高次脳機能障害により引き起こされる様々な後遺症、どの部分に焦点を当てるか? 立証計画を作成するにあたって、心がけていることです。
すべての症状を余すところなく、完璧に主張することが基本ですが、本件の場合、とくに労働能力の低下に注目しました。日常生活の障害は睡眠障害と味覚障害が主訴ですが、これらは等級を引き上げる要素としては弱いものでした。一方、職場では極端に疲れやすく、段取りも悪く、慣れた工程すら忘れて覚えられません。簡単な片付けや掃除ならまだしも、まったく仕事にならないのです。
これでは、サラリーマンの場合は当然「クビ」になりますが、家族経営の自営業者の場合、解雇にならず、勤め続けます。それは当然に家族だからです。しかし、後の賠償交渉で、「復職できていますね」と相手損保から指摘されるのはしゃくなわけです。そこで、労働能力の全廃と言わないまでも、専門職への復帰不能はもちろん、業務が相当限定される5級2号を目指す必要がありました。一見、7級の症状でしたが、なんとか一つ繰り上げた次第です。
毎回、ギリギリの勝負です
5級2号:高次脳機能障害(40代男性・神奈川県)
【事案】
バイクで信号のない交差点に進入したところ、自動車と出会い頭衝突。頭部を強打し、意識不明の状態で救急搬送、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、頭蓋骨骨折の診断が下された。
【問題点】