過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)
(1)病態
胸部の外傷で紹介する傷病名の中で、もっとも軽傷なもので、後遺障害を残すこともありません。肩の力を抜いて、学習してください。
ヒトが生きるには新鮮な酸素が必要であり、呼吸によって吸い込んだ酸素は全身を巡り、細胞の中で消費されて二酸化炭素となり、肺から呼吸によって吐き出されています。つまり、呼吸とは、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すことなのです。 (2)症状
さて、過呼吸とは、呼吸が速く、浅くなることですが、この発作を目の当たりにすると、間断なく息を吐き続けるのですが、息を吸うことを忘れてしまい、白目をむいて倒れるような印象です。つまり、ヒトが無意識に行う、自然な呼吸のパターンが崩壊している状態なのです。これまでの交通事故110番の無料相談会で、複数回、そのような相談者さんが参加されました。最初は、代表の宮尾氏はじめ皆、驚愕、狼狽えました。
その後、過換気症候群を知ってからは、慣れっ子となり、代表の宮尾氏から紙袋が渡され、この袋の中で反復呼吸をするように指示をして対処しています。であれば、2、3分で元通りとなり、落ち着きを取り戻しています。過換気症候群とは、精神的な不安を原因として過呼吸になり、その結果、息苦しさ、胸部の圧迫感や痛み、動悸、目眩、手足や唇の痺れ、頭がボーッとする、死の恐怖感などを訴え、稀には失神することもある症候群のことです。
当然ですが、放置しておいても、この症状で死に至ることはありません。几帳面で神経質な人、心配症であり、考え込んでしまう人、10~20代の若者に多いとの報告がなされていますが、宮尾氏が経験した件は、全て30~40代の女性で、交通事故受傷後に、非器質性精神障害である不安神経症やパニック障害の診断がなされている被害者に限定されています。