( 最近の異議申立て案件について ② )←前回は 一緒に考えましょう <Case3 衝撃レベルを考えましょう>
Cさんはタクシーに乗り込み友人宅へ向かう途中に追突され、「頚椎捻挫」の診断を受けました。その日は約束があったため、病院には行かず、事故から3日経ってから初めて病院に行きました。症状は右手の痺れがかなりひどく、忙しい仕事の合間をぬって7ヶ月間リハビリ努力を続けましたが、症状は良くなりませんでした。ずっとスポーツをしていたにも関わらず、利き手である右手の握力は左手よりも10kg程度低く、神経誘発テストでも陽性反応が出ていました。MRI画像でも症状と一致しており、一部上場企業の勤務、14級9号認定はまず間違いないだろうと感じます。
しかし、本件は一点、重要な要素が抜けていました。それは、乗っていたタクシーの修理費がとても軽微(バンパー交換程度で10万円にも満たない金額でした。)だったのです。この心配を残しつつ、調査事務所へ申請しました。案の定、主治医の元へ自賠責調査事務所から医療照会がなされ、審査に約3ヶ月かかりました。おそらく物損の資料等も取り寄せたのかもしれません。残念ながら結果は非該当でした。 さて、Cさんの場合、なにが原因で非該当になったのだと思いますか? これは推測でしかありませんが、自賠責調査事務所はまず常識的に判断をしているように思います。この程度の衝撃で後遺症を残すような大ケガになるのか?、また、救急搬送はもちろん、受傷当日に病院へ行っていないの?・・・事故態様や修理費用の金額、車が自走可能かどうか等、事故の衝撃の強弱について判断の材料はいくらでもあります。
Cさんの場合には、まずはじめの要素で既に非該当濃厚案件です。しかし、その他の点で調査事務所が判断に迷い、医療調査等を実施するなど、審査に時間を要したのではないかと思います。
再請求では、医療照会の書類を病院から取り寄せ、もう一方の病院でも同じ書類を記載していただきました。2つの病院に協力してもらい、完璧な医証を揃えて異議申立手続きを実施したのですが、今度も審査期間2ヶ月で非該当の結果が届きました。
事故態様がいかに重要な要素であるか、まじまじと感じたケースとなりました。 続く。