【事案】

自転車搭乗中、交差点を横断する際、左方から自動車が進入し衝突した。顔面に裂傷、傷跡が残る。 c_h_85

【問題点】

症状固定、後遺障害診断書を主治医に依頼後に相談を受けた。後遺障害診断書を確認したところ、線状痕の記載があり、長さは約3cm以上あった。既にレーザー治療を実施しており、傷は消えてきつつあった。実際、線状痕は診断書の内容よりも薄く短くなっていた。3cmは超えていたが、目立たないことが懸念。

【立証ポイント】

したがって、唯一の女性スタッフ堀越を伴い、急ぎ写真を撮りに長野まで。メジャーを当てて計測する方法を採用した。

結果、ちょっと甘い審査にも助けられ、顔面醜状痕は12級14号が認定された。なお、本件では別に骨盤骨折による生殖器の障害についてでも11級相当が認められ、結果として併合10級が認められた。

もし、レーザー治療をする前に相談に来た場合、その治療をする前に等級申請を勧めていたでしょう。しかし、多くの被害者さん、とりわけ若い女性はキズを消すことに全力を尽くします。等級認定にて先に賠償金を確保し、後に健康保険で治療して総合的に実利を得る・・この理解に及ぶためにも早めの相談を待っているのです。 本人だけではなく、ご家族、主治医とよく相談して、納得できる解決を目指す必要があるのです。

(平成28年6月)

※ 併合により分離しています   

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佐藤イラストsj佐藤が実務を解説!

 今回は労災を適用するまでの手順を説明したいと思います。(死亡事故を除く)

 みなさんが交通事故に遭われたとき、事故の対応は加害者の保険会社が色々とやってくれます。通勤途中の事故や業務中の事故だった場合にも、保険会社が手続きしてくれる場合も多いです。しかし、通勤途中の事故や業務中の事故だった場合でかつ、加害者が任意保険に入っていない場合等はご自身で労災手続き申請を行わなければなりません。会社によっては全て手続きをしてくれる場合もありますが、大抵はご自身で用意して、会社に必要な部分のみをお願いすることが多いかと思います。労災の手続きは書類が多く大変ですが、流れをこれから記載していきます。

 まず、必要な書類は①第三者災害届 ②念書 ③事故証明書です。

① 第三者災害届は全部で4枚(両面印刷の場合には2枚)で2部提出しなければなりません。

② 念書は3部必要です。

③ 事故証明書は原本1部が必要で。会社によってはコピーを1部添付してくださいと指示されることもあります。事故証明書が発行できない場合には事故発生届を2部提出します。

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【事案】

原付バイクで交差点を横断中、左方よりの右折自動車と出会い頭衝突。股関節の脱臼骨折加え、顔面鼻部を強打、鼻骨骨折及び裂傷となり、切創部を縫合した。

【問題点】

股関節の脱臼骨折の整復が治療の中心となり、鼻のキズは縫った後、特に処置はなかった。症状固定時に確認のところ傷は消えたが、少し鼻りょうが曲がっているように見えた。 c_g_ea_7 【立証ポイント】

股関節で12級を固めるとして、もう一つ等級を引き上げられないか? そこで、新たに鼻部のCT検査を依頼、その画像を精査した。その画像から鼻骨骨折による変形について、断面図を印刷して示した。もちろん、外貌写真も、事故の前後それぞれ揃え、わずかの変形ながら主張した。もちろん、主治医にも醜状痕の欄に鼻部変形の追記を頂いた。何とか面談での判断までつなげたい。

予想通り、調査事務所から面談の要請があり、実際に確認頂いた。判定は「鼻骨の変形については、直接に認定基準上、評価対象とならないが、人目につく線状痕として」12級14号の評価となった。線状のキズは薄く目立たないが、なかなかに柔軟な判断を頂いた。過去の経験からも、鼻が曲がった場合、この評価方法が常套手段のようです。

おかげで等級は併合11級と、一つ引き上げに成功した。

※ 併合の為分離しています。

(平成28年6月)  

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