【事案】
青信号の横断歩道を歩行中、相手自動車が右折進入し、両足をひかれた。片足は大きく損傷、そのダメージから切断し、もう一方の足甲も中足骨多発骨折、膝下からデグロービング損傷と重篤。さらに、肘も骨折した。
※ デグロービング損傷とは”広範囲皮膚剥脱”創のことで、皮膚が組織ごとはがれてしまった状態です。ひどいと傷口が壊死し、植皮等が必要となります。
【問題点】
事故から1年以上経過後、症状固定し、後遺障害診断書が出来てから相談に来られた。切断肢はある意味、立証作業はない。しかし、もう一方の脚については、精密に等級を定めなければならない。残った脚の立証作業を開始した。
【立証ポイント】
後遺障害診断書の他に写真を添付して申請する。申請後、提出した写真では足りず、自賠責調査事務所から醜状痕の面接の要請があった。
下肢の醜状痕は12級の認定条件である、”手のひらの大きさの3倍以上”あることは明白であった。しかし、相談者は高齢かつ片足切断で車イスのため、介護施設で生活している。このような状況で面接に行くことは非常に酷であり、メジャーをあてた写真を改めて撮影して提出することにした。
自動車に轢過された際、膝から下の下肢に広くやけどを負ったことで、デグロービング損傷をしていた。 具体的にはは ① 脛側 → ② ふくらはぎ側 → ③ 脛側(①よりも下側)→ ④ 足首 → ⑤ 足の甲・踵までらせん状に広がっており、さらに、周辺の皮膚が溶けて固まっている。脛側から見ると、らせん状(線状)ではなく、一面状に醜状痕があるように見える。脛側の面の計測はすぐにできたが、らせん状の部位についてはメジャーをあてて撮影するのは困難、写真のみでは伝わりにくいと感じた。
そこで、醜状痕を動画撮影し、映像ディスクに焼いた。写真と映像のCDをそれぞれ調査事務所に提出し、無事に12級相当が認められた。
※ 本件は、下肢切断、足関節機能障害、足趾用廃も等級が認められ、最終的に併合3級が認定されている。
(平成28年6月)