【事案】

自動車搭乗中、信号のない交差点で左折車に衝突される。直後から頚部痛・腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

8年前にも頚椎・腰椎捻挫で併合14級が認定されていた。自賠責調査事務所は過去に同じ部位で等級認定を受けている場合には、加重障害として扱い、仮に完治していても、なかなか新たに等級を認めない傾向にある。加重障害で0円評価はもちろん、普通に非該当も覚悟していた。

また、相手が無保険であったこともあり、十分な補償が得られない可能性が高い。幸い治療費は業務中の事故なので、労災を使って11ヶ月間通院した。

【立証ポイント】

本人の人柄が功を奏し、医師との信頼関係が構築されていた。そのため、医師も患者の為になるのであればと、詳細な診断、書類作成に尽力頂いた。また、自覚症状を本人に詳細に聞き取る等、緻密な立証を重ねた。

頚椎捻挫は案の定、加重障害となったが、腰椎捻挫は加重されることなく新たに認められ、ギリギリの14級9号認定となった。「人」が審査している以上、加重の適用も症状次第、ケースbyケースといったところでしょうか。

(平成28年5月)  

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 自賠責や労災の後遺障害には厳然とした認定基準が存在します。仮に、症状が重い被害者さんであっても、その認定基準に合致しなければ障害の認定はありません。

 それでも、一連の症状に信憑性があり、説明がつけば14級9号の認定は得られます。これは自賠責保険がある種の「遊び」の余地を残しているものと捉えています。つまり、自動車のハンドルでいうところの「遊び」=自由幅と例えられるでしょう。

 世の中、すべての事象にくっきり白黒はつかないものです。交通事故外傷、後遺障害の世界も例外ではありません。  

14級9号:橈骨遠位端骨折+頚部捻挫(40代女性・神奈川県)

 【事案】

原動機付自転車で交差点を通過、右方よりの自動車と衝突、受傷したもの。左手首(橈骨遠位端)を骨折し、しばらくしてからカウザルギー(複合性局所性疼痛症候群のうち、骨折など器質的損傷から神経の異常をきたし、激痛が続く症状)と類似した症状を示した。

【問題点】

カウザルギ-が回復傾向であり、また、骨萎縮など目立った所見はなく、自賠責の認定基準には満たない。長く続く症状からドクターショッピング(転院を繰り返す)に陥っていた。

【立証ポイント】

弁護士より依頼を受けて、早速、専門医の診断に誘致した。幸い、難治性とされるCRPSには至らず、軽快が期待された。そこで、長く続く頚部痛、上肢の痺れを神経症状に丸めて14級9号の認定に切替えた。

当然にCRPSは否定されたが、頚部受傷由来の14級9号「局所に神経症状を残すもの」は確保した。

CRPS(複合性局所性疼痛症候群)の相談は数多く受けていますが、真性の患者にはめったに会いません。それだけレアな外傷です。また、本当になってしまったら、激痛が生涯続き、本当に大変なのです。   c_g_ne_40←「痛み」の構図  

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