【事案】

自動車運転中、センターラインオーバーしてきた相手方自動車と衝突し、受傷する。直後から頚部痛、腕の痺れだけではなく、耳鳴りと難聴を発症した。

【問題点】

診断は頚椎捻挫。つまり、骨折はなく、神経や脳を損傷していないにもかかわらず耳鳴り、難聴を発症している。耳鼻科の通院・検査を継続していること、半年後の検査から一過性の症状か否か、なにより信憑性が問われる。

【立証ポイント】

おなじみの検査、聴力:オージオグラム、耳鳴り:ピッチマッチ検査を継続的に実施した。また、受傷機転”衝突の際、サイドエアバックの展開から右耳・側頭部を強打したこと”も判断材料とした。 被害者請求の結果、耳鳴りで12級相当、難聴で14級3号が該当し、自賠責のルールにより、下位等級の難聴は耳鳴りに含めて12級相当となった。

骨折等、器質的損傷のないケガから耳鳴り認定を受けることは簡単ではない。弊所では4例目の成功となった。

(平成31年4月)  

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 令和元年、日本の人口比率では、60歳以上は3人に1人、70歳以上は5人に1人です。統計上、交通事故被害者の比率もほぼ同じになります。高齢者ドライバーの、逆走、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど、加害事故がニュースで取り立たされていますが、実は、高齢者の被害事故の方が圧倒的に数が多く、深刻であると思っております。秋葉事務所でも開業以来、60歳以上の被害者さんがおよそ25%を占めています。

 高齢者は若い人と違い、ケガも重篤になり、治療期間も長くなり、なによりより障害が残りやすくなります。そして、80歳を超えるような方は、些細なケガであっても、それがきっかけで、歩行困難⇒寝たきりとなることが少なくありません。さらに、事故のショックから認知症を発症⇒わずか2週間の入院で認知症が劇的に進行するケースも珍しくありません。

 そのような、加齢による損害の拡大を、加害者側の保険会社はいつも警戒しているのです。高齢者に対しては早期の治療費打切りに力が入ります。交通事故による直接(因果関係が明白な)被害は当然に賠償の対象としますが、高齢による傷病の進行、二次的な症状は、いつも争点となります。その点、自賠責保険の後遺障害審査で、今まで多くのケースで助けられてきたと思います。自賠責保険の審査基準でも、当然に直接因果関係を検討します。しかし、高齢者~若年者を分け隔てしない自賠責の認定等級は、加齢の影響を加味しない認定等級となることがあります。以下の実例は高齢者であるが故、通常よりケガが重篤になってしまったケースです。    実例の一つ=併合3級:下肢切断・足関節機能障害+足趾用廃(90代女性・千葉県)    そして、無職・年金受給者の被害者さんが80歳を超えると、自賠責・後遺障害等級の定額化した慰謝料・逸失利益は、等級が上がる程、裁判等で争う賠償金額を上回るケースが増えます。被害者に過失がある場合はそれがより顕著となります。自賠責保険では被害者に70%も責任がない限り、過失減額しないからです。    実例の一つ=別表Ⅰ 1級1号・加重障害:高次脳機能障害(80代女性・静岡県)    高齢者の被害事故の場合、上記実例が示す通り、あたかも自賠責保険請求が勝負を決するのです。交通事故の解決とは法的な争いではありますが、保険請求だけで十分な賠償金を確保できたことになります。つまり、自賠責保険を熟知し、それに連なる医療立証、請求実務をマスターすることが、交通事故の解決力となります。秋葉はその力を持つ事務所であると自負しています。弁護士の賠償交渉・訴訟の陰になることが多い秋葉事務所の働きですが、高齢化社会において益々活躍の機会があると思っています。  

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