「MRIを撮ったら肩腱板損傷が見つかりました!」
このように第一声を発する被害者さんを多数経験しています。画像検査した結果、損傷が見つかったのです。腰椎の圧迫骨折でも「レントゲンを撮ったら圧迫骨折でした!」が次ぎます。
確かに事故の前は痛みがなく、受傷から症状が現れたのかもしれません。それでも”その損傷が事故の衝撃で起きたものである”と説明がつかなければ、等級認定はありません。どう考えても、「その事故で棘上筋が切れたの?」と思えないこともあります。高齢者に多いのですが、事故前から棘上筋が多少損傷している方もおります。長年、肩を使う仕事や老化から、靱帯がささくれだったように痛んでいることがあります。それが事故の検査で初めてわかったことになります。これは決して珍しいことではありません。問題は事故との因果関係となります。
自賠責はまず、常識で判断しているのです。画像に映ったからと言って、それが事故の衝撃で損傷したものなのか・・冷静に対処しないと、非該当が待っているだけではなく、依頼者と泥沼の関係に陥ります。交通事故外傷に精通していない事務所は、依頼者と共に間違った方向へ付き合ってしまうようです。
非該当:肩腱板損傷、14級9号:頚椎捻挫(40代男性・埼玉県)
【事案】
自動車搭乗中、直進道路で信号待ちしていたところ、後方から追突された。事故直後から頚部痛だけではなく、肩部痛や上肢のしびれ等の神経症状に悩まされる。
【問題点】
頚椎捻挫の他に腱板損傷も診断されていた。肩についてはMRI撮影されていたが、頚部についてはMRI撮影していなかった。
【立証ポイント】
自動車搭乗中に追突を受けて肩腱板を損傷することは、車が大破するような衝撃は別として、受傷機転の説明に窮する。調査事務所は間違いなく疑ってかかる旨を説明した。念のため、肩については専門医を紹介した。専門医曰く、「腱板損傷はわずかではあるが、MRI画像上認められる。しかしながら、外傷性かどうかは、明言できない」との診断。 また、頚椎捻挫で症状が残存する可能性があったため、頚部のMRI撮影も進めた。リハビリを継続し、事故から半年が経過しても尚、頚椎に症状が残存していたことから、後遺障害診断書に頚部痛も記載して頂いた。頚椎で14級を取ることは、肩が否定された時の保険でもある。
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