【事案】
自動車運転中、交差点で信号無視の対抗右折車の衝突を受けて受傷、顔面裂傷、第5頚椎骨折、脳梗塞、脊髄損傷となった。半身麻痺でブラウンセカール症状となった。その他の症状として、視野狭窄、排尿・排便障害が加わった。
参考画像 MRI(T1、T2)
【問題点】
ブラウンセカール症状とは・・大雑把な説明をします。半身は手足が動かない「運動麻痺」で、その反対側は感触や温度を感じない「感覚麻痺」となります。
本件被害者の場合、左側の上肢・下肢の運動麻痺に対して、右側は感覚麻痺であるところ、痛感、温感などの感覚麻痺は両側にきたしていた。
その他、多くの症状すべてを審査側に提示しなければならない。神経系統の障害は複数の症状を合わせて、総合的に検討するからである。
しかし、主治医は「ブラウンセカール症状なので、診断名以上の記載は必要ない」との判断から、両側の感覚麻痺とは書かず、手指・足指の可動域の記載も拒んだ。これでは障害の実像に踏み込まない診断書となってしまう。医師面談を重ねて追加記載、別紙記載を要請するも、最小限の協力しか得られなかった。
【立証ポイント】
仕方ないのでリハビリ先の別院に戻って、ここでも医師の反論を押し返して、各関節の可動域の計測を実施して頂いた。なぜなら、「手関節+手指、足関節+足指」の可動域制限、これらの機能障害だけで7級相当になる。これに、感覚障害や直腸・膀胱障害や加わる以上、総合的に5級とならなければ納得できないからである。
さらに泌尿器科でも後遺障害診断書を追加記載頂き、一連の診断書に留まらず、医師の意見書、各部の写真、すべての障害を精密に説明した申述書を作成して、万全の状態で申請を行った。
顔面線状痕は9級に留まったが、視野狭窄で9級、そして脊髄損傷による神経系統の障害は狙い通り5級を確保した。結果、併合4級に。
左手は握れず、歩行では左足を引きずり、復職もままならない深刻な障害である。医師と対立しようと、等級の取りこぼしや妥協は一切許されない。
※ 併合の為、分離しています。
(平成28年4月)
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