが・・いかがでしょうか?」と言いましたが、「不必要かどうかは、提出後、こちらが判断します。」とぴしゃり。明らかに間違った対応ですが、それに付き合って書類5頁を無駄に書きたくありません。一層丁重に、「今まで何度も、問題なかったと思いますが、お調べ頂けないでしょうか?」と言いました。すると、半ばキレ気味に、「私の説明は間違っていない。提出しなければ、支払えない。」とぴしゃり。ここで、「なんだこの野郎!」と言ってはいけません(あくまで心の声として下さい)。知識が無いが故に、間違った対応をすること自体は仕方ないと思います。ところが、この態度、取りつく島なしの上から目線、最悪のお役所対応です。まるで、「言うこと聞けば、健保を使わせてやる」ような姿勢です。
これ以上言ってもケンカになるので、「わかりました」とそっと受話器を置き、(上の)県庁の担当部署に電話、経緯を説明し、「提出の必要はない」回答を得ました。返す刀で、先の市の担当者に電話しますとしたところ、県の担当者は「いえ、私からその担当者に連絡しておきますので大丈夫です」とのこと。役所側の間違いを内部で穏便に処理、クレームに発展しないよう配慮したのだと思います。 このエピソードから、この担当者の普段の姿勢が垣間見れると思います。普段から、無意識に「払ってやる」意識が根底にあるからこその言動に感じました。言葉は意思表明です。「自分はそういうつもりで発言したのではない。」・・確かに真意を伝えるには、前後の文脈や補足が必要な時があるかもしれません。ただし、補足は言い訳とも捉えられます。言葉は発した瞬間、切り取られる運命、そして補正は難しいのです。つまり、「どう伝えるか」より、「どう伝わるか」に尽きると思うのです。とくに優越的な立場の人は、「どう伝わるか」を軽んじると、命取りになると思います。