受任する何年も前で、事故とは無関係であっても、既に負った後遺障害(既存傷害)、これも十分に検証する必要があります。
なぜなら、自賠責保険の後遺障害審査では、事故で生じた後遺症から、既存の後遺症が差し引いて等級認定をします。この判断を加重障害と呼びます。当然、事故前の障害は、後の賠償交渉で相手側の主要な反論材料にされます。当該事故による障害(賠償金)から、元々の障害分を差し引く・・大変難しい判断になりますが、ある意味、自賠責の加重障害のルールで明確化できます。賠償問題の解決に一定の合理的な考え方として重宝されるのです。
本件の場合、事前の調査で既存障害の実態を把握したつもりでしたが、加重障害を想定できませんでした。結果は、政府の保障事業(引き逃げや無保険車による被害者を国が補償)の等級認定があったことが加重障害判断の決め手になりました。その点、依頼者様にはもちろん、自賠責保険・調査事務所に長い期間の調査負担をかけてしまったと反省しています。
政府の保障事業だったとは・・
3級3号・加重障害:高次脳機能障害(80代男性・埼玉県)
【事案】
歩行中、自動車に衝突される。頭部を強打し、意識不明の状態で救急搬送、急性硬膜下血腫、脳挫傷の診断が下された。