なぜなら、骨折の癒合さえ果たせば、わずかな変形など日常生活にほとんど支障がないからです。折れた部分が肩関節に近ければ、肩の可動域に影響がありますが、骨幹部(骨の中ほど)の亀裂骨折程度であれば影響少なく、粉砕骨折や開放骨折でもない限り深刻度は下がります。さらに、昔と違って現在はプレート固定術としますので、きれいに癒合しますから変形もわずかに抑えることができます。

 そんなことから、臨床上、医師は「鎖骨が変形してしまった」と認識しませんし、普通は診断書に記載するものでもありません。自賠責保険の認定基準では、裸体で変形が確認できることが条件です。それがわずかでも、視認できれば認定する傾向です。本件は医師に改めて記載を促して再申請で認定を得ましたが、鎖骨の認定漏れは、全国の鎖骨骨折者にとって常態的なものと思います。

 また、仮に変形なく治癒を果たしたとして、骨折ほどの高エネルーギー(外傷)が加わったのですから、癒合後も痛みや痺れ、なにかと不具合は残るものです。その残った症状は「神経症状」として14級9号「局部に神経症状を残すもの」の余地を残します。私達はそれを見逃さないので、過去10年、鎖骨骨折で100%の後遺障害認定実績を記録しています。  

 ⇒ 上肢・鎖骨の認定実績

 

 ⇒ 上肢・鎖骨の異議申立・認定実績

  継続治療のついでに膝の等級も上げときました  

12級5号:鎖骨骨折 異議申立(60代女性・埼玉県)

【事案】

原付搭乗中、交差点で左方から自動車が進入し、衝突した。救急搬送され、鎖骨骨折と上腕骨骨折、他に大腿骨折、膝蓋骨骨折の診断となった。

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