環椎破裂骨折=ジェファーソン骨折(かんついはれつこっせつ)     (1)病態

 頭側からの垂直圧迫力の作用で、第1頚椎=環椎が外に向かって弾けるように骨折するものを環椎破裂骨折=ジェファーソン骨折といいます。環椎の前弓および後弓の抵抗の弱い4カ所が骨折するのですが、外側塊が外方に転位、脊柱管は拡大するので脊髄損傷は、ほとんど見られません。

 プールに、頭から飛び込んだとき、交通事故では、自動車同士の正面衝突、バイクの崖下への転落、歩行中に自動車の追突を受けて跳ね飛ばされたなどで発生しています。   (2)症状

 後頭部痛、頚部痛、頚椎の可動域制限。ある被害者さんは、事故直後、疼痛のため、立つことも座ることもできない、首を動かすとコクッとクリック音があり、激痛が走るので、両手で頭を支えていないと不安になると訴えていました。   (3)治療

 頚椎側面像、開口位正面像、正側面断層など4方向のXP、CT撮影で確定診断されています。

 治療は、保存的治療で、ハローベストによる外固定が行われています。被害者さんによると、しばらく動きが制限されて苦痛だそうです。

ハローベストによる外固定

   3カ月を経過しても、環軸椎に不安定性を残すときは、第2頚椎、軸椎の外側塊との後方固定術が行われています。   (4)後遺障害のポイント

Ⅰ.

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【事案】

自動車を運転中、渋滞のため停止していたところ、後続車に追突される。直後から頚部痛を発し、整形外科と接骨院に通院した。めまいもあり、耳鼻科にも並行して通院した。   【問題点】

当初、遠方の治療先への通院にタクシー使用を希望したため、相手損保の不興を買う。さらに、かかりつけの耳鼻科で、めまいの治療が加わった。早晩、打切り必至の状態から、弊所への相談となった。 脚の骨折など物理的な理由や、総じて重傷でなければ損保はタクシー通院を拒みます   【立証ポイント】

幸いなことに受傷初期なので、まず、治療計画の立て直しから着手した。通いやすい近隣の整形外科に転院、この院一本に絞って理学療法を継続、タクシー使用を控えさせた。また、耳鼻科は相手損保に一括対応を頼まず、健保使用で別治療とした。当然に既往症と事故受傷をカルテを分けて、後の診断書作成に備えた。これで、相手損保との軋轢は回避され、半年後の症状固定を無事に迎えた。

結果は、事故との因果関係が不明瞭な「めまい」での等級認定は逃したものの、外傷性頚部症候群と一括りで14級9号に落ち着かせた。私達の介入が遅れたら、等級は取れなかっただろう。   (令和5年3月)  

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