膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

左から、正常・亜脱臼・脱臼

  (1)病態

 膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿が、膝の正面の本来の位置から外れることで、膝の構造・形態的特徴から、ほとんどは、大腿骨に対して外側に脱臼しています。膝蓋骨は膝の輪切り図では、大腿骨正面の溝にはまるような位置にあります。膝蓋骨が溝を乗り越えて外れることを脱臼、乗り越えてはいないが、ずれることを亜脱臼と呼びます。

 膝蓋骨は、太ももの側では大腿四頭筋という強い筋肉に、すねの側では膝蓋腱という線維につながり脛骨に連結しています。膝蓋骨は、曲がった膝を伸ばすときに、滑車のような役目で大腿四頭筋の筋力を脛骨側に伝えるサポートをしています。

 膝蓋骨脱臼は10代の若い女性に多く発症し、スポーツ活動中などに起こります。膝蓋骨脱臼は、ジャンプの着地などで筋肉が強く収縮したときや、膝が伸びた状態で急に脛骨を捻るような力が加わったとき、膝蓋骨を打撲したときに発症していますが、元々膝蓋骨が脱臼しやすい身体的条件、膝蓋骨に向き合う大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨の形成不全、膝蓋腱の付着部が外側に偏位しているなど、遺伝的要因のある人に起こりやすいといわれています。   (2)症状

 脱臼したときは、膝に強い痛みや腫れを生じます。脱臼を発症しても、多数例で膝蓋骨は病院に搬送される前に、元の位置に戻ります。 続きを読む »