事務所開設以来、何度も説明していますが、関節の可動域制限、つまり、上肢下肢の機能障害で12級や10級をとるためには、単に関節の可動域の数値が3/4や1/2になっているだけではダメです。そのような制限が起こる、物理的な理由が必要です。それは、まさに画像から判断されます。
例外的に神経の断裂や絞扼(締め付けられている状態)から、関節の自動運動が制限されることがあります。そのような例外を除くと、骨折後の癒合状態に問題がなければ、「極端な可動域制限は起きない」ことが医学的な常識です。
ネットで交通事故・後遺障害の情報が氾濫して以後、関節の計測を大げさに装う輩が少なからず発生しました。自賠責保険・調査事務所は当然に数値を疑います。名前はだせませんが、ある行政書士・弁護士事務所から、「あまり関節を曲げるな」との指示を受けた被害者さんもおりました。これは、立派な詐病教唆です。
その点、私たちは事前にレントゲンやMRI画像を精査していますから、申請前から自賠責の判断を予想しています。常に、機能障害をとるべくギリギリまで詰めますが、結果的に正しい認定に誘導します。本件も、神経症状の14級を確実に取り込みました。
ただし、画像からでは判断できないが、演技ではなく、リハビリをサボったわけでもなく、実際に曲がりの悪いケースも稀に存在します。原因を究明、審査側にその事情を伝える立証作業こそ、難易度は高くなりますが、私たちの挑戦すべきテーマとなります。 神経麻痺など難しい案件、どんと来い!
14級9号:鎖骨遠位端骨折(50代男性・神奈川県)
【事案】
バイクで直進中、左方脇道よりの自動車と衝突、鎖骨骨折したもの。鎖骨は肩に近い方、遠位端であるが亀裂骨折レベル。治療は、クラビクルバンドを着用、保存療法とした。