【事案】
バイクで直進中、左折自動車に巻き込まれ受傷、右腕の肘(橈骨骨頭部)と第3指(中指)末節骨を骨折したもの。その後、尺骨突き上げ症候群を併発、手首のTFCC損傷の診断名が加わった。
【問題点】
手関節の専門医を受診したところ、手術適用も示唆された。しかし、MRI上、TFCC損傷は自賠責が認めるほどの所見はない。橈骨骨頭部の骨折から橈骨と尺骨のバランスが崩れ、尺骨の突き上げが起ることは理論的にはありうる。ただし、患部(TFCC)に明確な損傷が必要であり、また、手術をしなければ「その程度のケガ?」と判定されかねない。
【立証ポイント】
骨折を伴うケガは信憑性を得易いが、TFCC損傷はかなりレアな傷病名であるにも関わらず、ネット(おそらく火元は「交通事故110番」)でその存在が拡散したものと言える。専門医の確定診断もMRIだけに頼らず、かなり慎重に検証している。
自賠責での12級は明確な画像所見を要求する。一方、労災ではそれほどでもなく、専門医の診断名や顧問医の診断から12級を得易い。自賠責でコケたら、労災で12級認定を目指すプランとした。
結果として、自賠は14級判定に留まった。その後、労災申請を行い12級を確保。(あいまいな)TFCC損傷は、自賠と労災の審査基準の違いを明確に感じる傷病名でもある。
※ 併合の為、分離しています
(平成28年6月)
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