これはどの業種・仕事にも言えますが、そこそこ経験を積んで自信を持つと、つい、結果を見切ってしまうことがあります。もちろん、経験に裏打ちされた「読み」から仕事の判断をすることは必要です。しかし、私達の仕事の結果は審査側の判断に委ねられるのですから、「読み」はあくまで予想に過ぎません。本件の認定は最初から難しいと思っていました。当然、再請求も結果は厳しいと覚悟しました。しかし、予想に反して後遺障害が認定されました。このような読み違いが最も生じる申請は、ずばり、神経症状の14級9号です。
打撲捻挫で治療が長引いた場合、その多くは被害者感情からくる「大げさ」、保険金狙いの「詐病」、あるいは「心身症」による症状の遷延化が疑われます。これらを排除した真の症状に苦しむ被害者を、自賠責は症状の一貫性・信憑性から判断します。骨折のように明確な画像もなく、医師の診断が数値化できない、このような審査に自賠責保険の調査事務所の判断もぶれると思うのです。その点、もっとも読みづらい後遺障害と言えます。
私達も年に数件、認定等級の予想を外すことがあります。その度に、経験や知識だけで軽率に判断してはいけないことを再確認させられます。
本件は、抜群の戦功から今年、二階級特進(つまり昇給)の佐藤が担当しました。
私、佐藤も4年目、仕事に自信がでてきましたが・・ゆえの慢心を戒めなければなりません
非該当⇒併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代女性・千葉県)
【事案】
自動車に搭乗中、急な右折で専用レーンに割り込んできた車に衝突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足の痺れ、頭痛、めまい等、強烈な神経症状に悩まされる。
【問題点】
相談時には既に8ヶ月が経過しており、相手保険会社に治療費を打ち切られた後だった。さらに、MRI検査が未実施、受傷機転も軽微な接触、事故も物件扱い、初診が事故から2日後・・・マイナス要素がいくつも絡んでいた。できるだけ全てを取り繕い、後遺障害申請を試みるも結果は非該当であった。
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