毎年、年末年始は業界向けの展望や、所信表明など暑苦しい記事をUPしています。今年も少しですが、つづりたいと思います。
さて、交通事故業界も宣伝面では成熟しきった感があります。重大事故では変わらず「紹介」(による依頼)が重きを成しますが、ネット検索で依頼先を探すことはスタンダードになりました。10年前は交通事故の宣伝をする、まして交通事故専用のHPをもつ事務所など、ほんのわずかでした。それが、毎月数百万円を使ってリスティング広告をだす大型事務所、続く中堅事務所が出揃って、ネットを席巻した感があります。弊所のようにマニアックに専門性を打ち出している事務所には一定のニーズがあり、それ程の影響を感じませんでした。しかし、純粋にネットからの依頼は減少傾向です。今年はとくに、リスティング広告の食い合いが明かで、1クリックの宣伝費の高騰が見て取れます。グーグルもヤフーも笑いが止まらないと思います。
もちろん、毎年のごとく所感していますように、これは7年前から予想していたことです。ネットの熾烈な競争、この傾向は今年がピークで来年は横ばい、以後、ジリジリと宣伝費の経費がかさみ、体力のない事務所の撤退が進むと予想します。では今後、この業界で食っていくにはどうすべきか? 実はこれからの準備では遅いと思っています。ここまでの数年間、どのように備えてきたが、問われるからです。
依頼者を安易に呼び込む事に、ネットほど効果的なツールはありません。しかし、人生がかかったような大ケガの場合、依頼者は真剣に相談先・依頼先を探します。そうなると、HPのコンテンツの充実だけではなく、初回相談の印象はもちろん、解決へ向けてのプレゼンテーション=対応力が厳しく吟味されます。真剣な重傷者は、依頼に慎重になり、(業者から買い取ったような)張りぼてと化したHPを見破ります。これからは、より交通事故業務における、実力・経験が問われるようになります。この流れは、どの仕事に等しい経緯であり、また、実力の養成もあらゆる技術職に同じく、一朝一夕では成しえません。業界の戦国時代を迎えて、果たして実力を養った事務所はいくつあるでしょうか?
秋葉事務所に依頼した被害者さんや弁護士事務所のニーズをみますと、その多くは偶然に相談してきたものではありません。交通事故の解決で最初の大きな山は、なんと言っても後遺障害の申請・認定です。事前認定や、後遺障害認定に何もしてくれない事務所を見限って、あるいは危ういと感じた依頼者さんは増加の一途です。また、弁護士事務所も後遺障害の重要性を噛み締め、秋葉への依頼とする流れは続くと思います。ご依頼には(秋葉でなければならない)必然性があったのです。私の目指すべきは一定のニーズがある以上、求める声にできるだけ応えていくことです。それには、事務所の仕事の評価を高めていくことに尽きると思います。
実績ページをご覧になっていただければお解りと思います。多くは従来の対応では生ぬるく、誰かのフォローがなければ残念な解決を覚悟すべき案件でした。相談・受任件数や顧客満足度などの宣伝は、手前味噌でいかように脚色できるものです(通販系の自動車保険のCMのノリですね)。積み上げた500件以上の実績例は伊達ではありません。そして、依頼の96%は病院同行や実動作業を通じて、成果をだしています。この数年、多くの行政書士が交通事故に参入しましたが、この医療調査の技術と障害立証の実務を磨かないまま、多くが撤退した事実がそれを証明しています。単なる書類の取りまとめで要領よく報酬を得ようとしても、それは隙間産業が一瞬勃興したに過ぎず、永続性はありません。そして、一部は弁護士の職域である賠償交渉に手を染めていく・・結果として、協力を求められるはずの弁護士から徹底的に嫌われました。中途半端な資格である行政書士は安易に流れやすく、単独の受任ではこの仕事に向いていないと思います。交通事故に限らず、行政書士の代書権は他士業との連携で最も威力を発揮するものです。
これは、弁護士事務所にも突きつけられる課題と思います。賠償交渉以前の保険事務と医療調査、後遺障害認定等、これら損害調査に長けた弁護士は少ないと思います。当然、医療調査は弁護士の専門から外れます。顧みるに、後遺障害の立証に際し、独自に注力し、実力を備えた先生はほんのわずかと思います。この5年間、20事務所50名に及ぶ弁護士先生と仕事をした経験からそのように思います。士業の世界では、「何でもできる事務所は、何にもできない」と言われています。これは専門性が大事であることを示す言葉です。交通事故は数ある法律事件の一つに過ぎません。弁護士先生といえど万能ではないのです。
辿ってきた道は間違ってはいません。今まで通り、求める声に応じる仕事を積み重ねていくこと、その声に届くよう、いくつかの工夫を加えることです。今年は、可能な限り宣伝に力を入れる事はもちろんですが、人員の採用・育成と事務所移転を含めた体制強化を目標にします。例年とあまり変わり映えのないことかもしれませんが、2018年は目に見える成果を出したいところです。
そして、ご依頼頂いた交通事故被害者さますべてに、納得のいく業務を提供していきたいと思います。これは、年々紹介の増加で手ごたえを感じています。業界の5年先10年先を見据え、被害者のための医療調査を軸とした被害者救済業を、この国に根付かせる仕事を続けていきたいと思います。来年もよろしくお願いします。
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