昨日は審査会の概要、歴史について勉強しました。それでは、実際の利用数について、同じく「2016年度 自賠責保険の概況 (損害保険料算出機構 出版)」から確認してみましょう。
図9、審査会での後遺障害判定が注目です。自賠責の後遺障害のおよそ65%は、むち打ち14級9号ですから、審査会は一部の重傷者や異議申立のための機関と言えます。
自賠責保険(共済)審査会」で審査を行った件数
図8 有無責等の専門部会<2015年度> 続きを読む »
昨日は審査会の概要、歴史について勉強しました。それでは、実際の利用数について、同じく「2016年度 自賠責保険の概況 (損害保険料算出機構 出版)」から確認してみましょう。
図9、審査会での後遺障害判定が注目です。自賠責の後遺障害のおよそ65%は、むち打ち14級9号ですから、審査会は一部の重傷者や異議申立のための機関と言えます。
図8 有無責等の専門部会<2015年度> 続きを読む »
先日の「JAが自賠責共済の審査をやめる」の記事で度々でてきた、自賠責保険の審査会について、改めて調べてみました。2016年版「自動車保険の概況」(発行:損害保険料率算出機構)からの抜粋です。
認定が困難なケースや異議申し立てがあったケースなどについては、その審査にあたって特に慎重かつ客観的な判断が必要とされます。そこで、当機構では、自賠責保険(共済)審査会を設置し、審査体制を整えています。
審査会では、審査の客観性・専門性を確保するため、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が審議するとともに、事案の内容に応じ専門分野に分けて審査を行います。
審査会の対象となる事案は「特定事案」といい、次のような事案が対象となります。 <対象となる事案> ・死亡時案で全く支払われないが減額される可能性がある事案 ・異議申立事案 続きを読む »
昨年から、”JA自賠責共済の審査を、自賠責保険の調査事務所に任す”との報が届いていました。最近、JAへの審査案件で具体的な回答がいくつかあり、いよいよ実体の把握に至りました。 具体的に説明しますと、
「(JA共済連で行っていた)JA自賠責共済にかかる損害調査業務を、平成28年10月1日から、平成30年10月までを目処に、その調査業務を損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所に移管します」
とのことです。今年に入って関東各県では移管が完了しているようです。 これは私達にとっては大変喜ばしいことなのです。今まで、数々のJA自賠責共済の認定でびっくりするようなジャッジを受けて、再請求(異議申立)の手間が増えていました。14級9号は明らかに自賠責保険の審査より厳しかったと思います。さらに、難事案の調査・審査について、農協職員に審査能力があるのか?と思っていました。
例えば、高次脳機能障害、PTSD、そして異議申立(再請求案件)です。これらは、自賠責保険でも特定事案として、特別な「審査会」に移送して調査・判定をしています。代表的な審査会として、以下3つが挙げれます。 1、脳外傷による高次脳機能障害に該当する可能性がある事案等
2、非器質性精神障害に該当する可能性がある事案等
3、異議申立事案 このように、自賠責保険では外部の医師、弁護士を交えた専門部会で慎重な調査・判断をしていますので、一定の信頼を置いていました。しかし、これら難事案であっても、自賠責共済はJAの各都道府県にある本部組織である「共済連」で決めてしまっていたのです(例外的に15年前、高次脳機能障害は自賠責の専門部会扱いとしました)。特に被害者の一生がかかった後遺障害等級を、加害者側が審査・決定していいのか!と怒りにも似た感情も沸きました。事実、実態より低い等級が判断され、現在も連携弁護士の訴訟にかかっている案件もあるのです。 かつて、身内審査との批判をしたことがあります。⇒ JA自賠責共済の審査・・14級9号は? 「14級9号の初回申請はとりあえず非該当にしとくのか!」、「せめて、後遺障害の審査だけでも自賠責保険の調査事務所に任せてもらえないか?」、私一人が吼えたところで・・でした。今まで、このJAの身内審査について、問題提起する声をそれ程多く聞きませんでした。つまり、批判の声からの改正ではなく、組織内のスリム化の要請からかもしれません。それでも、弁護士を含めた私達のような業者はもちろん、なにより、事故相手がJA自賠責共済に加入していた被害者にとって朗報なのです。きっと、心あるJA担当者もホッとしているのではないでしょうか。
下腿骨は脛骨と腓骨の2本の長管骨です。これも大腿骨に同じく、きれいにポキッと折れた場合は、わりと問題なく癒合します。しかし、骨折箇所が膝関節と足関節に接近すればするほど、後遺症は必至となります。手術での整復が完璧であっても、関節部の完全回復は難しいようです。下記実例が示すように、日本一を名乗って良いくらい、あらゆるパターンの下腿、足、足指のケガが網羅されていますが、その多くは関節部です。
また、折れた骨が皮膚を突き破ってしまう、いわゆる開放骨折は感染症の危険にさらされます。MRSAなどに感染すると、骨折面の骨を洗うというより、ゴリゴリ削らなければなりません。これで、癒合が相当に遅れてしまうのです。難治性骨折となった患者さんは、感染症に対応できる病院、イリザロフ法などが可能な病院に転院しなければなりません。だらだらと何ら対策せず、骨癒合を待つだけの病院にいてはいけません。下肢の障害では何度もその悲劇をみてきました。早めのご相談をお願いします。まず、最善の治療を選択すべきです。障害等級は低いに越した事はありません。
頚椎捻挫や腰椎捻挫で14級9号を狙う方には、通院回数についてアドバイスさせていただきます。 「医師の指示のもと、リハビリを続けてください。その結果、症状の残存があれば後遺障害申請を進めましょう。」 弊所では整形外科でのリハビリを推奨しています。しかし、整形外科は混みますし、遅い時間や土日祝日はやっていない。会社勤めの方には非常に通院するのが厳しい状況です。そのような中、夜遅くまで営業し、尚且つ土日祝日も営業している接骨院や整骨院は頼れる味方です。リハビリの内容や対応もサービス精神旺盛でついつい通いたくなるのです。私も小学生の時に骨折した際には、接骨院でリハビリに励みました。
しかし、後遺障害申請の14級9号に関しては、あまりいい結果を生みません。保険会社(自賠責調査事務所)は病院(整形外科)の通院回数を重視しています。例え、医師の指示により接骨院でリハビリをしていたとしても・・厳しい評価となります。相談会にいらした方や、お電話での相談を受けた方にも、整形外科での通院をお勧めしています。もちろん、接骨院や整骨院に腕のいい先生はたくさんいらっしゃるので、効果を否定しているわけではありませんが・・・。
なぜ、自賠責ではこのような現象が起こるのでしょうか。先日お電話で相談があった案件を再現いたします。 弊所 「今までの治療経過を伺ってもよろしいでしょうか?」
相談者「はい。受傷から5ヶ月間は自由診療で整形外科と整骨院を併用して治療を行ってきました。整形外科に週1回程度、整骨院には週2回~3回程度です。その後は健康保険に切り替えて、立替払いで整形外科のみ通院しています。」
弊所 「なぜ急に健康保険で立て替え払いになったのですか?」
相談者「保険会社さんから連絡がありまして…。どうやら整骨院からの請求が異常に高額だったようです。確認したところ、通院回数も水増し請求しているようでした。」 このようなことが多発したため、施術料の支払いはもちろん、後遺障害申請における通院実績として判断してくれないのかもしれません。
被害に遭ったときから後遺症の事を考える方は、ほぼいません。接骨院・整骨院で完治するのであれば、それもいいかもしれません。ただ、障害が残ってしまった場合には要注意です。いつの日か両者が和解する日が来るのでしょうか。 続きを読む »
頭部外傷によって、忘れっぽくなった(記憶障害)、段取りが悪くなった(注意・遂行能力の低下)、すぐキレる(易怒性)、元気がなくなった(易疲労性)、性格が変わった等・・が起きてしまいました。家族は以前と変わってしまった被害者を前に困惑しています。しかし、必ずしも主治医が「高次脳機能障害です」と診断するわけではないのです・・・ 高齢者の場合 ⇒ 医師「お歳なので痴呆のせいですよ」
= 単なる認知症にされてしまう
言葉が乱暴、医師に反抗的? ⇒ 医師「(怒りっぽい人だなぁ)ケガは治ったので退院しましょう」
= 医師は事故前の患者の性格を知らない
脳内出血が止まった ⇒ 医師「もう危険は去りました あとは安静にして下さい」
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秋葉事務所では、高次脳機能障害のご依頼を常時10件ほどお預かりしています。
しかしながら、最近、相談数そのものが減ったように感じます。事故自体が減ることはよいことです。ただ、心配していることは、既に他事務所に相談・依頼している被害者(ご家族)さまからのセカンドオピニオンの増加でしょうか。その相談者の多くは、現在の依頼先事務所に対して、契約前の宣伝文句から程遠い、頼りない対応に不安を抱えているようです。残念ながら、担当した弁護士や行政書士が高次脳機能障害の経験に乏しかったのでしょう。 法律事務所やNPO団体、業者による相談誘致が増加、熾烈を極めているようです。ネット上の広告攻勢で相談先が評価されてしまうとすれば、由々しき問題です。なぜなら、ほとんどのHPは専門書から転用した知識の記述に終始して、肝心の障害の立証方法や誘致できる病院の確保については書かれていません。事務所の実力は正にここで、多くのHPはその実力が未知数です。単に書類を取りまとめて申請するだけの事務所に任せてしまったら、重大な見落とし、検査不足、書類不足・・つまり、等級が軽く評価されてしまう危険性があるのです。
したがって、再三ですが、以下のように呼びかけます。
現在、ネットの世界では多くの弁護士が「我こそ高次脳機能障害の専門家」と名乗っています。専門的な解説がびっしりのHPを観て違和感を感じないでしょうか?
高次脳機能障害の認定数はおよそ年間3000件です。このわずかな認定数から、それ程多くの法律家が担当しているわけがないのです。つまり、年に1件あるかないかの受任数でも、専門書丸写しのHPで経験豊富とうたっているのです。やはり、宣伝が先行し過ぎの風潮を感じます。これもネット社会の功罪でしょうか。
さて、前置きが長くなりましたが、以下の実績は本物です。私達がいかに高次脳機能障害に取り組み、成功したか・・・生きた記録の数々から、ご自身の類似例を探して下さい。必ず道は開けます。
「むちうちの12級は難しいからねぇ・・」
相談先でこのような回答をされた被害者も多いと思います。 私達の見解は違います。むしろ、むちうち12級の認定を実にシンプルに考えています。12級は、画像所見で勝負が決まるからです。自賠責の基準は明快で、画像が一番の証拠と捉えています。他には筋電図のような検査数値です。これらを他覚的所見として、自身が訴える「痛み」(自覚症状)と区別しています。 × 症状がひどいから12級、それなりなら14級
○ 画像など明確な証拠があるものが12級、自覚症状だけだが信用できるものが14級 このように説明できます。 「私の症状はとても辛いです、12級になりませんか?」はおなじみの相談です。それでは、改めて実例ページから復習しましょう。秋葉事務所は常に実例からの説明を心がけています。 以下は、明確な画像所見から認定を得ました(特に2番目の栃木の方は明確な脊髄・神経根への圧迫画像を載せています)。そもそも12級レベルは、むちうちの後遺障害認定者100人に2~3名程度の確率なのです。
これも珍しいケースです。
指の伸筋腱とは、指の背側に張り付いて、指をまっすぐ伸ばす時に、手の甲から指を引っ張る役割をしています。この腱が断裂すると指が伸ばせなくなり、ただちに手術で再建します。軽度の損傷では保存療法となります。本件の場合、伸筋腱が指のMP関節(根元の関節)で外れてしまったのです。幸い、指の曲げ伸ばしに深刻な影響はなく、痛みと不具合が残りました。手先を使う細かな作業には影響があるといえます。ピアノを弾く方ならご理解いただけるでしょう。
自賠責の判断はやはりと言うか、14級9号での評価となりました。 後日談ですが、元々、指の伸筋腱が関節部で外れて動く人もけっこういるようです。担当した弁護士さんもそうでした。
【事案】
自動車で交差点を直進のところ、右方より一時停止無視の自動車に側面衝突を受けた。頚椎捻挫の診断のほか、右手の甲、人差指~中指のMP関節部を傷めた。
【問題点】
右手の診断名は伸筋腱脱臼となった。手の甲(中手骨)から示指(人差指)、中指にかかる指の靱帯が、指の屈曲時に左右に動くようになってしまった。これは、どのような後遺障害に該当するのか? 続きを読む »
【事案】
自動車で交差点を直進のところ、右方より一時停止無視の自動車に側面衝突を受けた。頚椎捻挫の診断のほか、右手の甲、人差指~中指のMP関節部を傷めた。
【問題点】
右手の診断名は伸筋腱脱臼となった。手の甲(中手骨)から示指(人差指)、中指にかかる指の靱帯が、指の屈曲時に左右に動くようになってしまった。これは、どのような後遺障害に該当するのか? 【立証ポイント】
相談会で指の症状を確認、とりあえず頚椎と平行してリハビリの継続とした。その後、症状固定時に主治医と症状についてどのように診断書に記載するか打合せの上、診断書を作成、頚椎でも14級を確保できる内容に仕上げた。また、秋葉事務所ではおなじみのビデオ立証にて、指の曲げ伸ばしで伸筋腱が外れる?様子を撮影した映像を添付して申請を行った。
結果、細かいこと抜きに、症状の一貫性から頚椎と指の双方に14級9号が認められた。
(平成28年11月)
交通事故外傷の実に65%を占めるむち打ちですが、単なる捻挫・打撲ではなく、神経症状を伴うものは症状が長期化する傾向です。しかし、保険会社は「捻挫・打撲でいつまで通っているんだ(怒)!」と3ヶ月以上の通院は許さない姿勢です。確かに、大げさに症状を訴える者、心因性の被害者が多いと思います。その中から、症状が嘘偽り無くある被害者さんを救わねばなりません。その点、症状の一貫性、信憑性から認定の余地がある14級9号「局部に神経症状を残すもの」は大変便利な評価基準です。
秋葉事務所でも、この14級9号を想定して、多くの傷病名から認定を引き出しています。
「14級9号を知る者が後遺障害を制する」
と後進に指導しています。これら好取組みの中から、いくつか紹介しましょう。 佐藤が担当しました!
【事案】
自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかった後続のトラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。特に、めまいと耳鳴りが受傷後から残存した。
【問題点】
症状固定の月、最後の診断では眼振検査で異常がみられなかった。また、頚椎捻挫で難聴・耳鳴りが発症するのか? 続きを読む »
【事案】
自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかった後続トラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。特に、めまいと耳鳴りは受傷直後から残存した。
【問題点】
頚椎捻挫で難聴・耳鳴りが発症するのか?
【立証ポイント】
月に2回の聴力検査を実施していたが、難聴よりも耳鳴りの方が重篤であったため、ピッチマッチ検査とラウドネスバランス検査を依頼した。しかし、受診していた耳鼻科には設備がなかった。本人の早期解決希望を尊重し、総合病院での検査は断念することになる。その後、損害保険料率算出機構から全ての期間の検査結果を追加依頼されたため、症状に疑義がもたれたよう。 すべての検査数値は平均して30dbを超えていなかったため、耳鳴り・12級相当には届かなかったが、14級相当の認定を取り付けた。
(平成29年1月)
※併合の為、分離しています
【事案】
自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかった後続のトラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。特に、めまいと耳鳴りが受傷後から残存した。
【問題点】
症状固定の月、最後の診断では眼振検査で異常がみられなかった。
【立証ポイント】
事故当初から耳鼻科にかかっていたため、保険会社の疑いの眼差しがやや弱かった。そのため、症状の改善がないようであれば、継続的に半年間の通院をするように促した。最終月には症状がやや軽減していたが、後遺障害診断書に記載を依頼し、14級9号認定となった。
(平成29年1月)
※併合の為、分離しています
かつて、4肢骨折、つまり、腕と脚4本すべて骨折した被害者さんや、高次脳機能障害と骨折4箇所、内臓損傷に嗅覚味覚障害、醜状痕が重なった重傷者も担当してました。これらは実に4人分の立証作業になります。
本件も残存する症状が多肢にわたり、両手首と右脚のケガがメインながら、被害者さんの転勤で治療先が大阪と東京に分かれ、医師の見解にもばらつきがあって、大変な作業となりました。山本の奔走で結果的に併合9級になりましたが、併合等級の計算上、14級をいくら加えても等級は上がりません。すると一見、無駄な努力に思われます。しかし、引き継いだ弁護士が賠償交渉をする上で、障害の部位数が多いことが慰謝料増額の交渉材料になりうるのです。
何より、被害者の心情としては、被ったすべての障害をしっかり認めてほしいのです。 山本は大阪と東京の病院を2往復! 等級を完璧に捉える姿勢は、もはや、後遺障害界のアーティストか?
【事案】
オートバイで交差点直進中、対抗右折自動車と衝突、その衝撃で左側路外に逸脱、転倒した。受傷から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。
【問題点】
当初の診断名が右橈骨遠位端骨折、左手関節部挫傷・打撲となっていたが、その後すぐに自宅近くの病院に転院し、左手に関しては左有鈎骨骨折、左膝捻挫の各診断となった。ところが、その時点では前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が記載されていなかった。事故から2カ月経過後、ようやく左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が確認できた。その後、PTSD、網膜裂孔等次々に診断が増えていくことになった。
相談会では、現在の症状の確認と手持ちのすべての画像を確認することから始まった。網膜裂孔についてはすでに後遺障害診断書にまとめられていたが、診断書や症状を確認して、PTSDと共に等級は認められない可能性を説明し、残りの両手首の疼痛・可動域制限、左膝の疼痛と不安定感、右足首の疼痛でそれぞれ等級を確保すべきと説明した。
また、転勤で地元を離れて東京に住むことになったため、手術・検査が可能な治療先の確保も急いだ。
【立証ポイント】
膝のMRIを確認したが明確に映っておらず、専門医に診て頂く必要があった。大阪まで病院同行したが、地元の主治医は下肢の治療についてはあまり関心を示さず、膝や足関節の専門医の紹介状は書いて頂けなかった。症状固定をする前にどうしても下肢について検査をする必要があったこと、また引越し先で本格的な治療をする必要があったことから、なんとしても紹介して頂く必要があった。そこで、主治医に以前リハビリのために紹介して頂いた東京の整形外科へ行き、下肢の治療の必要性を本人と共に伝え、膝についての専門医の紹介状を入手することができた。ひとまず膝について先に診察、検査を実施して頂くことに成功する。
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本件は足関節の機能障害ですが、ご高齢ながらご本人のリハビリ努力である程度の回復を果たしました。 もちろん、被害者最大の努めは回復努力です。しかし、適切な時期に症状固定をしないと、中途半端な回復で後遺障害等級が薄まります。何度も言いますが、これは後遺障害等級・賠償金を目当てとした姑息な作戦ではありません。骨折の場合、折れ方や手術内容、癒合状態や理学療法の成果、これら画像所見を中心とした各情報から自賠責は可動域制限の程度を検討します。ゴニオメーター(右写真の関節用分度器)の計測数値だけで全てが決まるわけではないのです。
本件は特に、高齢者の三果骨折です。若い人がよく治ったとして、12級は間違いないと予想できます。しかし、本来は10級の後遺障害を想定すべき程の骨折様態でした。リハビリ直後の一番コンディションが良い時の計測値が障害の数値でしょうか? 高齢者の場合、症状固定後も回復が進むとは思えません。むしろ、若い人と違って再生力が弱く、活動量が少ないため、可動域が悪化する懸念を持ってしまうのです。 すると、本件の12級は正しかったのでしょうか? やはり、適切な時期に10級の審査を仰ぎたかった。「事故の後遺障害に加齢による悪化を予想、斟酌すべきか?」・・あくまで症状固定日の状態で診断する、が正しいです。 それでもお婆ちゃん子だった私は、お年寄りの被害者にはそう思ってしまうのです。
【事案】
横断歩道を歩行横断中、対抗右折自動車の衝突を受け、受傷。足関節は三果骨折となり、プレート固定術を施行。その後、関節可動域の改善の為、リハビリを継続した。 三果とは下図、脛骨・脾骨の遠位端の角を指します。この距骨に接する骨の接合面が骨折して脱臼するので、関節の機能障害はほぼ確実となる。 続きを読む »
弊所の案件の一定数は弁護士事務所からの依頼です。
とくに、病院同行・医師面談、検査手配・立会、画像分析の実動業務は専門性と経験が必要です。交通事故に精通した弁護士先生ほど、医療調査を軸とした立証作業と等級申請を重視しています。本件のオーダーはシンプルながら、難易度が高いものです。誤計測の可能性があった足関節の可動域数値の再検証と修正です。
弁護士で自ら医師面談をされている先生もおりますが、餅は餅屋、ここは私達にお任せ下さい。ご期待に応えます!
【事案】
バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突、受傷したもの。足関節の内果(脛骨)と外果(尺骨)、つまり、両くるぶしを骨折して脱臼した。
【問題点】
当然のように足関節の可動域に制限が残った。しかし、医師の計測数値は、わずか5°差で非該当の角度であった。受任した弁護士は諦めきれず、「秋葉君、なんとかならないかね」と依頼してきた。
本人のリハビリ努力で可動域を改善させた事は、後遺症を残すより良いに決まっている。しかし、画像を確認したところ、骨癒合は良くとも、わすかに転位がみられた。改めて本人の足関節を計測したところ、左右差はギリギリ4分の3以下、つまり、12級7号の数値となっている。私の計測の方が正しいはずである。「なんとかしましょう」とお受けした。
【立証ポイント】
早速、主治医に面談し、不承不承、再計測の理解を得た。うるさく計測に立会い、医師に計測をさせること3回、なんとか正しい数値に訂正していただけた。整形外科の医師といえど、理学療法士や作業療法士のように正しい計測を学んだわけではなく、往々に不正確な計測をするのです。 続きを読む »
仕事柄、毎日のように診断書をみていますが、どうして医師は左右間違えて書くのでしょうか? ケガをした脚は右脚なのに、左脛骨骨折。 足関節の可動域制限は骨折した左足首なのに、左右逆に角度を書く。 醜状痕は右腕なのに左腕にキズを図示。 右耳難聴なのに左耳聴力低下。
信じられないと思いますがこのような間違いは頻繁に起こります。だからこそ、診断書の記載内容はよく見てから受け取るべきで、まして保険請求や障害審査の場合は慎重に確認してから提出すべきです。もちろん、単なるミスであることがわかれば、保険会社や審査機関は修正のために返してくれます。しかし、不自然でなければそのまま審査されることもあり、ぞっとする話です。なぜ、専門家である医師がこうもよく間違えるものか・・間違いの原因を考えてみましょう。 1、忙しい
・・医師は毎日、多くの患者を診ています。当然ですが、まず症状を良く観察すること、適切な処置をすること、要するにケガや病気を「治す」ことが最優先なのです。診断書の記載は、言わば雑務でしかありません。急患が入れば、昼食もとらずに診察を続け、夜はくたくたに。したがって、診断書は週末にまとめて記載する医師が多いようです。溜ってしまえば、診断書を書くまで数ヶ月も待たされることもざらです。やはり、診断書の記載は気が抜けてしまうのでしょうか。 2、患者に向かって右は人体の左側?
・・医師は患者と正面から向かい合って診断をします。したがって、医師から患者に向かって右は人体の左側です。カルテの記載も画像読影も基本的に左右逆の状態が続きます。これも左右の間違いが多い理由の一つではないかと思います。 3、医師が書いていない?
・・ここに書く事が躊躇われますが、診断書を医師が書いていないことがあります。医師によっては手術をするような重傷患者を診ることなく、軽傷の診察が中心となります。整形外科の個人開業医や内科の個人クリニックがそうです。打撲捻挫や風邪の類で診断書を毎日のように依頼されます。すると、それらの記載を看護士や事務方に任せてしまうことが珍しくないのです。おじいちゃん先生の記載のはずが、丸文字=もろ女子!をよく目にします。もちろん、医師が最終的に記載内容の確認後、署名・印をすると思いますが、それすら怪しい病院もあります。そのような場合、患者を診ていない者が記載するので、やはりミスは起こりやすくなるはずです。 いかがでしょうか。自らの保険金、障害等級、それらの軽重もあるかと思いますが、自らの運命を決める一枚はこのような危うい状況を経ているのです。最近も、提出の直前に左右が逆に書かれた診断書に気付きました。医師の間違いに患者が気付かなければ・・・診断書を精査する私達の仕事ですが、潜在的ながら重要であると改めて思いました。
靱帯損傷はそれが画像所見で明らかにならなければ、単なる捻挫となります。
もちろん、捻挫であれば、消炎鎮痛処置を施せば月日と共に完治するでしょう。しかし、画像上、微細な(もしくは不明瞭な)靱帯損傷であっても、疼痛がいつまでも続く被害者さんを多数経験しています。その場合、無事に14級9号に収める仕事が望まれます。そのためには、できるだけ受傷初期から誘導していく作業になります。つい、捻挫扱いでMRIを撮っていない、湿布を貼るだけで病院に行かない・・確定診断の遅れもさることながら、適切な処置をしなければ改善すら遅れてしまいます。
捻挫程度で保険会社がいつまでも治療費を払ってくれるわけはありません。長期の治療を確保するためにも14級が必要なのです。例え14級でも、最終的に慰謝料・逸失利益は主婦で200万円近くも増額するのです。 佐藤がしっかり担当しました!
【事案】
道路工事の警備中、停止させていた車が急発進、衝突され受傷した。直後から腰部痛のみならず、足の強烈な痛みに悩まされる。
【問題点】
アルバイト中であったため、救急車は呼ばずに自力で帰宅して当日は整骨院で応急処置した。次の日に総合病院へ受診することに。その後1ヶ月間、病院の通院が空いてしまった。依頼を受けて、即、軌道修正に入った。
【立証ポイント】
次の日に受診した総合病院でレントゲン、触診により膝関節内側側副靭帯損傷となり、転院先のMRIでも所見有りとの診断となった。しかし、弊所の分析ではMRI画像上、明らかな断裂等、損傷は見つけられなかった。そこで、半年間しっかりリハビリするよう促し、14級9号認定を目指した。 想定通り、認定票の理由書では画像上、損傷等の明らかな異常は認められずとも、症状の残存を認めていただいた。続きを読む »