圧迫骨折に対する術式? 交通事故外傷ではあまり馴染みがありませんが、骨粗しょう症の方や高齢者が転倒などの原因によって脊椎を圧迫骨折することがよくあります。骨粗しょう症患者は一千万人前後いると言われており、特に70歳以上の女性に多い病気です。交通事故外傷の圧迫骨折では保存療法が一般的であり、高い確率で11級7号か12級13号が認定されるでしょうが、今回は高齢者や骨粗しょう症患者が圧迫骨折をした場合に、どのような処置が施されるのか記載してみます。 高齢者や骨粗しょう症患者は、圧迫骨折によって寝たきりの状態につながる危険性があるため、保存療法ではなく経皮的椎体形成術と呼ばれる手術を行うことが多いようです。経皮的椎体形成術はPVP若しくはVPとBKPに分類されます。どちらも同じような手術ではありますが、違いが少しあります。 ○ PVPとは、Percutaneous(経皮的) Vertebro(これはエスペランサ語らしく、英語ではVertebralとなり脊椎のという意味)Plasty(形成する)の略で、圧迫された椎体内に医療用のセメントを注入することによって、瞬時に補強固定し、かつ痛みをとるため、その後の椎体圧迫の進行を抑える治療です。 ○ BKPとは、Balloon(風船) Kypho(後弯) Plasty(形成する)の略で、先程説明したPVPとほとんど同じですが、セメントを注入する前に造影剤入りのバルーンカテーテルを差し込み、膨らませ、椎体を元の形に戻します。(このとき、15分ほど放置するようです。)元の形に戻った椎体内には空洞ができますので、その空洞にセメントを注入し、補強固定します。 どちらも健康保険適用ですが、病院によっては自由診療となる場合がありますので、注意が必要です。尚、PVPは局所麻酔ですが、BKPは全身麻酔でレントゲン透視をしながら行いますので、PVPよりも時間がかかります。しかしながら、バルーンを使った方が入血栓のリスクが軽減され、より安全性も高いようです。BKPはより訓練を積んだ医師しか行うことができないため、限られた病院でしか実施できないみたいです。 先日、同居している祖母が転倒し、圧迫骨折の診断で即入院、GW中に上記手術を行うことになりましたため、この記事を書かせていただきました。この処置が交通事故被害者にも実施することになれば、11級7号の認定が激減することになるでしょうね。 続きを読む »
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4月
2022