ご依頼者の持病で、少なからず腎不全を持つ方がおります。重度の患者さんは、腎臓機能を保つために透析が必要です。基本知識だけでも少し勉強したいと思います。お馴染みメディカルノート様から参照、引用しました。
【1】腎臓の働きと透析
透析とは、“透析療法”のことで、腎臓の機能が低下した場合に、その機能を人工的に置き換える治療のことです。血液透析と腹膜透析の2つの治療法があります。
腎臓は体内の水分やナトリウム、カリウムなどのミネラルの量を調節して体液の量や濃度を一定に保つはたらきや、老廃物を体の外に排泄するはたらきを持っています。腎機能が低下した状態を腎不全と呼びますが、腎不全が進行すると尿毒症と呼ばれる状態を引き起こし、放置すると命に関わる事態となります。現代の医学では、腎移植を行わない限り一度失われた腎機能を回復させることはできません。透析は低下した腎機能を代替する療法で、腎不全患者さんにとってなくてはならない治療であるといえます。
2019年の調査では、日本の透析患者数は約34万人であり、366人に1人が透析を受けているといわれています。
透析の目的は、腎臓の機能のほとんどが消失した末期腎不全や急性腎障害などの腎疾患に対して、腎臓の機能を代替することを目的とした治療です。腎臓の機能を回復させるための治療ではないため、病気の治癒を期待するものではありません。 【2】透析の種類
透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。 ① 血液透析
血液を体外に循環させ、ダイアライザーと呼ばれる透析膜を介して余分な水や老廃物を除去する方法です。ダイアライザーには透析液と、水分と小さな物質のみを通す膜(半透膜)が設置されており、余分な水や老廃物を除去して、必要な電解質などを補充することができます。通常、透析が受けられる医療機関に週3回通院し、1回4~5時間の治療を受けます。また、通院治療のほかに自宅に透析装置を設置する在宅血液透析もあります。
腎臓の機能を代行する腎代替療法の中ではもっとも普及した治療法で、日本では透析患者の96.5%が血液透析を受けているともいわれています(2015年末時点)。 ② 腹膜透析
自分の体の腹膜を透析の装置として用いる方法です。腹膜は胃や腸などを覆う膜状の組織で、お腹の中に透析液を入れておくことで腹膜を通して過剰な水分や不要な老廃物などを透析液に移動させることができます。透析液が入ったバックを1日に3~4回交換する方法(CAPD:continuous ambulatory peritoneal dialysis:持続携行式腹膜透析)と寝ている間に機械を使って自動的に腹膜透析を行う方法(APD:automated peritoneal dialysis:自動腹膜透析)があります。基本的には自宅で治療を続け、月1、2回程度通院します。
腹膜透析を長く続けることで被嚢性腹膜硬化症と呼ばれる合併症のリスクが高くなるため、一般的には腹膜透析を始めてから8年程度で血液透析や腎移植を検討します。しかし、血液透析に比べて通院が少なくて済むことや、腎臓の機能を長く残すことができるメリットがあり、若年で透析治療が必要になったときには、学業や就労などへの影響が少ない治療法です。
また、週3回の通院が困難であったり、心血管系合併症のため血液透析が選択しづらかったりする患者さんは、自宅で緩徐に行う腹膜透析が合っている場合があります。高齢で食事量が少ない患者さんは、腹膜から吸収されるブドウ糖がカロリー補充というメリットになることもあります。
そのほか、血液透析の長期化や加齢に伴う血管系の合併症やシャントの血管不足などで血液透析での透析が困難になったり、週3回の通院が困難になったりするなど、血液透析療法を続けることが患者さんや家族の生活の質(QOL)の低下につながることがあります。透析医療の人生の最終段階における医療(終末期医療)*の1つの手段として、柔軟性が高く身体的負担の少ない腹膜透析を選択する場合もあります。
*平成27年3月に厚生労働省 検討会において終末期医療から名称変更
つづく