先日の相談会で、過去に椎間板ヘルニアで手術された相談者さまがいらしゃいました。術式はおそらくラブ法です。脊髄への圧迫がひどいと、その除圧のために椎弓形成拡大術や、前方固定術となりますが、ヘルニア自体を削る場合は比較的、簡易な手術が選択できます。改めてラブ法含め、椎間板ヘルニア実質への手術について整理したいと思います。どうも知識が曖昧でした。
【1】椎間板摘出術(LOVE法)
全身麻酔下で椎間板の摘出を行います。5㎝前後、背中にメスを入れ、飛び出したヘルニアを切除します。手術自体は30分から1時間くらいで終わります。髄核だけを摘出する方法と椎間板全体(繊維輪ごと)を摘出する方法とがあります。術後の経過とリハビリで、およそ入院期間は2週間です。この方法の利点は、従来型の手術なので、症例がたくさんあることと、保険適用が可能であることです。
【2】内視鏡下椎間板摘出(切除)術(MED法)
現在、主流といわれている手術方法です。全身麻酔下で行います。背中に1.5㎝~1.6cm程度を切開し、その穴から内視鏡をつけた外筒管を入れ、モニターを見ながら、飛び出た髄核を摘出しますす。手術時間はおよそ1時間(熟練の医師であれば、もう少し早いようです)。LOVE法と比べ、メスの切開創が小さく、治癒も早くなります。入院期間は1週間弱で、その後2週間くらいで職場復帰も可能となります。こちらも保険適用の手術となっています。
【3】ヘルニアのレーザー治療(PLDD)
レーザー手術は、椎間板の髄核の中にレーザー照射用の細い管を入れ、レーザー光線により、髄核内の水分を蒸散させる手術です。水分を蒸散させると神経を圧迫している椎間板の圧が減り、痛みがなくなるというわけです。局所麻酔で行います。手術時間も30分~40分と短く、傷口も小さいため、体への負担も少なく、日帰りも可能な手術です。しかしながら、最新の方法ゆえに、現在まで保険適用されないこと、症例数が少ないこと、レーザーが髄核内の水分の蒸散だけでなく、近くの部位にあたり、傷つけられる心配もあります。 <坐骨神経痛のザコナビさまより一部引用>
すべての手術に言えますが、リスクは0ではありません。上記3つの術式にも、それぞれメリット、デメリットがあります。例えば、主流のMED法であっても、施術者の内視鏡手術の経験件数の問題で、どの医療機関でも実施できるというわけではありません。主治医はもちろん、専門医と相談し、場合によっては手術を回避して保存的な処置に留めるなど、慎重に選択する必要があります。