(1)病態
高齢化社会となり、材質の改良もあって、股関節などを人工関節に置換する人が増加しています。それに伴い、人工関節周囲の骨折が増えているのです。
多くは、高齢者で、転倒を原因としたものですが、交通事故による骨折も、増加傾向です。交差点で信号待ち停止中では、右足は軽くブレーキを踏んでいます。この状態で、後方から追突を受けると、右股関節には大きな衝撃が加わります。右股関節が人工関節では、衝撃でステムが下方に沈下し、ステム周囲が骨折することがあります。
歩行者、バイクや自転車VS自動車の出合い頭衝突では、直接的な打撃を原因として、ステム周囲の骨折を発症しています。ステム周囲骨折は、大腿骨で発症することが圧倒的です。 (2)症状
症状は、局所の疼痛、腫れ、変形であり、歩けなくなります。 (3)治療
XPやCT検査で確定診断が行われています。骨折に対しては、固定術の実施ですが、人工関節が緩んでいるときは、人工関節の再置換術などが検討されることになり、画像検査では、骨折による人工関節の緩みも評価しなければなりません。
治療は、ほとんどで、手術が選択されます。骨折に対しては、プレートやワイヤーによる固定が行われ、人工関節に緩みが生じているときは、人工関節の再置換術が選択されます。粉砕骨折や、人工関節の緩みで骨量が不足しているときは、腸骨からの骨移植も行われています。 (4)後遺障害のポイント Ⅰ.