3、血管の損傷による障害 ○ 内腸骨動脈損傷(ないちょうこつどうみゃくそんしょう)
① 病態
赤丸部分の腹大動脈は、左右2本の総腸骨動脈に分岐し、総腸骨動脈は、内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれています。内腸骨動脈は、骨盤の後方部分に分布しており、骨盤骨折による血管損傷では、大量出血につながります。さらに、豊富な側副血行路がはり巡らされており、破綻した血管からの出血は容易にとめることができません。
骨盤骨折の死因の50%は、出血であると報告されており、骨盤腔内の出血で出血性ショックを引き起こし死亡する例も、珍しくありません。 ② 症状
骨盤骨折により、骨盤内の血管や臓器が損傷されると、出血斑や血尿、血便などのほか、低血圧や意識障害などの症状が出現します。 ③ 治療
輸液・輸血にもかかわらず、血圧が上昇しないときは、ただちに内腸骨動脈造影を実施し、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術が行われています。 ※ 出血性ショック
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