【事案】
交差点で信号待ち停車から青信号で発進のところ、左方からの信号無視の自動車の衝突を受けた。直後から上肢・下肢の痺れを発症、救急搬送された。1週間後に症状が急変し、緊急手術となった。急いで頚髄への圧迫を除去する必要があり、椎弓の拡大術並びに、椎間の固定術を行った。
術後も、4肢のしびれ・運動障害・筋力低下に留まらず、あらゆる神経症状(排尿障害、生殖機能の障害、わずかに嗅覚・味覚低下)が発露した。リハビリを2年続けるも、改善が進まなかった。
【問題点】
年齢相応の脊柱管狭窄症、さらに、後縦靱帯骨化症の兆候がみられた。相手損保は既往症の主張をすること必至と思われる。予想される紛争に対し、等級認定まで隙の無い治療経緯と、万全の検査が勝負を分けることになる。
【立証ポイント】
まず、速やかに労災手続きをとって、治療費の圧縮を図る。0:100の事故ながら、相手損保に対して過度なプレッシャーを抑制、つまり、治療費の増大を押さえた。続いて、症状の緩和を優先、鍼灸マッサージを併用したリハビリの延長をしぶとく取り付けた。それでも、1年半経過で、相手損保がしびれを切らした。以後は、労災の休業給付を引っ張り続けて、諸症状の検査を推進、泌尿器科(排尿、生殖機能)、耳鼻科(嗅覚)、歯科(歯牙欠損)受診後、すべてをまとめた後遺障害診断書と申述書を完成させた。
神経系統の障害は諸症状を総合して判断するので、症状を漏らさずコツコツ積み上げることが等級を決める。歯の障害を除き、すべての神経症状を含めた最高等級が認定された。それが、介護状態に至らずも就労不能とされる3級である。今後の賠償交渉に十分なアドバンテージを得たことになる。
身体障害者手帳の申請を既に済まし、平行して労災の障害給付の手続きを推進中、こちらも年金支給の3級を確保する予定。受傷直後からのフォローは確実にして王道、もめてからの受任とは比べ物にならないのです。
(平成30年7月)