二分靱帯損傷(にぶんじんたいそんしょう)

(1)病態

 足関節捻挫は、腓骨と脛骨そして距骨が接する青○印部分で発生しています。ところが、足関節捻挫でも、直近の別の部位を捻挫することがあるのです。

 中でも、イラストのオレンジ色で示したY字型の二分靱帯が損傷することが多いのです。二分靭帯は、かかとを構成する踵骨(しょうこつ)、立方骨と舟状骨を固く締結する役目です。爪先立ちのような姿勢で、内返し捻挫となったとき、二分靱帯は損傷や断裂することがあります。バレーボールでジャンプ、着地で内返し捻挫となると、ほぼ確実に二分靱帯は損傷を受けるのです。   (2)症状

 踵骨前方と舟状骨との間に圧痛や腫れ、皮下出血、荷重歩行時の疼痛などが発現します。足関節の内反や底屈動作を行うと疼痛が誘発・増強されます。   (3)治療

 たかが捻挫と思っていても、二分靭帯が付着部分の骨、踵骨、立方骨、舟状骨で立方骨ごと剥がれることもあり、専門医であれば、○○骨剥離骨折もしくは裂離骨折と診断します。診断は、XP検査が中心ですが、小さな剥離骨折では、CTが効果的です。二分靱帯損傷で、損傷部が腫れ上がっているときは、足関節の捻挫と見分けがつきません。しかし、専門医が丁寧に触診すれば、足関節と二分靱帯は部位が違うので鑑別ができるのです。

 治療としては、最初はギプス固定、次に包帯固定に切り替えて2~3週間もすれば、腫脹や痛みは緩和され、後遺障害を残すことなく治癒します。剥離骨折の治療は約4~6週のギプス固定となりますが、骨片が大きければ固定術が選択されます。しかし、ここでのテーマは、足関節捻挫と診断され、パップ剤のみで放置されていることです。MRIで二分靱帯の損傷や断裂が確認されたときは、歩行時の疼痛が後遺障害の対象になります。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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