本日はクライアントさんと打ち合わせで渋谷に。近年、常時開発中の街ですから、久々に駅を降りると通路・出口が変わっています。表題、広末 涼子さんの歌を思い出します。

 今回の相談は、相手が無保険で、被害者さんは数か所の骨折です。毎度のことですが、加害者が直接対応しますから、何かとちぐはぐ、上手く話が進みません。治療費も一部だけ支払い、自賠責保険に自ら15条請求(加害者請求=加害者が支払った治療費等を取り戻す作業)を画策しています。したがって、「診断書を取ってこちらに渡して下さい」との一点張りです。全額治療費を負担した後ならまだしも、これでは、被害者さんも当惑してしまいます。

 保険会社がないと言う事は、加害者・被害者が直接交渉して進めていくしかありません。それは、たいてい上手く進みません。それだけ、もめ事には間に入る存在=保険会社の役割が必要なのです。

 結局、相手は弁護士に一任、さっさと引っ込みました。そして、相手の弁護士から「今後、話し合いは当方代理人が受け持ちます」との通知が届き、被害者側は泡を食うのです。被害者さんは「弁護士を雇うお金があれば、治療費程度は支払えよ(怒)!」と思うわけです。

 このような経緯は毎度のことです。被害者側も弁護士を介入させて、双方、代理人同士で交渉がベターです。交渉事は連携弁護士に託し、弊所は保険手続きを担う事にしました。これにて16条請求(被害者請求=被害者が相手の自賠責保険に治療費や慰謝料請求する流れ)に変更します。任意保険未加入かつ、治療費を全額持たないような相手に、自賠責保険の手続きを任せるのは不安ですから。    

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【事案】

歩行中、立体駐車場に入庫しようと右折してきた車に衝突され受傷した。以来、全身に渡る骨折で苦しむことに。   【問題点】

リハビリ病院に依頼したとされる後遺障害診断書が既に完成していたが、可動域の記載がなかったため、計測の依頼をしに行かなければならなかった。

【立証ポイント】

面談にて可動域を確認すると、10級レベルの制限が残存していたため、病院と介護施設での日程調整を図り、理学療法士さんに計測をしていただいた。両足関節に可動域制限が残存していたため、医師に「左右差ではなく、日整会の基準値と比較してほしい。」と記載していただいたが、左足関節には器質的損傷がないことから非該当、右足関節は12級7号認定となった。

日整会の基準値と比べたのか、左右差で比べたのか理由は判然しなかったが、高齢者が事故によって車いす生活になったことによる左足関節の拘縮については、やはり認めないという点を改めて感じた案件となった。

※ 併合の為、分離しています

(令和3年10月)  

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 高齢者の多くは、事故の衝撃から一か所の骨折で済まず、複数の骨折(多発骨折)となる傾向です。本日の例は昨日の両手首と片足を骨折した被害者と同一です。つまり、四肢の内3本、おまけに鎖骨・肋骨・骨盤も折れた。さらに、骨折は無かったが、脊椎は過伸展損傷(簡単に言うとエビぞりになってひどく痛めた)で手術となりました。

 もう、これだけ人体の破壊があれば、80歳を超える年齢から車イス脱却は大変、歩行器や杖なしの独歩はほとんど不可能です。介護等級も容易に認められました。しかし、自賠責の認定基準からは、受傷箇所にそれぞれ等級を付けて、併合○級との判断に留まります。骨折後、各機能が弱ってしまうことは二次的な障害ですから、直接因果関係を絶対条件にする自賠責は「介護」としての等級を認めません。介護等級は頭部外傷や脊髄損傷など、直接に日常生活の動作が奪われる重傷例に限られます。結局、高齢者は事故を引き金に介護状態に陥ったとしても、「年寄りはケガがなくても、いずれ介護状態になるもの」とされてしまうのです。     これについては、賠償保険の限界を感じます。実態に即した介護状態と、それに至った因果関係の立証は、後の賠償交渉で実現するしかありません。連携弁護士の頑張りに期待して引き継ぎました。    もう一つの論点として、過伸展損傷による機能障害の認定は珍しく、弊所で初の認定となりました。   一人で5人分の後遺障害です  

12級5号:鎖骨骨折、肋骨骨折、骨盤骨折 +8級2号:胸腰椎 過伸展損傷(80代女性・神奈川県)

【事案】

歩行中、立体駐車場に入庫しようと右折してきた車に衝突され受傷した。以来、全身に渡る骨折で苦しむことに。   【問題点】

リハビリ病院に依頼したとされる後遺障害診断書が既に完成していたが、後方固定術の記載がなく、詳細は主たる病院に記載してもらうようにという内容だったため、救急搬送先の病院に作成依頼をしに行かなければならなかった。

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【事案】

歩行中、立体駐車場に入庫しようと右折してきた車に衝突され受傷した。以来、全身に渡る骨折で苦しむことに。   【問題点】

リハビリ病院に依頼したとされる後遺障害診断書が既に完成していたが、可動域の記載がなかったため、計測の依頼をしに行かなければならなかった。

【立証ポイント】

面談にて可動域を確認すると、12級レベルの制限が残存していたため、病院と介護施設での日程調整を図り、理学療法士さんに計測をしていただいた。

両手関節に受傷、両方、可動域制限が残存していたため、医師に「左右差ではなく、日整会の基準値と比較してほしい。」と記載していただき、無事に両手関節それぞれ12級6号認定となった。このような賠償上のことなど治療者は知りません。

※ 併合の為、分離しています

(令和3年10月)  

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 機能障害の代表は関節の可動域制限です(逆に不安定性が残る動揺関節もあります)。腕や脚を骨折した方にはお馴染みですね。骨折が関節部に及べば、関節の複雑な構造が破壊され、骨が癒合しても何かと不具合が残るものです。

 その障害程度を判定する場合、肩・肘・手首、股関節・膝・足首などは関節の曲がり具合を左右差で3/4、1/2、あるいは10°程度しか動かない全廃と比較します。左右差で比べる理由は、曲がり度合い(体の柔らかさ)は個人差があり、加えて通常人体の左右の曲がりは、ほぼ同じだからです。左右で関節の柔らかさが違う人も稀に存在しますが、一応このように決めています。      すると、両方をケガした場合はどのように判定するのでしょうか? この業界の人にとっては常識ですが、自賠責は日本整形外科学会の標準値と比べて判定します。本件はその認定です。   医師や理学療法士は日整会標準値を当然に知っています   続きを読む »

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