今夜はお誘いで赤坂まで。メトロから地上に上がるとTBSが目の前に。その向かい、Bizタワーのワインバルでイタリアンをつまみにワインを空けました。      甘めのメルローに合わせたのは、ロースト肉4連弾。ラムチョップ、伊風豚ハム、牛ハラミ、牛ロースのラインナップ。締めは秋のキノコが溢れるピッツァでした。    オープンテラスは、まだちょっと暑いかな。それでも、時折、涼風がビルを縫って走ります。確実に秋へ近づいているようです。    続きを読む »

 山梨♨シリーズ、この夏、未湯多い南アルプスを攻めました。    今年の酷暑には、ぬる湯が一番、1時間も浸かっていられるからです。まず、県南屈指のぬる湯、下部温泉の染み通るようなアルカリ性単純泉、一瞬冷たさを感じますが、PH8.4の滑らかな湯がほのかに体温を保ちます。何より、古湯坊 源泉館さんは足元湧出! 生まれたての泉との接触は、地球との一体感を生むものです。(写真はHPから転載させて頂きました)

   さて、今回の南アルプス最大の目的地に移ります。下部温泉から一日に数本の県営バスで1時間10分揺られながら、早川沿いをダムまで遡上、そのどん詰まりにある奈良田集落に到着します。ダム湖を見下ろす斜面に、温泉界でもその泉質が軒並み最高評価とされる、奈良田温泉・白根館が鎮座しています。(写真はダム湖)

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脳脊髄液減少症

   脳脊髄液漏出症 → 脳脊髄液減少症 → 低随液圧症候群 ・・呼称も変遷しています(順番はさだかではないですが)。タイトルは一番馴染み深い(たくさんの相談者がみえられた)、「脳脊髄液減少症」としました。

 この症例の変遷ですが、平成24年6月厚生労働省により「脳脊髄液漏出症の疾患概念と画像診断基準」がまとめられ、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が先進医療扱いに定められました(お医者さんが儲かる自由診療ですね)。さらに、平成28年4月脳脊髄液漏出症に対して、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が保険適用となりました。   (1)症状

 脳脊髄液腔から脳脊髄液(髄液)が持続的、もしくは断続的に漏出することによって脳脊髄液が減少し、頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、視聴覚機能障害、倦怠などが生じます。一連の神経症状はバレ・リュー症候群とよく似ています。それ等の症状は、横になっているときは軽減していますが、座位・立位で苦痛が増大するようです。

 画像診断についてはMRI、ミエログラフィーなどがありますが、参考的な所見に留まります。より精度を高めるには、RI脳槽・脊髄液腔シンチグラムのような専門的な手法がとられるため、確定診断も非常に稀な病態です。    診断基準について詳しく 👉 脳脊髄液減少症(CSFH) の診断基準   (2)治療

1,まずは保存療法、そして輸液(生理的食塩水/血液)を行います。食塩水や血液を使い、硬膜に外側から圧力をかけて髄液の漏出を抑えます。   2,専門外来の多くで主流となっている、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が施行されます。自身の血液を20~30CC採取して、脳脊髄液の漏出部分に注射します。簡単に言いますと、かさぶたで漏出部を塞ぐのです。専門外来として、その筆頭は山王病院で、ここ数年、ブラッドパッチを実施する病院はかなり増えました。ある病院のHPによると、ブラッドパッチの効果として、「2割が回復、5割が改善傾向、3割が効果なし」との統計を発表しています。リスクとして、硬膜外に血糊を入れるのですから、硬膜外血腫を指摘されています。回数を1~3回に留めている理由と思います。   (3)後遺障害

 そもそも、医学的に研究年月も症例も少なく、病態の存在自体を疑問視する医師も多いのです。一部の医師が積極的に臨床先行で治療・研究を推進していますが、傷病名が変わる度、健保扱いが変わったり・・どうも政治的な臭いもします。

 診断基準も厳しく、それに合致する患者はごくわずかです。自賠責保険としては、直接の診断名からの認定ではなく、神経症状の一環として、14級9号の判断でお茶を濁しています。

 その為か、後遺障害認定のために活動する団体がいくつか設立されました。主に宗教団体後援のグループが多いようです。症状に応じて、就労が困難となる7~3級や、介護状態の1~2級を訴えるのです。ただし、エビデンス(医学的な証拠)や他覚的所見に乏しいものですから、自賠責は高い等級の認定はしません。もっとも、訴える患者の数が減ったのか、最近はその活動も下火になったように思います。

 自賠責や労災で認定されない場合、裁判での判断になりますが、認定された判例は少なく、賠償金も3~5割減額など灰色解決的なものが多くを占めています。医者がわからないのだから、裁判官もわかるはずがないのです。    交通事故相談の現場では、病名が独り歩きしているのか、第一に「低髄圧液症候群です」、次いで「MTBIです」、「RSDかも?」と、自己診断する方が後を絶ちません。どうも、心身症っぽい?と見受けられる被害者さんも多いのです。その場合、私達の仕事の範囲を超えます。14級9号をとって、相応の解決を図ることが限界なのです。数年前は、脳脊髄液減少症の訴訟に注力する弁護士先生を見ましたが、結果が芳しくないのか、次々に撤退したように思います。    世の中には、現代の医学が追い付かない、難病・奇病が少なからず存在しているのです。

 

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 胸郭出口症候群、脳脊髄液減少症・・むち打ちの分類から外れますが、むち打ちを契機に、これらの診断名が付けられる被害者さんも多いものです。「むち打ち」を広義に捉え、解説に加えたいと思います。   

胸郭出口症候群

(1)症状

 頚部痛だけではなく、主に片側の上肢にしびれと冷感が生じます。人によっては、肩こり、倦怠感、様々な症状を起こします。症状はかなり広範囲のようです。

 原因ですが、少し長くなります。腕の神経は頚部から両上肢に左右にそれぞれ5本ずつ走行しています。その通り道に、胸の鎖骨下、第一肋骨に前・中・後斜角筋、斜角筋、鎖骨下筋、小胸筋が存在しています。 それらの組織の損傷、変形で血管や神経の通り道が狭くなり、血管や神経が圧迫されたり、引っ張られたりする結果、知覚鈍麻・筋力低下の神経障害が発生してくるのです。

 神経根型は頚椎の位置によってしびれる箇所が分かれますが、胸郭出口症候群は肩の動きや角度でしびれが変わることが特徴です。

 ただし、胸部の組織が、必ずしも事故の衝撃で壊れたとは言えません。加齢に従って変性をきたすケースが普通だからです。それが、事故の衝撃をきっかけに発症するのですから、損害賠償上、ややグレーな印象となります。   ◆ 引き金論

 むち打ちによる障害、その全般がグレーと言えます。事故を契機に発症し、その後半年、症状の一貫性があれば、元々の変性があったとしても、事故の衝撃で何等かの神経障害が惹起されたはず・・・。「事故が引き金となった障害」、私達はそう解釈しています。    (2)検査と治療

 簡単にできる検査は以下の通りです。

  〇 Morleyテスト  鎖骨上窩を圧迫すると、上肢が痛みます。   続きを読む »

 そもそも、むち打ちは自覚症状(痛み、しびれ等々)のみで、画像所見は不明瞭、神経学的所見もあいまい、医師も「頚椎捻挫ですから安静にしていれば治ります」となるケースが多いのです。これが保険会社が「賠償病」と暗に軽視する理由です。

 しつこく症状を訴える患者に対し、医師も最後には「精神的なものです」と言って心療内科への紹介状を渡します。医師も保険会社も、はたまた家族も、誰も自身の症状を信じてくれません。この段階で「どうしたらいいでしょうか?」と、相談者が後を絶ちません。お気持はわかりますが、その境遇を打開するのは自分です。つまり、正しい診断・治療へ辿りつく努力が必要です。    

バレ・リュー症候群

(1)症状

 例えば、痛み・しびれはもちろん、めまいやふらつき、頭痛、吐き気、耳鳴り、不眠、疲れ易い、ぼーっとするなどの異常が長期間に及ぶ場合、バレ・リュー症候群の可能性があります。

 

 1925年にフランスの神経学者バレ博士が、「頚部の疾患、外傷でありながら頭部や顔面に頑固な自覚症状を訴える症例があり、これらの症例は頚部の交感神経機能と密接な関わりを持つ」と発表したものです。さらに「深部交感神経(椎骨神経)が責任部位であり自覚的所見が症状のほとんどを占める」と続きます。つまり「自覚症状だけ!?」なのです。そんな無責任な!と言いたいですが、バレ博士の教え子リュー氏(だからバレ・リューか!)が多くの症例を集め研究を引継ぎましたが、完全解明されず現在に至ります。臨床上、その存在は知られていますが、原因や根治療法は確立していません。   (2)治療

 これは整形外科の分野から外れます。牽引や電気治療を続けても効果は望めません。早めに神経内科、ペインクリニック等専門医に診てもうらう必要があります。症状の緩和には神経ブロック(※)が有効です。その種類・方法は専門医に判断を仰ぎます。

 硬膜外ブロック、K点ブロック、星状神経節ブロックなど、注射を打つ場所は頚部になります。薬剤はキシロカイン、カルボカイン等の麻酔薬が主で、この注射は神経科の領域になります。最近では、ペインクリニックの呼称で個人開業医でも施行しています。    ※ 神経ブロック 👉 神経ブロックとは?     受傷直後は安静が大事ですが、過度の安静は頚部・肩関節の関節拘縮や、抑うつ傾向によって痛みを強めてしまうので、ポリネックでの固定は避けたほうが良いとされています。この辺が、単なる頚椎捻挫の治療と一緒にできないところです。   続きを読む »

【3】脊髄症型(正中型)

 椎間板や骨棘が、脊髄を圧迫するものです。左右の神経根への圧迫と区別して、正中型とも呼ばれます。   (1)症状

 事故後、頚部痛どころか、上肢や下肢までひどい”しびれ”が生じている場合です。例えば上肢については、両手で顔を洗うときに両手が上手く動かない、ボタンがかけずらい、歯ブラシが上手くできない、ボタンがはめられない・・。下肢については、しびれで長時間の歩行でだるさを伴い、階段昇降で痛みが走る・・。神経根圧迫であれば片側の上肢のみに症状がでることに対し、両上肢、あるいは下肢にまで及ぶ場合、(重度の)脊髄損傷か(軽度の)脊髄症型を疑うべきです。   (2)治療

 まずレントゲンで頚椎の損傷がないか確認します。次いで、MRIでヘルニアの脊髄圧迫なのか、脊髄そのものに損傷があるのかを判断します。ヘルニアの圧迫であれば神経根型と類似の治療となります。脊髄に損傷がある場合、必ずT2(高輝度所見)で撮影します。この場合は脊髄に不自然に白く光る病変部が移ります。造影剤を使うこともあります。脊髄に高輝度所見が現れた場合、脊髄損傷は確定的です。これは、「むち打ち」どころの騒ぎではなくなります。

 受傷直後は安静が第一ですが、積極的な処置として、やはり神経ブロックが有用です。症状に応じて硬膜外ブロック、星状神経節ブロックを選択します。このブロック注射は手術扱いで点数(治療費)の高さから、一部の整形外科で積極的に採用しています。しかし、腕の差がかなりでる技術なので医師選びが重要です。

 医師によっては、ステロイド治療に積極的です。副作用が強い薬剤なので、自身の症状と比べて、慎重な判断が望まれます。

 画像に現れるほどの脊髄損傷ならば、残念ながらほぼ不可逆的です。神経線維の切断された脊髄は、手術での回復は見込めません。最新の電極を埋め込む術式(脊髄刺激電極埋め込み術)も、完全ではありません。

 対して、脊髄圧迫に留まる場合でも、麻痺が進行しているケースでは手術適用となります。前方固定術が代表的で、この手術は脊髄を圧迫している椎間板を除去し、腸骨の骨片を空いた隙間に埋め込みます。こでれ、脊柱の隙間が広がり、脊髄への圧迫が除去されます。脊柱管狭窄症でも、この術式が用いられます。これも、執刀する医師により判断したいところです。 続きを読む »

【2】神経根型

   神経根型とは、上図のように脊髄から左右に派生する、神経の通る鞘(さや)に、椎間板や骨棘の圧迫が生じる状態です。左右両方への圧迫もありますが、多くは左右どちらかの圧迫で、圧迫側の上肢に放散痛(腕を走るようなビリビリしたしびれ)が発症します。スパーリングテストとは、わざと首を横に倒して、神経根への圧迫を強め、その放散痛を誘発させるものです。

右に倒すと、右腕~指がビリビリ

 これは、左右の神経根が鎖骨下の上腕神経を経由して、腕の3本の神経(橈骨神経、正中神経、尺骨神経)を経て、指先の抹消神経までつながっているからです。このように、通常の頚椎捻挫に比べて、神経症状が明らかに説明できます。     (1)症状

 肩から手指にかけてしびれを自覚します。首を曲げるとピリピリとした感覚が走ります。先の説明の通り「放散痛」が主な症状です。この状態はMRIで視認できます。薬は単なる痛み止めから、神経性疼痛に対処する「リリカ(プレガバリン)」に変更されます。それでも効かない場合、「トラムセット」など、オピオイド系(麻薬の成分入り)になります。    神経性疼痛の痛み止め薬 👉 続きを読む »

(0)エピローグ

 最初に「むち打ち」被害に遭った被害者さんに、むち打ちの概要と、解決までの道筋を説明します。     交通事故外傷の実に60%は「むち打ち」です。「むち打ち」とは俗称であり、正式にはいくつかの病態に分かれます。いずれも、治療方法が確立されたとは言い難いもので、その理学療法は、電気治療、牽引、ホットパックなど、対処療法の域をでません。痛みには、痛み止め薬が処方されます。また、徒手による整復、マッサージも有効です。頚部~肩への過緊張をとることも改善につながります。この施術、整骨院・接骨院が人気の理由と思います。     多くは安静を続ければ、一定の回復が図れます。よって、保険会社は3カ月で治療費を打ち切る算段をしています。また、仮に後遺障害14級9号が認められても、逸失利益(将来にわたる損害)を2~3年と少なくみる理由は、「いずれ、むち打ちは治るのだから・・」です。    確かに、被害者意識と相まって、症状を重く感じ、治療が長期化するケースは多いものです。被害者さん側も、ある程度の治療を経て、それでよしとする潔さは必要です。ただし、一定数の方は単なる打撲・捻挫と言った筋肉の炎症に収まらず、頚部神経への衝撃から、神経症状に陥ります。すると、痛みに留まらず、上肢のしびれ、頚から肩にかけて重だるい、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、疲労感など、不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれる「なんだか調子悪い」状態が数か月続きます。    それでも、相手損保は何か月も治療費をみてくれないでしょう。だって「たかが捻挫」と思っているからです。およそ、3カ月での打ち切りを予定しています。その場合、”単なる捻挫ではない神経症状”を訴えて、なんとか6カ月までみてもらい、症状固定とします。すぐさま後遺障害を申請、14級9号の認定を得ます。14級とは言え、弁護士に交渉を依頼すれば、主婦でも300万円を超える賠償金になります。その後、自費、あるいは健保で治療をするには、十分な資金を確保できるのです。     損保と延々と治療費を巡って争うことに「利」はありません。「離」あるのみです。予後の治療費を賠償金で確保、つまり、実利ある解決に舵を切ります。一日も早く交通事故を終わりにさせ、平穏な日常生活を取り戻すのです。いつまでも被害事故に捕らわれる日常こそ、最大の損害と思います。    対する相手損保の担当者も、早期に治療費を打切り、解決させたいのです。解決のスピードこそ、保険会社の優先事項だからです。    さて、「むち打ち」の症状は病態によって大きな幅があります。数日で軽快する軽傷から、手術を要する重症まで、症状の個人差もあり、その差は広大です。まず、自らの病態を把握し、適切な医師の治療を受ける必要があります。併せて、症状固定時に間違いのない後遺症診断と、後遺障害・等級認定が得られるよう、周到に計画・準備をします。

 その後、交通事故に長けた弁護士に委任して交渉解決、あるいは「交通事故紛争処理センター」の斡旋で解決させます。速やかに交通事故から卒業しましょう。  

【1】頚椎捻挫型

(1)症状

 多くは追突事故を受けた後に頚部に違和感が生じます。当日はレントゲンで「骨に異常ないですね」と言われ、痛み止めの薬(ロキソニン、カロナールなど)、湿布やモーラステープ、ロキソニンハップが処方されて帰ります。翌日~3日後位になると、痛みに加え、こわばり、肩が重だるい、腕から手指にかけてしびれを感じるようになります。    薬 👉 ロキソニン 湿布&モーラステープ   (2)治療

 安静が第一です。無理に動かしたりせず、痛みが和らぐのを待ちます。町の整形外科で理学療法を続けても良いでしょう。   (3)後遺障害

 医師や保険会社の言う通り、多くは「治る」ものです。したがって、週1回リハビリに通った程度では後遺障害とはなりません。もし、1か月経っても症状が軽減しない場合、早期に【2】神経根型、【3】正中型~の病態を疑い、その際、MRI撮影をして下さい。普通、個人開業医にMRIの設備がありませんので、紹介状を頂いて、総合病院での検査になるはずです。

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  (1)病態

 肉離れ、筋違いの正しい傷病名は、筋挫傷です。筋挫傷とは、筋肉や腱が打撃や無理に引き伸ばされることで生じる外傷です。筋肉組織をやや伸ばした軽度なもの、組織が完全断裂する重度なものまで、拡がりがあります。   ※ 腱・・・筋肉を骨に付着させる組織のことです。交通事故では、転倒時の打撲などで、筋肉を損傷し、筋肉の腫れや内出血が起こります。   (2)症状

 打撲部の痛み、腫れ、圧痛があり、太ももの前の筋、大腿四頭筋であれば、膝の屈曲が制限され、大腿の後部の筋、ハムストリングスであれば、膝の伸展が制限、ふくらはぎの筋、腓腹筋であれば、足関節の背屈が制限されます。受傷機転、損傷した筋肉の圧痛部位から、確定診断が行われています。   (3)治療

 損傷のレベル、範囲、血腫の存在を確認するには、エコー検査やMRIが有用です。初期段階は、安静が一番で、痛いと感じる動作は避けるべきです。

 痛みが和らぐ安定期に入ったら、血流を良くして回復を促します。血流改善には、リハビリで、温める、ストレッチ、マッサージなどが行われています。筋肉に炎症があり、炎症が筋膜に生じているときは、4~7日、炎症が筋肉の中心に生じているときは、3~5日程度で完治します。   ◆ 捻挫のしくみ?

 さて、捻挫とは、靭帯の外傷を意味しています。靭帯は骨と骨をつないでいる組織で、関節内に存在しています。靭帯には、関節が正常範囲を越えて曲がる、伸ばされることのないように安定させる役割があります。

 例えば、足首の外側の関節には、3本の靭帯があります。この靭帯は、足部が前に突出する、内側に曲がり過ぎることのないようにシッカリとつなぎ止めていますが、外側からの着地で、無理に体重が掛かると、靭帯だけでは支え切れなくなって、伸びる、断裂することになり、これを足関節捻挫と呼んでいます。 このような靱帯の外傷は、肘や膝など体内の他の関節でも発生しています。

   発生直後から痛みのために歩行が困難となります。損傷を受けた筋の部位に圧痛があり、ハムストリングスでは、膝の屈曲運動で抵抗を加えると痛みが増強し、ハムストリングスを伸ばすような動作でも、痛みが強くなります。発症機転、損傷筋の圧痛部位から損傷筋の診断をします。

 損傷程度や範囲、血腫の存在の判断には超音波検査やMRIが有用です。受傷直後は、アイシングと、伸縮包帯で圧迫し、損傷を最小限に押さえ込みます。3~5日を経過、痛みが軽くなれば、患部を暖め、ストレッチング運動により、筋の拘縮を予防し、関節の屈伸動作のリハビリ療法が行われます。再発を繰り返すことがあり、慎重に対応する必要があります。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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【事案】

自動車で信号のない交差点に進入したところ、右方から走行してきた自動車に衝突される。直後から頚腰部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

ご相談を頂いたときには既に1年が経過しており、半年で一括対応終了となったものの、長く通院した方がいいという外部からのアドバイスを鵜呑みにして、その後半年間、健康保険で通院を継続していた。加えて、一括対応中は週3回の頻度だったが、健康保険に切り替わった途端、月2回の頻度に激減していた。

【立証ポイント】

後遺障害診断書を依頼するにあたり、症状固定日を一括対応終了時に遡って作成していただく方針としたが、MRI検査未実施だったことが判明したため、MRI検査の手配後に現在の日程で症状固定する方針に切り換えた。

無事にMRI検査を終え、主治医に「所見もないし、後遺症の申請は通らないよ。」と嫌味を言われながらも後遺障害診断書を作成していただき、審査に付した。

受傷機転、一貫性、所見等いずれも△ではあったが、約2ヶ月の審査期間を経て、14級認定となった。正直、初回申請での認定は厳しいと予想しており、再審査請求を覚悟していたため、依頼者も弊所も大喜びの結果となった。

(令和5年4月)  

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 かつて、伊豆屈指の温泉街として、ハトヤのテレビCMでおなじみの伊東、本日は病院同行でした。    古っ! 昭和のCM      地元の方によると、昭和時代は大賑わいで、道行く温泉芸者、浮き輪を持った子供達、観光バスが列を成して駅前は大渋滞だったそうです。しかし、現在はスカスカ、観光客の激減は町の人口すら減少させたそうです。伊東に限らず、団体客向けの温泉地は全国同じような傾向で、会社の団体旅行は減少の一途、コロナはそのとどめを刺したようです。

 一方、隣の熱海は盛況、若者の来訪が多く、すっかり蘇った温泉街として、再生モデルとなっています。ポイントは団体客から個人客へシフトの成功と言われています。古き良き昭和の雰囲気も大事と思いますが、人を呼ぶためには、若者がSNSでバズる風景を演出できるか、にかかっているようです。

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 腓腹筋(ひふくきん)断裂・肉離れ

(1)病態

 ふくらはぎは、下腿骨の脛骨と腓骨の後方に位置するのですが、下腿骨後方は、コンパートメントと呼ばれる隔壁で、浅部と深部に分けられています。

 ふくらはぎは、浅部にある筋肉、腓腹筋とヒラメ筋で構成されており、この2つの筋肉は下腿三頭筋と呼ばれています。下腿三頭筋はアキレス腱に連結しています。   ※ コンパートメント・・・筋肉を覆う筋膜組織で構成された隔壁で、筋間中隔とも呼ばれます。   (2)症状

 ふくらはぎの痛み、内出血、ふくらはぎの一部に凹みが見られる。   (3)治療

 XPで骨折を確認し、次ぎに、超音波検査、MRIで筋肉の損傷状態を確認します。治療は、消炎鎮痛剤、局所注射、固定、物理療法で炎症を抑えますその後、運動療法で筋肉の伸張性を高め、筋肉を柔軟にし、筋力強化を行います

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 変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)      左から 「正常」  ⇒  「初期」  ⇒  「進行期」   (1)病態

 交通事故で、膝関節のプラトー骨折、脱臼、前・後十字靱帯や半月板を損傷しました。救急搬送された治療先に専門医が配置されておらず、結果、不適切な治療が行われた?事故受傷で、膝関節部は不可逆的に破壊され、切断は免れたものの、大きな後遺障害を残した?

 上記の2つのパターンでは、示談締結後の2次性疾患として、変形性膝関節症が予想されます。初期では、軟骨がすり減り、間隔が狭くなる。進行期に至ると、骨棘形成が進み、骨同士が直接にぶつかる。

 正常な膝関節の表面は、軟骨で覆われています。軟骨の働きにより、衝撃を和らげ、関節の動きは滑らかです。そして、滑膜から分泌される関節液により、大腿骨はアイススケートよりも滑らかに滑走しています。関節液は、軟骨の成分であるヒアルロン酸を含んだ粘りのある液体で、膝関節の潤滑油と、軟骨に対する栄養補給の役割を果たしているのです。   続きを読む »

 脳損傷、靭帯損傷など、軟部組織の障害立証にMRIは欠かせません。事故による骨折と、陳旧性(元々あった)骨折の区別にも有用です。したがって、治療先にMRI検査をお願いすることは、秋葉事務所の日常です。

 ところが、MRI検査ができない場合もあります。それは、骨折後、骨折部を金属で固定したケースです。MRIの高い磁力によって、金属がハレーション(光る)を起し、患部が見えなくなってしまします。病院側も、骨折の癒合を優先しますから、靭帯や半月板などの損傷は後回し、「MRIは抜釘後(金属を取ってから)にしましょう」となるのです。

 また、それ以外の事情として、「入れ墨」があります。入れ墨の染料ですが、昔は朱色に水銀の成分があり、他にも色によって鉄、亜鉛、銅があるそうです。これらが、MRIの高磁力の照射で発熱、火傷の危険となるのです。実際、熱傷の事例報告が存在します。近年のインクには、金属アレルギーを考慮して、金属が使用されていないものが多いようで、各インクの成分表も公開されています。それでも、病院の検査前の問診で、入れ墨の有無が問われ、それで検査不能と判断します。あるいは、覚悟した患者さんに対しては、熱を感じた時に速やかに検査を停止するなどしているようです。病院によっては、重症度次第でもありますが、火傷のリスクよりもMRI診断の有用性の方が高い場合は検査の強硬もあるそうです。

 それより何より、その筋の患者さんの場合は、低温火傷にでもなったら、「因縁」が最大の問題となります。病院側としては、できれば検査したくないのです。

 

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  (1)病態

 上・下肢の筋肉、血管や神経組織は、筋膜や骨間膜に囲まれており、この閉鎖された空間、構造をコンパートメント、あるいは筋区画と呼んでいます。

 下腿には、イラストで示すように、前部、外側、深後部、浅後部の4つのコンパートメントがあります。   ※ コンパートメント ・・・前腕部のコンパートメントは、屈筋群、伸筋群、橈側伸筋群の3つです。前腕部に生じたものは、コンパートメント症候群ではなく、フォルクマン拘縮と呼ばれています。

 前腕部では、屈筋群が非可逆性壊死に陥り、その末梢に拘縮や麻痺を生じることが多いのです。交通事故による大きな衝撃で、この内部に出血が起きると、内圧が上昇し、細動脈を圧迫・閉塞、筋肉や神経に血液が送れなくなり、循環不全が発生し、筋・腱・神経組織は壊死状態となります。この状態が長く続くと、元に戻らなくなってしまいます。

 元に戻らなくなることを、医学の世界では、非可逆性変化といいます。筋肉は4~12時間、神経は12時間を経過すると非可逆性となるのです。脛骨々幹部骨折に合併して、コンパートメント症候群を発症することがあり、かつての交通事故相談会では、1年間に1~2例程度を経験しています。   続きを読む »

(1)病態

 腓骨の単独骨折を解説します。腓骨骨折は、近位端骨折、骨幹部、遠位端骨折の3つに大別されます。

赤○印、上から近位端、骨幹部、遠位端

 腓骨は、脛骨と対になって下腿を形成している骨で、長管骨に属し、脛骨の外側に位置しています。右膝外側を手で触れると、ボコッと飛び出している部分がありますが、それが腓骨の近位端部です。

 膨らんでいる近位端は、腓骨頭と呼ばれています。腓骨頭の先端にはとがった腓骨頭尖があり、脛骨に接する部分に腓骨頭関節面を有しています。

 交通事故では、バイク、自転車と自動車の出合い頭衝突などで、膝の外側部に直撃を受けたときに、腓骨近位端骨折もしくは腓骨頭骨折を発症しています。

 腓骨頭部には、坐骨神経から分岐した腓骨神経が走行しており、腓骨神経麻痺を合併することがあり、そうなると、大変厄介です(腓骨神経麻痺の詳細は、その傷病名で追って解説します)。中央部の骨折は、骨幹部骨折と呼ばれています。

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【事案】

道路を横断中、左方より走行してきた自動車に衝突され、足首を骨折した。開放骨折後の骨端線損傷と診断され、経過観察を続けた。   【問題点】

骨癒合が過度に進んでいるため、骨長調整手術を行うことになった。主治医からは「成長が止まった段階まで経過観察しなければ何とも言えない。」との説明を受けたため、ご両親もどこで一区切りつけるのか迷っていた。主治医の見解やご両親のお気持ちも理解できるが、保険会社が10年近く面倒みてくれるはずがない。どこかで「症状固定」としなければならなかった。   【立証ポイント】

症状固定のメリット・デメリットを説明し、ご本人やご両親、主治医が納得するタイミングを模索した。事故から丸2年というところで折り合いがついたため、後遺障害診断時に自覚症状、開放創と脚長差の計測を依頼した。見込み欄には「今後も定期的に経過を観察する必要があり、成長に伴い、骨長に左右差が生じた場合には、再手術の可能性がある。」という関係者全員(相手保険会社は望んでいないと思われるが)が納得する文言を記載いただき、審査に付した。

子どもの骨折(しかも骨端線損傷)では十分な回復が見込め、14級9号に留まる可能性もあった。しかし、「解放骨折」の重傷性から、脚長差の後遺障害が認められた。他に13級以上の認定がなかったということも要因(その場合には、併合扱いになるため、審査が厳しくなる印象がある)の一つではないかと考える。

  今後、成長とともに脚長差が広がり、再手術ということは考えにくいが、可能性はゼロとは言えない。その点、後遺障害認定を得たことで、ご両親も納得の解決へ向かうことができる。   (令和5年8月)  

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 脛骨の骨折により、左右の脚長差が生じる短縮障害ですが、イリザロフ法や人工骨の挿入など、整復術の発達もあって、およそ改善させることができます。秋葉事務所でも、3cmの短縮障害はみたことがありません。

 1㎝の短縮障害(13級8号)はたまに認定を得ています。1㎝程度の短縮では、左右の股関節がバランスを取ってくれるので、普通に歩けます。深刻な障害ではないからこそ、13級止まりなのかと思います。

 子供さんの場合は、成長期を通して骨が爆発的に成長しますので、その過程で左右差が解消するようです。それでも、ご両親にとっては将来の障害が心配、なかなか症状固定に踏み込めないのです。本件でも、症状固定のタイミングはじめ、治療と等級確保の両立に腐心しました。   回復と損害賠償の両立は常のテーマです  

13級8号:脛骨遠位端解放骨折・短縮障害(10代男性・埼玉県)

【事案】

道路を横断中、左方より走行してきた自動車に衝突され、足首を骨折した。開放骨折後の骨端線損傷と診断され、経過観察を続けた。   【問題点】

骨癒合が過度に進んでいるため、骨長調整手術を行うことになった。主治医からは「成長が止まった段階まで経過観察しなければ何とも言えない。」との説明を受けたため、ご両親もどこで一区切りつけるのか迷っていた。主治医の見解やご両親のお気持ちも理解できるが、保険会社が10年近く面倒みてくれるはずがない。どこかで「症状固定」としなければならなかった。   【立証ポイント】

症状固定のメリット・デメリットを説明し、ご本人やご両親、主治医が納得するタイミングを模索した。事故から丸2年というところで折り合いがついたため、後遺障害診断時に自覚症状、開放創と脚長差の計測を依頼した。見込み欄には「今後も定期的に経過を観察する必要があり、成長に伴い、骨長に左右差が生じた場合には、再手術の可能性がある。」という関係者全員(相手保険会社は望んでいないと思われるが)が納得する文言を記載いただき、審査に付した。

子どもの骨折(しかも骨端線損傷)では十分な回復が見込め、14級9号に留まる可能性もあった。しかし、「解放骨折」の重傷性から、脚長差の後遺障害が認められた。他に13級以上の認定がなかったということも要因(その場合には、併合扱いになるため、審査が厳しくなる印象がある)の一つではないかと考える。

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膝窩動脈損傷(しっかどうみゃくそんしょう)

(1)病態

 鼠蹊部から膝上部まで走行する大腿動脈は、膝窩を通るところで膝窩動脈と名を変えます。

 膝窩とは、膝の後ろのくぼんだ部分です。膝窩動脈損傷は、圧倒的にバイクVS自動車の衝突で発生しています。

 大腿骨顆部骨折、膝関節脱臼、脛・腓骨開放骨折、これらの傷病名に合併することが多く、血行再建が遅れると、膝上切断となる重症例です。特に、膝関節脱臼に伴う膝窩動脈損傷の発生率は、20~40%と報告されています。

 交通事故による膝窩動脈損傷では、骨折や関節・筋損傷などの複雑な病態を合併することが多く、血行再建や観血的整復術は、専門医が担当すべき領域です。   (2)症状

 膝窩動脈損傷は、大腿骨顆部骨折、膝関節脱臼、脛・腓骨開放骨折などに合併して発症することがほとんどで、症状は、これらの骨折や脱臼に伴い、骨折部の激痛、腫れなどで立ち上がることもできませんが、膝窩動脈損傷に限って解説するのであれば、損傷下肢は全体に腫れ上がり、膝関節を中心に皮下出血が認められ、下腿の知覚障害、運動麻痺、チアノーゼが認められることもあります。   続きを読む »

膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)

上の赤は膝蓋前皮下滑液包、下の赤が脛骨粗面皮下滑液包

  (1)病態

 膝蓋前滑液包は、皮膚と膝蓋骨、膝のお皿の間に位置しており、膝に対する摩擦を和らげ、膝関節の可動域を最大にする役目を果たしています。

 交通事故では、多くが自転車で転倒、膝を強く打ったときに発症しています。頻繁な膝の曲げ伸ばしで発症することもあって、Housemaid’s Knee(女中膝)とも呼ばれています。   (2)症状

 膝蓋骨の上辺り、部分的に、直径2~3cmの腫れが出現、触れるとブヨブヨ感があります。次第に痛みが出現、腫れもやや大きくなり、膝をスムースに動かせなくなります。このとき、膝蓋前滑液包は炎症を起こしており、ドロドロの滑液包に水がたまっている状態です。   続きを読む »

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