昨年末から自動車保険の約款をテーマとしたセミナーが続いています。 約款と言えば「難解」、「何が言いたいのか解らない」等々・・約款をじっくり精読してから契約を検討する自動車保険の契約者さんは皆無でしょう。一部の約款マニアは別として、保険会社社員や代理店さんですら、余程必要がないかぎり、約款を開くことはありません。現場ではカラーで解りやすいパンフレットで十分なのでしょう。
さて、被害者救済業を名乗る以上、約款の熟知・活用は私達にとって避けられない重要事項です。
とくに、任意保険に未加入の自動車による被害者さんは、人身傷害特約、無保険車傷害特約が頼りとなります。無保険車の被害者にとって知られざる重大なテーマなのです。
約款解説は毎回長文となり、シリーズ化しますが、まずは以前に使用した表をご覧下さい。自動車保険で自らのケガ・後遺障害・死亡に支払われる主要な補償は以下の通りです。見ての通り、いくつか補償がダブっています。平成10年10月に東京海上が開発、販売をスタートさせた人身傷害特約の登場によってダブりが頻発したと言えます。
明日からの内容について、下表と併せて以下を復習しておくと理解が容易となります。(長いですよ)
契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い 人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車 傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇※ 保険金支払い方法
実額… 実際にかかった治療費、交通費の他、契約している会社の基準により慰謝料、逸失利益、休業損害を個別に計算する。
定額… 契約時に定めた死亡・後遺障害・手術・入院・通院・その他金額。その金額により入通院は1日当たり○○円、もしくは部位症状別に○○円と決まります。 ※ 重複払い
搭乗者傷害(現在は多くの会社で「傷害一時金」と改名されています。あえて旧名で表記します。)のみ、上の3つに加算して支払われます。しかし治療費を人身傷害に、後遺障害を無保険車傷害にと、ケガと後遺障害を別々に請求する場合は重複とはなりません。
つづく