(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 人工関節では、

① 超高分子量ポリエチレンやセラミックが普及し、耐久性が15~20年と伸びたこと、

② 無菌手術室により、感染症のリスクが低下していること、

③ 変形性関節症の高齢者が増えていること、

④ 診療報酬面で利益性の高いこと、

 これらを理由として、人工股関節全置換術の件数が急上昇しています。そして、この程度で全置換術? も、少なからず、見聞しています。医大系病院から医師を招聘し、人工関節外来を新設、この治療法をセールスポイントにして、HPで宣伝している治療先も増えていますが、そんなに簡単に手術を選択して良いのか、やや疑問を持っています。

 交通事故受傷により、股関節部の粉砕骨折、寛骨臼の挫滅的な骨折では、人工股関節全置換術もやむを得ない選択となります。しかし、中程度の骨折であれば、自分の骨を使用して骨切り術を受けることが優先されます。自分の骨であれば、破損や摩耗の心配がなく、専門医であれば、高い活動性を確保してくれます。その後は、プールでの水中歩行などによる筋力トレーニングや肥満の防止に努めれば、股関節を維持させていくことが可能であるからです。手術には感染症はじめリスクが存在します。

 参考までに、体重を1kg減らすことができれば、膝関節の負担は約3kg、股関節に対しては約4kg、階段昇降時の膝においては約7kgの負担軽減ができると報告されています。

 骨切り術には、棚形成術、寛骨臼回転骨切り術、キアリー骨盤骨切り術がありますが、いずれも、関節近くの骨切りで、関節の向きを調整し、残存の軟骨部に荷重を移動させる方法が採用されています。

 私見では、医大系の整形外科で関節鏡術の実績を誇っている専門医を頼るべきです。なんでもかんでも人工関節の切りたがり救急病院、医師は避けるべきです。   Ⅱ.

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