何の例えかと言いますと、ズバリ弁護士のことです。正確には保険会社から見た弁護士です。
保険会社 対 弁護士、この構図の多くは交通事故案件になるかと思います。この10年、弁護士と数多くの案件を解決してきました。連携した弁護士はそれこそ北海道から沖縄まで、全国18事務所、弁護士も50人に及びます。交通事故を専門に取り扱う先生もいれば多くのジャンルを扱う先生、業界の有名先生から若手まで、様々でした。良い解決もあれば、残念な解決もありました。残念な解決でも反省や進歩の無い先生とは、以降仕事はしません。それっきりになります。そして、案件を重ね、経験を積んだ先生は、ついに裁判で画期的な判決を取るに至ります。「交通事故のプロ」の誕生です。
交渉でも裁判基準相当額にならなければ、裁判や紛争センターに全件持ち込む、この硬派で頑固な姿勢を貫くと、保険会社も「この事務所は裁判基準じゃないと折れないんだよなぁ・・どうせ、裁判や紛センに持ってかれるなら・・」と交渉でも裁判基準まで払ってきます。保険会社は感情で仕事をしているわけではありません。ちゃんと弁護士の姿勢、所謂足元を見ているのです。
対して、効率・利益を第一に求める事務所は、一つ一つの案件に時間を割きません。交渉が続き、裁判基準満額まであと50万円増額の余地まできた場面では・・依頼者にとって大金であっても、弁護士の報酬はその10%=5万円なのです。その事務所にとって5万円の売上増加の為に、裁判で半年~1年、あるいは紛センで4~6ヶ月解決が延びるなど、経営効率が悪いのです。だからこそ、依頼者に「交渉で大分増額させました。どうしますか?」と聞きます。または「裁判となれば、この提示額の保証はなく、リスクがあります」と説明します。すると、大抵の依頼者は判断ができず、「先生にお任せします」となるのです。これで、安くあげたい保険会社と、早く案件を終えたい弁護士の利害が一致、簡単解決となるのです。
つまり、経営効率主義の弁護士事務所は、保険会社からこう見られているのです。「先生、どうせ裁判はしたくないでしょ、妥協を待ちますよ(依頼者を丸め込んで下さい)。」
交渉解決は楽です、電話とFAXあるいは郵便の往復で解決できますから、保険会社・弁護士共に楽なのです。裁判はそれこそ訴状の作成や証拠の集積、数回の期日に裁判所へ足を運び・・大変な手間と時間がかかります。信じられないかもしれませんが、裁判などしたくない弁護士が多いのです。それを、「紛争(裁判)を未然に防ぐことが弁護士の役目」と美化する先生もおりました。もちろん、その姿勢は人同士の争いでは大事です。しかし、交通事故に関しての請求相手は保険会社という民間企業・全国組織ですから当てはまりません。このような(裁判を避けたい)姿勢=弱腰は必ず保険会社に伝わってしまうのです。
保険会社はバカではありません。交通事故を扱う弁護士事務所への対応について、ある程度リスト化していると思います。依頼者に1円でも多く獲得すべく譲らない事務所、裁判基準の満額の7~8割で手を打ってくれる事務所を識別しています。前者はその姿勢を続けると、裁判や紛センに持ってかれる位なら、交渉でもほぼ満額支払をしてきます。だって、刀を抜かれる(裁判や粉セン)からです。
逆に、交渉である程度の増額で楽に収めたい先生が強気で賠償請求・交渉してきても、
「先生、どうせ竹光でしょ」となります。抜かない刀ではまったく脅しが効かないのです。
ここまで説明すればお判りと思います。交通事故被害者さんが弁護士を選ぶ場合、最初に解決方針をしっかり聞く事です。「先生、裁判基準満額が取れない場合はどうしますか?」この質問に対し、妥協なき方針、確固たる戦略を提示できない先生は、竹光を差した効率先生と思って下さい。
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