【事案】

自転車走行中、交差点で自動車と出会頭衝突したもの。脳挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血の診断で救急搬送、その後、保存的加療で改善が進んだ。

まず、弁護士に相談があり、後遺障害の立証について協力の要請を受けた。

【問題点】

左半身に軽度の麻痺が残るも、リハビリでの改善は良好。学校成績もほぼ復調に。子供特有の回復力は何よりであるが、例によって、周囲から障害の残存が理解されない。しかし、親からのシビアな観察では、記憶力や注意力の低下、怒りっぽい(易怒性)、幼児低下があり、さらに、疲れやすく(易疲労性)、運動神経の低下、巧緻運動の低下がみられた。これら微細な症状、潜在的な症状を克明に立証する必要がある。

【立証ポイント】

仙台で2度、リハビリ科の主治医と打合せを行った。既に実施されたWaisⅢ(知能検査)のIQは正常どころか、むしろ高いレベルを維持しており、waisや他の再検査をしても正常値、高得点が予想された。これは医師の見解とも一致した。そこで、検査数値に表れない家族の観察・エピソードを徹底的に集積し、日常生活状況報告と学校生活状況報告の別紙にまとめた。これらの情報を積み重ねた上で、医師に診断書を記載頂き、提出した。自賠責も判定が難しくなったはず。

提出後、危惧してはいたが、やはり自賠責はWaisの再検査を要求してきた。医師に再検査の意味合いを説明した手紙を託し、実施に及んだ。高得点は予想通りであるが、本人の学力を反映する「言語性IQ」が高数値を維持するも、比して「動作性IQ」が低く、両者に極端な差が現れた。また、「言語理解IQ」が平均以上に高いにも関わらず、「作動記憶」や「処理速度」の低さが目立った。これは、注意機能の低下や易疲労性を裏付ける結果になったと思う。

 wais3のキット

以上から、やや甘いながらも5級認定。少年の障害を最大限に見積もったと言える。

(平成29年10月)  

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 遅ればせながら、今夏の弁護士研修会で担当した、弁護士費用特約の各社比較から紹介します。    三井住友の不合理条項として、以前から取り上げてきた、弁護士費用特約の労災免責が最新約款(2017.4.1改訂版)から無くなっていました。えらく細かい事を言っているようですが、交通事故の現場で一体、何人がこの免責(つまり、保険がおりない)で泣かされたことでしょう。これを削除した三井住友さんの約款改正を称えたいと思います。是々非々でいきましょう。

 弁護士費用特約の労災免責とは? ⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑩

(改定=削除前の約款> 太字の部分です

(3) 当社は、次のいずれかに該当する被害を被ることによって生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。 ① 被保険者が麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響を受けているおそれがある状態で発生した易体の障害または財物の損壊 ② 液体、気体(注13)まだは固体の排出、流出またはいつ出により生じた身体の障害または財物の損壊。だだし、不測かつ突発的な事由による場合を除きます。 ③ ...

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