かつて大御所弁護士曰く、「知識・実力不足の素人弁護士に依頼した被害者は法律家による2次被害にあう。かわいそうだけど、これも被害者の運命」とばっさり。

 事実、この数年、間違った誘導、怠慢な対応をする弁護士・行政書士によって、窮地に陥った被害者さんをうんざりするほど見てきました。

 背景には過払い金返還業務の終焉を契機に、今まで交通事故に見向きもしなかった弁護士が交通事故に大量参入してきたことがあげられます。さらに、行政書士をはじめ、交通事故は門外漢と言うべき他業者の参入もわずかに影響しているようです。そのほとんどが「交通事故業務1年生」、ビギナーのはずです。

 対して、保険会社は潤沢な資金力を持ち、半世紀以上も前から数100万回も交通事故を解決してきたのです。ここ数年、交通事故を扱ったばかりの者とは隔絶した実力があり、歴史・規模・体制・人材、すべてに歴然の差があるのです。

 被害者側の事故を扱う者はこの現実を正視し、謙虚に勉強していかなければなりません。法律資格を持っていることのみで、「交通事故の専門家」、「後遺障害のプロ」とは名乗れないと思います。  

12級6号:上腕骨大結節骨折(30代女性・東京都)

【事案】

自転車走行中、脇道からの自動車に側面衝突を受け、左側の電柱に激突、左肩を受傷したもの。診断名は上腕骨近位端骨折。術式は骨折部から剥がれた肩の棘上筋を大結節にスクリューで固定したもの。したがって、正式な診断名は上腕骨大結節(はく離)骨折となる。

【問題点】

相手保険会社の対応が遅いため、早期に弁護士に依頼したが、自転車の物損、休業損害他まったく請求を進めてくれない。そして、その弁護士経由で治療費打ち切りの打診。この弁護士、病院に同行して医師の判断を基に治療の継続を交渉してくれるとのことだが・・。

被害者さんはすべて後手に回っていることに不安を覚え、相談会に参加された。

【立証ポイント】

相談会ではまず、抜釘後の骨癒合の状態を確認した。この診断名から肩関節の外転運動に制限が残ることは私達にとって常識です。回復を期待してリハビリを継続することとは別に、症状固定に進めて可動域制限の12級を確保するよう提案した。事実、リハビリの成果から、可動域は120°まで回復していた。急いで弁護士を解任し、病院同行にて可動域計測に立ち会った。 続きを読む »

【事案】

交差点で歩行者の横断を待つため停車したところ、後続車に追突された。直後から痛み、しびれの症状に悩まされて通院が長期化。後遺症が見込まれるので早めに弁護士に対応を依頼していた。

【問題点】

地元でも有名な保険会社の顧問弁護士は病院にMRI検査、さらに必要性ないと思われるカルテ開示を指示、書類を揃えて事前認定を行った。しかし、有用な所見が無いからと言ってMRIを提出せず、また、病院側にカルテ開示を電話で命令口調で行ったため、医師から不興を買うことに。

当然、結果は非該当。辛い症状が続いている被害者さんは病院を転院して治療を継続していた。「仕方ないですね」と非該当での示談交渉を進める先生に納得できず、悔し涙をぬぐって当方へ相談に。

【立証ポイント】

まず、弁護士を解任。そして、現在の通院先に治療の継続中を示す新しい診断書を記載頂いた。続いて、関係悪化してしまった最初の病院へ同行、主治医に前弁護士の非礼を詫びて、症状の一貫性を示す診断書を取り付けた。そして、せっかく撮っていたMRIを今度はしっかり添付して再申請を行った。

結果、わずか1ヶ月で14級認定の通知が届いた。直ちに連携弁護士に引き継いで解決に向かう。

交通事故経験が豊富と謳っているベテラン先生でも、このように実際はど素人ということがあります。間違った誘導さえなければ、早期に解決できた事故だったのです。 2525 (平成27年11月)  

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 なぜ、早期の相談を勧めているのか? 本例を読めば分かります。

 交通事故は初期の段階で落とし穴がいくつもあります。本例の場合、もし、相手の言い分が通って加害者に刑事処分が下らなかったら・・後の交渉で相手保険会社は非接触での過失減額を強く主張することが予想され、苦戦することになります。

 また、ケガを治すことは被害者の務めであり、もちろん、後遺症など残さない方が良いに決まっています。それでも、万が一、治りきらなかった場合の対策も立てていかなければなりません。それは、受傷初期からしっかりと後遺障害を予断し、計画的に治療・検査を進めることです。症状固定時期に慌てて検査をしても遅いことが多々生じます。また、だらだらと無駄に治療を長期化させないこともポイントです。

 本例は教科書的な対応の好取組例です。被害者にとって後遺障害立証の理想形と思います。  

併合11級:鎖骨骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、渋滞の反対車線からセンターラインを超えて追い抜きをしてきた自動車と正面衝突を避けるため、急ブレーキ、転倒したもの。直後、救急搬送され、鎖骨骨幹部(真ん中あたり)を骨折、その他、全身打撲の診断名となった。 tc1_search_naver_jp 【問題点】

非接触事故であるため、具体的な過失割合に踏み込まずとも、事故状況と責任関係を明確にしておく必要がある。

また、鎖骨で○級、保険として全身打撲を頚椎捻挫に絞って○級と、治療の傍ら計画的に立証作業を進めなければならない。

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 日本でクリスマスツリーが最も不似合いな天候の那覇に入りました。気温26度。飛行機を降りると空港職員は皆、半袖。コートはおろか、ジャケットも手荷物になるだけでした。今回は懇意にしている弁護士事務所へ弔問が目的ですが、翌日の打合せも兼ねての訪問でした。

 しかし、暑い。雨も生暖かく、まるで2年前の訪問(梅雨)と同じ感触です。夜は沖縄料理の居酒屋さんで食事をとりました。オリオンビールにラフテー、ソーキ、ゴーヤに海ぶどう・・南国の、真夏の、気分です。日が沈むと少し涼しくなりましたが、ホテルの部屋は冷房です。現地でも「ここ数日は暑いね~」とのことでした。

 翌日、朝からスコールのような雨の中、弁護士事務所入り、その後、昼の便で東京へ急いで戻ります。帰りの便はジェットスター、嫌な予感の通り、タラップまでバス。並ぶ乗客は皆、Tシャツ姿でも汗だくでした。

 成田空港に着くと季節は冬に戻りましたが、第3ターミナルから第2ターミナルの電車に乗るまで700mも歩きました。滑走路を歩かされた(まるでGメン75のように)ハバロフスクよりましですが・・。

 2015120212220000 LCCは安いけど、歩かされるなぁ・・(特に羽田、成田はしんどいです)   

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win  ある2人が横断歩道を歩行中に、信号無視した運転手がその歩行者をはねてしまったとします。歩行者のうちの一人(Aさん)は、腕を骨折しました。もう一方の歩行者(Bさん)は、幸い骨折はしませんでしたが、肩を痛めてしまいました。

 AさんもBさんも共に腕が上がらなくなったと主張しております。    関節可動域制限の等級はAさんとBさんのどちらに認められるのでしょうか。

 交通事故の相談者の中には、肩や肘、膝や足首等の関節が交通事故以前よりも動かなくなったことについて相談される方が多くおります。

 確かに、交通事故による衝撃で骨や筋肉、靭帯が損傷する場合があります。その際、関節が動かなくなるほどのダメージを負う被害者をこれまで何人も見てきました。しかし、その関節可動域の制限が後遺症(後遺障害)として認められるか否かの判断は傷病名や被害者の主張のみを見たり聞いたりしただけではできません。

 被害者のお話しを信じていないわけではありませんが、物事には「常識」というものがあります。自賠責の調査事務所に限らず、弁護士やその他士業、保険会社、その他の方々が何かを判断する際の寄る辺となる「常識」が存在しております。交通事故の怪我も同じです。

 骨折をするほどの衝撃を身体に受けた場合、治療を始めたときには関節が動かなくなっても不思議ではありません。しかし、その原因は骨折したことなのでしょうか、それとも単純に痛みにあるのでしょうか。それらは画像で判断する必要があります。

 例えば、上記Aさんの画像(XPやCT)を確認したところ、上腕骨(二の腕の部分)の骨幹部(骨の真ん中)が折れていることがわかったとします。事故から半年後、Drが再び画像を確認してみると骨が癒合しており、特に偽関節や骨片が残っていないことがわかりました。それでも腕が上がらないとAさんは訴えていたとしても、これだけでは関節可動域の制限による等級はほぼ認められないでしょう。

 何故なら、骨が折れた箇所が、関節の動きを制御する部分やそれに近い所ではなく、二の腕の骨の真ん中が折れたからです。この部分が折れたとしたら、痛みがしばらく残ってもおかしくはありません。ただし、骨が綺麗にくっついており、骨や筋肉が問題なければ、腕は「常識」的にみれば動くはずです。このような場合、可動域制限では後遺症(後遺障害)は認められず、疼痛等によって後遺症(後遺障害)が認められる可能性があります(上記のようにきれいに骨が癒合していれば、等級は14級9号が限界です)。

 一方で、Bさんの画像(XPやMRI)を確認したところ、肩の腱板を損傷していることがわかりました。Aさんの場合と異なり、関節部分の怪我です。事故から半年後、Drが再び画像を確認してみると肩腱板損傷の所見が残存しており、かつ、Bさんは腕が上がらないと訴えております。このような場合、後遺症(後遺障害)の等級は所見があるので12級13号が認められる可能性がありますが、それ以上に可動域制限(12級6号)でも等級が認められそうです。下図のように断裂が明白なケースです。   20141126_2  しかし、腱板損傷があったからといって、確実に可動域制限が起きるわけではありません。例えば、Bさんの肩腱板損傷の度合いが、完全に断裂しているレベルであった場合、腕が上がらなくなっても不思議ではありません。一方で、損傷が数ミリであるレベルの場合、痛みは確かに認められそうですが、実際に腕が上がらないレベルまでの怪我とは言いにくいことがあります。

 以上から、関節可動域については、骨折しているから、靭帯損傷をしているから等傷病名の判断だけではなく、どの部位の怪我なのか、怪我の度合いはどうなのかを画像上で総合的に判断し、常識的に関節が動かなくても無理がなければならないのです。可動域制限で申請される際にはご注意ください。

 また、過去に可動域で等級がとれると判断して受任した結果、認められなかった弁護士を見たことがあります。弁護士やその他士業者に依頼する際には、なるべく画像を見ることができる事務所であるのかどうかを確認してみてください。  

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【事案】

自動車で交差点を走行中、右方より信号無視の自動車と出会い頭衝突。その際、右肩鎖脱臼、烏口突起、肋骨を骨折した。 GradeⅢの脱臼状態から肩関節の可動域制限を予断した。症状固定時期にはギリギリ12級7号(4分の3以下制限)レベルまで回復した。 c_g_j_5

【問題点】

症状固定時期、医師に計測を依頼したところ、面談拒否なので計測に立ち会えなかった。診断書の記載を見ると、屈曲50°外転40°・・こんなに可動域はひどくない。私の計測では屈曲は正常、外転は120°だった。医師は計測を目検討でいい加減にした模様。これでは自賠責の怒りを買ってしまう。また、鎖骨の変形の欄に○がなかった。

【立証ポイント】

医師に手紙を出して、修正を依頼するなど働きかけたが、医師は取り合ってくれない。唯一、変形には○をしてくれた。写真を撮って添付、これで変形の12級5号は確保できた。可動域計測は不正確ながら提出するしかない。

案の定、調査事務所は医師に医療照会をかけて、今度は「屈曲は回復」との回答。これで医師の計測はいい加減と判断された。

結果は変形の12級5号のみの認定に。今更、外転の120°を主張しても説得力はない。

このように医師に振り回されて、等級を1つ取りこぼした。本来、併合11級になるべき案件でした。これはメディカルコーディネーターにとって敗北の記録です。早期に医師を見極めて、転院するなど手段を講じるべきでした。今後の戒めの為、あえて掲載しました。

(平成25年11月)  

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