東京都中央区では、引っ越す前の事務所から見下ろす祝橋公園で盆踊りがありました。
八丁堀でも毎年、京華スクエアで開催しています。金曜の夜ですから人手が多いものですが、この日は浴衣姿も混じり、街全体が大変な賑わいでした。仕事帰り、少し覗いてきました。
ここは、普通の(テキヤさんの)屋台・出店がなく、公共の出店でビールや焼き鳥、枝豆、ウィンナーが安価で売られていました。
東京のど真ん中でも伝統行事は続いています。
前回 ⇒ 診断書さえ書いてもらえば治療費がでる?~被害者に対する無責任なアドバイスについて ③ 被害者さんは、交通事故による不法行為の損害を回復するために、(完全に支払ってくれるかどうかわからない)加害者に請求しなければならない、大変に不利な立場です。加害者や相手保険担当者を怒鳴りつけても、相手が容易にお財布を開いてくれるものではありません。むしろ、意地悪されるかもしれません。不正な書類ではない公正な証拠書類を揃え、クールに交渉、実利ある解決を目指すべきです。このシリーズは被害者さん達への警鐘です。耳の痛い話であってもお付き合い下さい。 さて、保険会社を怒らせる請求の中で、最も悪意が込められているもの一つとして休業損害を挙げます。サラリーマンで源泉徴収票がでる方の不正はほとんどありません。大手の会社の書く休業損害証明も信用されます。およそ、高収入の会社員がむち打ち程度の軽傷で、高収入を捨ててまで、むしろキャリアを損ねてまで長期間休むことはないと推論されるからです。つまり、会社規模や収入の多寡で信用度が変わると言えます。
やはり、自営業者さんの提出する収入証明書類は常に問題となります。基本、税務署への申告書の提出が公的な証明になります。しかしながら、多くの自営業者さんは経費を大きく積み上げますから、実態収入はもっとあるだろうに申告書の利益(年収)はかなり少ない。休業損害の請求に際して「実際はもっと多い、実はこれだけある」と主張しても、保険会社側が飲むはずがありません。そこは支払う側として、杓子定規に書類通り計算するしかありません。
あまりにも少ない利益=収入額をここで正確に計算し直します。テナントの家賃や水道光熱費、自動車・火災保険などの損害保険料、これら交通事故での休業が無くても待ったなしにかかる経費は利益に戻し入れます。このように一部経費の合算で正確な年収を割り出すことが基本です。
さらに余すところなく正確な年収を提示する場合は、通帳や領収書他収支の書類を全て揃え、総勘定元帳を作成します。実際は、どんぶり勘定の自営業者がこれらを作成・集積することはハードルが高いものです。そもそも収入を過少申告している場合(つまり脱税という犯罪)は書類を偽造するしかなく、そこまでやると保険金詐欺と言う犯罪になります。
中小企業、家族経営の会社はお手盛りの収入証明書類を常に警戒されます。「なんでこんなに高収入で申告していない?」例を何度も目にしました。恐らく社長とグルで、賃金台帳を改ざん、大盛り収入にしたのでしょう。「こんなの提出しちゃだめ!」と、かつて被害者を叱ったことがあります。
また、申告すらしていない一人親方、自由業の方も往々にして難儀します。申告書がなければ納税証明書になりますが、そもそも納税もしていないのでは話になりません。よくあるケースですが、自由業の人がノートに自分で書き上げた収入表を提出してきます。第3者の証明のない「The お手盛り」など信用されるわけがありません。保険会社は証明なく払える自賠責の限度額である5700円しか認めないでしょう。
これらのやり取りを通して、被害者さんの信用は致命傷となります。証明書の無い被害者さんの提示する収入額は大抵、盛り盛りです。保険担当者も正直な申告額など、見たことがないのではないかと思います。「俺は被害者(様)だぞ」という歪んだ権利意識がそうさせるのでしょうか。しかし、この盛った提示額によって、保険会社からの信用は0になります。今後、治療費含め何を請求しても疑いの目で見られます。最終的にも厳しい賠償金提示が予想されます。それで文句を言えば、保険会社はためらい無く弁護士対応としてくるはずです。
いくらかわいそうな被害者であっても不正請求は許されません。休業損害の請求では、会社や自営業者などのちょい悪気分のほう助(不正・犯罪を助ける)によって、無責任なアドバイスを超えた十字架を被害者に背負わすことになります。公正に戦わなければ、ゴルゴダを丘を登らされるような保険会社の厳しい対応が続きます。
昨年、友人が厄年だからと東京のとある有名な神社でお祓いしたいという話がありました。
今までやったことがなかったので、少し興味を持ち、私もついでに厄払いをすることになりました。 その神社は国内外で有名で、神社の周りには日本人だけではなく、外国人(西洋、アジア・東南アジア)も沢山いました。記念写真を撮ろうとしている人が多く、広い敷地でしたが避けるのに気を使いました。
神社で厄払いの儀式をして頂き、その後お札を頂いて無事に儀式を終えました。ここまでが1年前の話です。
お札を頂いてから先週でちょうど1年になりましたが、このお札をどうするべきか、近所の神社に聞いてみました。基本的に、1年経過したら元の神社に返納する必要があるようです。
神社は家からそこまで離れていなかったので、先週、気分転換も兼ねて東京の神社へ再び行きました。
年末年始にだるまやお札を燃やすところを近所の神社で見たことがありましたが、今は夏、今でも返納できるのでしょうか?行く途中から気付き、不安になってきました(事前に連絡して確認するべきでした)。
いざ神社に到着し、本殿まで向かいましたところ、「お納め場所」とポストのようになっていましたので、一安心です。
無事に返納を終えて帰ろうとしましたが、周囲を見回すと何となくニュースで聞いたことがあるような外国語を耳にしました。昨年に比べ、とある外国人は日本への旅行にかなり消極的であるようですが、来る人は来るようです。
お札を納めた後・・・神社入り口から本殿までかなり長いことを忘れていました。木々に囲まれていたとはいえ、今の時期はかなり蒸し暑く、汗も結構かきました。途中自販機はなく(敷地内は飲食禁止の為)、敷地出るまでに脱水症状で倒れるのではと少し恐怖を覚えました。・・・子どものお祝いではありませんが、「行きはよいよい、帰りはこわい」。
学生時代、警備会社でバイトしていました
職業別の賠償保険を調べてみました。警備業社賠責は、施設賠償責任保険がベースとなっているようです。 警備業者賠償責任保険とは、警備業務の遂行により、(1)事故で他人の身体に障害を加えてしまった場合、(2)事故で財物を損壊・紛失したり、窃取・詐取されたりした場合、それぞれで発生した損害を担保する保険です。
この保険は、警備業者(会社)が入る保険です。基本的な仕組みとしては、まず、賠償責任保険条項に施設賠償責任保険の特約を付して、そこからさらに、警備業者補償用の特約を組み込むことになります。
通常の支払い対象の例として、以下のものがあげられます。
(1)事故で他人の身体に障害を加えてしまった場合の例
・花火等のイベント開催中、警備員の誘導ミスによって通行人が将棋倒しとなり、けが人が出てしまった場合。
・要人の身辺警備(ボディーガード)を行っていた警備員の誤認で、無関係の人を取り押さえてしまい、ケガを負わせてしまった場合。
(2)事故で財物を損壊・紛失したり、窃取・詐取されたりした場合の例
・警備員の不注意で、火災の発生に気づかず、建物が全焼してしまった場合。
・警備会社が設置した火災警報器が、正常に作動しなかったため、火災発生を感知できず建物が全焼してしまった場合。
これらの損害は、警備員・警備会社の過失によるものである場合に保険金が支払われますが、故意・重過失(わずかな注意でもしていれば損害等の結果が発生してしまうことがわかっていたのに見過ごすこと)の場合には支払われません。
また、火薬や医療用の器具(放射性物質を含む)等の危険物の警備についての事故や、現金や美術品を移送中に、紛失したり、落として壊してしまった場合の事故等は、基本的に支払い対象外です。
保険会社によっては補償対象にできる特約を別に付けることも可能なので、警備会社は業務拡大を目指す場合、保険内容を十分に確認してから業務を請け負う必要があります。
※ 最近の花火大会の中止が相次いでいるようですが、主な原因の一つとして、警備の必要性が高くなっていること、警備員の人件費が高額になってしまうこと、があるようです。警備員の数が少ないと、イベント開催中の警備という激務中、常に気を張って注意し続けるというのは大変酷だと思います。
多くの損害が補償されている保険、特約に入り、少しでも業務中のリスクを軽減できればよいのですが、他方で警備会社の保険料の負担も大きくなりそうです。保険販売を専門としている信頼できる代理店さんによく相談して、業務範囲内で必要な保険と必要な特約をよく吟味する必要があります。
変形性膝関節症になる原因と理由
こんにちは、金澤です。
今日は半月板損傷について最後にまとめていきます。
半月板を損傷すると、高い確率で変形膝関節症になるのですが、まずは半月板の知識について。
【事案】
交差点で道路を横断中、後方からの右折自動車に跳ねられた。直後、救急搬送され、頭蓋底骨折、急性硬膜外血腫、くも膜下出血、鎖骨骨折の診断となる。
【問題点】
幸い予後の経過よく、本人と面談したが特に高次脳機能障害としての症状は読み取れなかった。もちろん、それは良いことではあるが、海外出張中の御主人及び、同居のご長男(社会人で多忙)に対し、限られた時間であっても綿密に症状・変化を観察・記録頂くよう要請した。
【立証ポイント】
ご本人、ご家族と頻繁に連絡を取りつつ、神経心理学検査を重ねて11ヶ月目で症状固定とした。易怒性と呼ぶほどは酷くはないが、怒りやすく繊細に過ぎる部分、固執性などをフォーカスすること、つまり、微々たる性格変化の立証が決め手となった。ご家族の観察を主治医に伝えるべく、3度にわたる医師面談で繊細な障害の共通認識を深めた。
申請後まもなく、高次脳機能障害で7級4号が認定された。なお、本件では鎖骨骨折後の変形で12級5号が認定され、併合6級となっている。
※ 併合の為、分離しています。
(令和元年6月)
こんにちは、金澤です。
最近田舎の母が半月板を損傷したとの情報が入りました。
整骨院時代、半月板損傷をした患者を何人も診てきましたので、だいたいこの後どうなるかがわかります。
一言で言うと、もう老後は終わりです。
半月板損傷した人の生末を説明します。
①急性期が過ぎ、危機感と痛みが薄れてくる
②完全に半月板が無くなり軟骨がすり減る
③変形性膝関節症になり
④痛いから動かなくなり
【事案】
交差点で横断歩道を歩行中、対抗右折自動車が衝突、受傷した。直後から意識がなく救急搬送され、急性硬膜外血腫、腎損傷、肋骨骨折の診断となる。
【問題点】
本人との面談時、腎損傷の影響や肋骨骨折の症状は軽減しており、ほぼ回復していた。しかし他方で、事故後のめまいや耳鳴りが残存した。高次脳機能障害の兆候はほとんど見受けられなかったが、慎重に判断するように心がけた。
【立証ポイント】
退院後、職場復帰をすることになった。家の中では目立たなかった頭部の症状も、家族のいない職場や難しい作業中に出てくることもあるため、家族には職場によく注意してもらうように伝えて頂く。
その後、自宅近くで、頭部外傷や高次脳機能障害に強い病院情報を家族に説明し、医師に紹介状を書いて頂いて転院することになった。転院先の主治医に、病院同行で家族と共に日常生活や職場での状況を伝え、必要なリハビリ・検査内容を設定し治療を進めて頂く。
(検査の一例:トレイルメイキングテスト)
一連の検査から、注意力や遂行機能の低下が明らかになった。これら神経心理学検査を確認し、自覚症状(家族から確認していた症状)と表れていた検査数値と比較し、家族が重くとらえすぎている症状や逆に軽く感じすぎている症状を整合、詳細に日常生活状況報告書にまとめて被害者請求へ進めた。
その結果、高次脳機能障害で7級4号が認定された。なお、本件では頭部外傷による感音難聴で14級3号、嗅覚の減退で14級相当がそれぞれ認定され、併合7級となっている。
※ 併合の為、分離しています
(令和元年6月)
自動車保険、とりわけ人身傷害の絡んだ事件、レアな診断名の外傷の相談を頂き、冥利に尽きることで大変有難く思っております。
しかしながら、その多くは「既に弁護士に任せておりますが・・」と、その弁護士に頼らず秋葉へ質問・相談です。聞くと、依頼している弁護士さんではわからない、手に負えないとのことです。まぁ、セカンドオピニオンも対応していますので、できるだけ丁寧に回答しています。
それでも、もや~とした感じが残ります。 それは、「お金を払って雇っている弁護士に聞かないで、なんで秋葉が無償で相談を受けるのか?」との不合理感です。 本来、依頼者さんの不安を取り除くべく、しっかり回答するべき弁護士さんにとって、セカンドオピニオンなど不名誉なはずです。相談のいくつかは間違った誘導をしています。場合によっては弁護士交代を勧めざるを得ません。
逆に弁護士先生から弊所に質問の電話・メールが入ることもあります。その先生はプライドなど気にせず、行政書士ごときに質問してくるのですから、謙虚で依頼者想いの好人物、尊敬します。このような先生であれば、依頼者さんも他所に質問する必要もないでしょう。 多くの相談案件は、既に弁護士の交代の時期を逸しており、相談者(依頼者)さんも交通事故に精通していない弁護士に任せてしまったのですから、それは自己責任です。
2件目も同じく7級、これも一見、障害を感じさせない被害者さんでした。
それでも、後遺障害の仕事を舐めてはいけません。簡単に見極めては、些細な障害を見落とすことになります。ご家族と共に数ヶ月間、丁寧に観察・検証を続けました。性格変化の立証は、元々の性格と障害による変化を区別・比較する必要があります。医師はその患者が事故受傷で病院に運ばれて来てからの付き合いですから、当然に元々の性格など知りません。いかに、主治医に事故前後の変化を示すことができるか、これがポイントです。
適切なフォローと緻密な立証無くば、12級13号に落とされても仕方ない案件でした
【事案】
交差点で道路を横断中、後方からの右折自動車に跳ねられた。直後、救急搬送され、頭蓋底骨折、急性硬膜外血腫、くも膜下出血、鎖骨骨折の診断となる。
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頭部外傷や脳損傷は大ケガです。しかし、外科的な手術が無い場合、何事もなく回復する患者さんも少なくありません。医師も「大事無くて良かったですね」と退院へ。
本件は、当初まったく障害の兆候がみられませんでした。しかし、微妙な変化は、受傷後3~6ケ月後になって家族の観察により現れてくるもの、あるいは職場復帰後に能力の低下に気付くことなどがあり、簡単に完治などと判断できません。早期に弁護士事務所からご相談を受け、「(高次脳機能障害は)大丈夫とは思いますが、念のため丁寧に観察を続けましょう。いずれ、専門医を受診して検査も行ってみましょう」としました。
その結果は以下の通りです。 本人の自覚はもちろん、家族でさえ気付かない症状を浮き彫りにした、令和初の認定2件(今日と明日)を紹介します。 誰もが高次脳機能障害とは思っていませんでした
【事案】
交差点で横断歩道を歩行中、対抗右折自動車が衝突、受傷した。直後から意識がなく救急搬送され、急性硬膜外血腫、腎損傷、肋骨骨折の診断となる。
【問題点】
本人との面談時、腎損傷の影響や肋骨骨折の症状は軽減しており、ほぼ回復していた。しかし他方で、事故後のめまいや耳鳴りが残存した。高次脳機能障害の兆候はほとんど見受けられなかったが、慎重に判断するように心がけた。
【立証ポイント】
退院後、職場復帰をすることになった。家の中では目立たなかった頭部の症状も、家族のいない職場や難しい作業中に出てくることもあるため、家族には職場によく注意してもらうように伝えて頂く。
その後、自宅近くで、頭部外傷や高次脳機能障害に強い病院情報を家族に説明し、医師に紹介状を書いて頂いて転院することになった。転院先の主治医に、病院同行で家族と共に日常生活や職場での状況を伝え、必要なリハビリ・検査内容を設定し治療を進めて頂く。
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今年は家族が亡くなったのでお寺のご住職が来訪、ささやかながら新盆となりました。親戚から贈られた提灯を灯すまで、凄まじいほどの掃除に時間を要すことになりました。
さて、今年のお盆を振り返りますと、大型台風の来襲に始まり、連日、相変わらずもめ事のニュースが吹き荒れました。マスコミの皆さんには、明るいニュースもバランスよく採用して欲しい所です。私はと言いますと、大掃除と新盆の合間に事務所に立ち寄り、急ぎ仕事の対応に終始しましたが、その後、なんとか3日余ったので少し自動車で遠出をしました。
日程的に帰省の渋滞を避けることができました。高速道路ではとくに「あおり運転」を受けることも無く、ましてや「アンパンチ」を食らうこともありませんでした。普通に韓国料理を食べられますので、「反韓」が蔓延しているとも思えず、エルトン・ジョンじゃないほうの(リトル)ロケットマン復活も(飽きてしまったのか)さして騒がれず、むしろ、白根山の噴火危険から万座ハイウェイの通行規制が困った。なにより、佐野インターでラーメンが食べられなかった。それから、吉本興業と加藤の乱はどうなった?
その他、国際ニュースではホルムズ海峡だけではなく、インド・パキスタン国境(ジャンム・カシミール地方)がかなりやばいです。これは日本からは遠すぎて緊迫感がないようです。それでは身近な日韓の問題に戻りますが・・両国の一部の人々だけが熱くなっていませんでしょうか? 私自身、焼肉やキムチがなくても困りませんし、Kポップも韓流ドラマも興味ないですから、何ら実害を感じません。それより多くの人々は、佐野ラーメンやアメトークの存続が心配なはずです。
国同士の対立は結局、少数の誰かの利益の為に、国民が利用ないし煽られているだけではないでしょうか。確かに歴史や経済の問題は真摯に考えなければならない問題ではありますが、本来、煽られなければ自身の生活への直接的な影響など無いはずです。政治に無関心は良くないとしつつも、あえて自身の利害損得を基準に考えれば本質が見えてくように思います。
勝手ながら、今年を象徴する言葉は早くも「あおり」に決定です。様々なニュースから、そんなことを考えてしまったお盆休みでした。
人身傷害保険や無保険者傷害特約の請求では、非常に難しい約款解釈の問題があります。興味のある方は昨日の記事のリンク先を熟読して下さい。 昨日の内容を簡単に解説します。
相手が無保険かつ回収も絶望的な件では、通常、自身加入の人身傷害保険の請求で諦めることになります。人身傷害を支払った保険会社は、一応、加害者に求償(払った保険金を加害者に請求)しますが、自賠責保険分程度が関の山、なかなか回収は難しいようです。
すると、回収の難しい相手に対して、弁護士報酬を払ってまで訴えるものでしょうか。人身傷害に請求すれば、裁判基準ほどの額ではないにしろ、人身傷害基準での保険金支払いで直ちに解決となります。ところが、この理屈を捻じ曲げるのが「弁護士費用特約」(以後、略して弁特)なのです。なにせ、只で弁護士を雇えます。しかし、ここで弁護士の道徳心と能力によって、被害者さんの運命は激変することになります。
昨日の宮佐古弁護士は、「依頼者の利益=人身傷害保険への回収など知らん」と、”加害者に対する損害賠償”までの仕事で終わらせました。確かに違法ではありませんし、契約上もそうなっているはずです。しかし、これでは弁護士だけが利益を確保(しかも、おいしい事件)できますが、多村さんはおろか吉本海上保険も損するだけです。宮佐古弁護士は「加害者Iさんに賠償金を払わせる目的の依頼(訴訟)ですし、加害者が判決額を払えないのは結果論ですから・・」と言い訳するかもしれません。もちろん本心とは思えません。回収困難な相手に無駄に訴訟?弁特があったからでしょ?・・被害者救済などどこ吹く風です。
これも新たな弁護士費用特約の悪用例に加えたいと思います。
それでは、本件事故の解決はどうすべきだったのでしょうか。手前味噌になりますが、私どもの連携弁護士であれば、人身傷害保険への請求まで責任を持って交渉します。なぜなら、人身傷害保険の約款に精通していますから、本件の結果(結局、人身傷害基準での回収)は最初から読めています。本件のポイントは相手への訴訟ではなく、人身傷害保険への請求がクライマックスなのです。被害者の利益を考え、以下の選択肢から慎重に進めます。 A:スピード解決・消極案
最初から裁判などせす、人身傷害保険の請求で終わらす。 保険会社によって約款に違いがありますが、上限規定を設けている会社の場合、相手無保険かつ0:100の事故で総損害額を積算すれば、裁判基準での回収は困難です。その金額の多寡から、約款の上限規定に屈して我慢することも一つの案です。少なくとも無駄な時間と保険会社の無駄な弁特支出は避けられます。 B:裁判基準の回収にチャレンジ
① 宮佐古弁護士に同じく、回収は困難であろうと相手を訴えて判決額を確定させ、その額を人身傷害社(人身傷害保険、無保険車傷害保険)に請求します。これを私達は宮尾メソッドと呼んでいます。
② 恐らく、人身傷害社は約款の上限規定から、「弊社が支払えるのは人身傷害基準の満額までです」と回答がくる。
③ 対して、「約款では裁判での判決額を総損害額と認めつつ、上限規定で否定するとは、2重併記でおかしい!」と反論。「保険金請求訴訟するぞ!」との勢いで人身傷害社の妥協を引き出す。 今年、類似ケース(相手無保険、死亡事案)にて、この方法で人身傷害保険(無保険車傷害特約)から、裁判・判決額のほぼ満額の回収に成功しています。弁護士がリアルに人身傷害保険へ判決額の回収を迫れば、人身傷害社は最初「約款の規定ですから」と回答するも、折れてくることもあるのです。この約款問題を裁判で公に争いたくない保険会社の立場が浮き彫りとなります。
平成24年2月最高裁の「裁判基準差額説」の判決以来、各社、人身傷害の約款にかなり神経質になっていると思います。万が一、この保険金請求訴訟で負ければ、裁判基準差額説判決の悪夢が蘇ります。全社、再び約款改定をしなければならなくなるのです。リスクある裁判を避けたい保険会社は、約款を曲げて支払う英断をします。つまり「約款は絶対ではない」のです。B案は人身傷害の約款の性質を熟知している弁護士だけがなせる技です。 保険を、人身傷害を、熟知しています!
それでも、請求金額が些少であればA案で収める選択肢もあります。確かに、無保険車による被害を助けてくれる人身傷害(社)に対して、「裁判基準での保険金を!」と迫る姿勢も貪欲に過ぎる気がします。
本件の結果ですが、宮佐古弁護士は以上のような約款分析を逡巡したとは思えません。まして、端から「人身傷害に対して、裁判基準額での回収を目指す」気もなかったようです。単に「弁護士費用特約から報酬をせしめるだけの仕事」と自覚していたはずです。
この弁護士費用特約はもちろん、どのような保険であっても、保険会社と契約者の公正と信頼が制度の根底になければなりません。誰かが小ずるく儲けるものであってはならないのです。道徳心なくば、保険制度は保てません。宮佐古弁護士のような保険請求が続けば、いずれ約款改定されて保険金支払が渋くなり、保険の質の低下を招くこととなります。
弁特エトセトラはかなり長い期間シリーズにしています。
前回の巻 ⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑮ 労災免責について、研修会に追補します。 さて、今回取り上げるテーマは、民事の紛争で付き物である回収の問題です。民事事件のなかでも、不法行為に対する賠償金請求を行うケースで常に問題になるのが、「相手から実際に賠償金を取れるのか?」です。賠償金請求に応じない加害者に対し、弁護士に報酬を払って依頼したとして、仮に裁判に勝っても「相手が払わない」、あるいは「相手にお金がない」、「相手に強制執行(財産の差押え)をかけようにも対象となる財産もない」、ついに「相手が行方をくらました」・・・つまり、交渉がまとまろうが、裁判に勝とうが、賠償金が回収できるとは限らない現実があります。私達は加害者について、”お金を持っていない奴が最強”と思っています。
無い袖は、
したがって、相談を受けた弁護士は「争えば勝てますが、回収できないかもしれない」と、受任に慎重になるのが普通です。弁護士に道徳心あれば、依頼者の無駄な報酬支出を考え、回収困難な事件は引き受けないものです。しかし、ここでも弁護士費用特約を応用した儲けを画策する弁護士がおりました。実例から説明します。 1、多村さん(仮名)はバイク走行中、外国人(自称空手家Iさん)が運転する無保険車の衝突被害に遭って受傷、腕を骨折して12級6号の後遺障害となった。 2、相手から何ら補償得られず、自身加入の吉本海上保険㈱の人身傷害保険で治療費等を確保した。 3、最終的な慰謝料、逸失利益を相手に請求したく、弁護士費用特約を使って弁護士・宮佐古先生(仮名)を雇った。 続きを読む »
猛暑の中、かつての駿府城の中、静岡市民文化会館に出張しました。
2件のご相談と、続けてセミナーを開催しました。私の担当テーマは弁護士費用特約です。今回も主要21社はもちろん、自転車保険のAU損保、そして弁護士費用の専用商品であるプリベント小額短期保険、フェリクス小額短期保険までを網羅! 老眼進行中も顧みず、ハズキルーペをかけて最新約款を解読しました。 マニアックなテーマながら、最新情報やご意見が飛び交い、私達も大変に勉強になりました。 そして、恒例の懇親会。当地はお刺身のレベルが高い! マグロ頬肉のカルパッチョ、写真奥はマグロテール煮! まさにマグロ尽くし。 続きを読む »
過去記事:たくさん通えば慰謝料が増える?~被害者に対する無責任なアドバイスについて ②、その第三弾を書きます。
前回は、「3ヶ月以内の通院なら、慰謝料は毎日通院しても2日に1回以上増えない。」ことを解説しました。今回は掲題について検証します。 交通事故被害にあってケガをした場合、入院や通院の費用を加害者に請求することになります。支払いは多くの場合、加害者加入の保険会社になりますが、その費用が妥当か否か、つまり、過大請求ではないかを当然に検証します。その検証すべき根拠は第一に診断書になります。細かい費用項目は診療報酬明細書を確認します。これらの診断内容から支払いに移りますが、素直に支払われないことが往々にあります。
医師は患者の状態を診察して診断書を記載します。それは、交通事故の届出の為に警察へ、あるいは休業届けの為に職場へ、そして治療費請求の為に相手保険会社へ提出します。医師はあくまで患者の状態から判断・記載しますが、さらに踏み込んだ「事故との因果関係を証明して下さい」とのリクエストには常に慎重です。例えば、むち打ちで首を痛めたことは記載しますが、事故の衝撃など計りようもなく、原因には深く言及せず、その時の患者の訴えや症状から診断します。
対して、保険会社は事故の衝撃によってある程度、症状を推測します。自動車の追突事故では、コツンとぶつけられた程度、修理費が10~20万、保険会社の査定で「小破」と判断されるもの、これらの衝撃から軽傷が限度、長期の通院になるような重傷とは思いません。回りくどい言い方が続きますが、要するに、「その程度の事故・衝撃でそんなに症状が重いのか?」と疑りの目を持つのです。もちろん、”事故で少し痛めて心配だから数日通った”程度では疑りません。数ヶ月も通院が続くような場合や、むち打ち程度で即入院する被害者さんに対して、です。
軽度の衝突で病院通い? 治療費を支払う側は「大げさな!」と思うのはごく自然なことです。そのような場合、被害者さん達は医師の書いた診断書を盾に、治療費・その他費用の支払いを要求することになります。確かに診断書は専門家の証明書ですから、第1級の証拠に違いありません。それでも保険会社を甘くみないことです。保険会社は医師の書いた診断書など無視して、支払を拒絶することがあります。そして、争いが激化すれば、保険会社は弁護士を立ててきます(一応、加害者が雇った体で)。その弁護士は文章で、「これからは私どもが窓口です」、次いで、「これ以上、治療費が欲しくば、法廷で待とう(債務不存在確認訴訟)」と。
その攻勢に、診断書一枚で対抗できるでしょうか? 追加的に、主治医に「100%事故のせいで、働けなくなったと証明して下さい!」とお願いしても無駄でしょう。そのような証明など医学上限界があり、何より、裁判沙汰・紛争となった場合、巻き込まれたくない医師は逃げの一手です。それでも法廷で戦った場合、追突事故で自動車の修理費が10万円ちょっと・・その程度の衝撃で、入院した、何ヶ月も通院した、半年も仕事を休んだと訴えても、裁判官は”診断書”だけで、被害者の訴えを認めるでしょうか。やはり、常識的に考えて「大げさ」と判断し、保険会社の反論を支持して被害者の負けとするはずです。医学的・科学的に症状をいくら立証しようと、常識が勝つ場面です。
どこまで行っても、資本主義では”払う側”が強いのです。ごく稀に、軽度の衝撃で重い症状となってしまった被害者さんは、(大げさと判断されるであろう)常識を越える立証が課されれます。それは、絶望的とは言わないまでも、大変な苦労を覚悟しなければなりません。時には、ある程度の治療費・慰謝料で手を打つべきかもしれません。そのような判断の為にも、早期に弁護士など専門家に相談すべきです。巷の無責任なアドバイスに乗って、非常識な請求をすべきではありません。「この請求は非常識か否か」、この判断を間違えると、保険会社との大戦争が待っています。
弁護士による交通事故慰謝料の増額は、後遺障害の等級で決まります
【実績】後遺障害 初回認定率84% 【実績】異議申立の認定率55%(全国平均5%)
後遺障害を立証する方法を下記ページで一度お読みください →交通事故被害者の皆さまへ
最近のテレビでは、どの番組を観ても「吉本興業VS芸人」が取り上げられていますね。吉本興業所属の芸人さんの直営業から端を発したこの問題ですが、そもそも悪いのは罪を犯した方たちなのに、その方たちはなぜかフェードアウトしているという・・・世論というものは恐ろしいものですね。この話題で大きく取り上げられた「契約解除」等さまざまな法律用語ですが、雇用や契約に関しては「契約書」が必要かどうか、少し記載してみようと思います。
まず、契約には大きく分けて「諾成契約」と「要物契約」があります。
諾成契約とは、契約当事者間の合意のみで成立する契約のことをいいます。スーパーで買い物をする等、普段なにげなく行っていることが正に諾成契約です。「お客様、契約書にサインをお願いします。」なんてレジのお姉さんに言われてことないですよね!?
しかし、高価なものを購入するときや長期的な契約をする場合には、「契約書」を作成することが一般的です。携帯電話の購入やマンションを借りるときには、何枚もの書面にサインしますよね。これも全て諾成契約です。
一方、要物契約とは、契約当事者の合意と共に、契約の目的物を相手方に渡すことで成立する契約のことをいいます。例えがなかなか難しいのでここはカットします。
さて、今回の吉本興業の問題ですが、契約書を交わしていないにもかかわらず、契約解除というのは不当ではないのか?答えは不当ではありません。上に記載したように当事者間の合意によって成立するので問題はありません。(芸人さんたちが合意しているかは分かりませんが…)しかし、ビジネスにおいて契約書を交わさないことはほとんどありませんね。契約書を作成する目的としては、「契約内容を互いに確認して間違いを防ぐため」、「言った言わないの紛争化を防ぐため」、「紛争化したときに証拠として残すため」などが挙げられます。
書面に残るということは安心ではありますが、ご自身が不利になるようなことが記載されていることもあるかもしれません。契約の際には、十分に書面をよく読み、サインするのが望ましいですね。