テレビで知識人の皆様が予想していた通り、オリンピック開催中に感染が再爆発、この究極的な矛盾状態に緊急事態宣言の緊張は最早空前の軽さだけで、若年層の人流は止まらず、かと言ってワクチン接種も遅々として進まない。今更分析するまでもない現況の中、テレビでオリンピック観戦している毎日です。 さて、中小企業が密集する八丁堀界隈ですが、想像通り帰宅の足は速く、19時でみるみる人が減っています。あれほど賑わっていた居酒屋さんもお酒をだせないのですから、店を閉めるしかありません。それでも、わずかですが開けているお店もあります。事務所からほど近い、もつ焼き屋さんAもその一つです。
そのもつ焼き屋さんは隣にもう一軒のもつ焼き屋さんB、裏に焼き鳥屋さんCもあり、勝手にライバル店と思っています。週末ともなれば、3店すべて席の確保が困難なくらい、周辺のサラリーマンで賑わいます。A店はお国のお達しを無視して酒類を提供、罰金(行政用語では過料と言います)を払ってでもお店を開けています。言わば、覚悟の営業です。すると、酒が飲める貴重店として、それなりにお客さんが集まります。一方、泣く泣くお店を閉めた隣接店、とくに、もつ焼き屋B店はさぞ恨めしく思っているのではないかと想像します。 緊急事態宣言下、ランチでもつ焼き屋さんAに寄って、「ピリ辛みそもつ焼き定食」(みるからに美味しそうな名前!)を食しました。 A店長:「秋葉さん、昼だけど今日はビールどうする?」 秋葉:「えっ、飲めるの?」 A店長:「夜も普通にやっているよ。ランチだけでは店がもたないから。とくにアルバイトは期間雇用の約束で・・(アジアからの学生が多い)彼らに給与払わんといかん。背に腹は代えられないんです。周りのお店には、ほんと申し訳なく思っているけど・・」 また、ある日、もつ焼き屋B店、その顔見知りの店長さんと街角で会って、お気持ちを伺ってみました。お店を閉めた方の店長さんです。 秋葉:「ずっと、休業で大変ですね。宣言明けまでお店は閉めるんですか? A店さんとか普通にやっているけど・・」 B店長:「色々考えたんだけど・・休業にしたんですよ。だからと言って、お酒だしているA店さんも事情があるんでしょう。開けるのも閉めるのも、どっちも苦しい決断なんで・・気持ちはよくわかるんです」 この二人の店長から感じることは、相手を慮る「思いやり」です。真っ正直にルールに従った側は、普通に従わない方を恨み、責める気持ちになるはずです。その一方も、「自分さえ良ければ他は知らない」心根から「政府が悪い」の一点張り、このような言動が目立って当然です。ところが、お互いを気遣う気持ちが存在しているのです。単なる商店街・飲み屋街を構成するコミュニティーで、このような「思いやり」を目にしました。これは日本人ならではなのか、たまたまなのか、わかりません。言えるのは共通の敵である感染症に対して、分断されない社会の強さと、真の「優しさ」でしょうか。
今週、東京は8/31まで緊急事態宣言の延長、神奈川・埼玉・千葉は再発出がされる見込みです。オリンピックとお盆休みの2週間後、8月末から9月頭には、更なる感染爆発が予想されます。緊急事態宣言も当然に9月末まで延長するでしょう。まだまだ先行きは暗いと思いますが、飲食店はじめ多くのお店が生き残り、往時の賑わいを取り戻す日を願ってやみません。