前回の続きです。
4:保険会社と揉めてしまい、弁護士を入れられた後の相談
物損の交渉で、金額が納得いかないで保険会社と揉めてしまうことがあります。その金額が相場通りであったとしても、納得できずに争ってしまうことがあります。
ある相談者は、物損の金額が相場通りであっても納得いかずに保険会社と揉めてしまい、弁護士まで入れられたことがあります。弁護士を入れられると、その後の治療費はおろか、後遺障害の申請にも影響が出かねません。特に、ムチウチ等の場合、神経症状が医学的にはっきり出ることは少なく、つまり、証拠が乏しいものです。したがって、調査事務所に症状を信じてもらうことが最大のテーマです。保険会社と揉めていることや弁護士を入れられる等、その被害者は揉める人だと見られてしまうと症状を信じるのに抵抗を覚えられかねません。
納得いかない点があって争うにしても、感情的に走らず、喧嘩せず、周囲の意見を集めてからでも遅くはありません。
5:漫然と通院し続けた後の相談
治療をしても症状が緩和せず、辛い思いをし続ける交通事故被害者が相談に来ることがあります。持参して頂いた画像や診断書、本人の症状を確認していくと、現在通っている病院の医師(主治医)の診断のみではなく、他の専門医や専門的な検査ができる病院を紹介して頂く必要があった場合もあります。
早期に相談に来られた方は余裕をもって検査や転院、セカンドオピニオンが可能です。しかし他方で、事故から半年経過し、保険会社から治療費を打ち切られてしまってから、あるいは打ち切り寸前で、まだ症状が緩和せずに相談に来られた方もおります。
当然診断書には該当しそうな診断名が無く、専門医に診てもらえず、とても申請にあげられる状態ではありませんでした。なお、中には漫然と通院し続けた後で、かつ前回述べた、後遺症(後遺障害)の申請をしてからの相談者もおりました。
6:長く治療を受けすぎた後の相談
交通事故で保険会社は、打ち切りにならない限り、基本的に症状固定日まで治療費を出してくれます。特に重傷者の場合、保険会社は治療費を長期間出してくれる傾向があります。治療費を出してくれるのであれば、打ち切られるまで通院した方がいいのではないか、完治を目指して通院を継続したいのだから治療は長いことに越したことはないのではないか、そのような声をよく耳にします。勿論、私達は交通事故被害者の怪我が完治することを望んでおります。しかし他方で、治療にはお金がかかること、保険会社はいつまでも治療費を出してくれるわけではないこと、また、医者は懸命に治療をしても怪我によっては治療費が打ち切られても完治しきれず、長期間治療をする必要がある場合もあることを知っています。
ある程度まで治療した後、症状が安定したころ、医師から症状固定の話が出てきます。保険会社は傷病名から社内的な基準の治療期間で、医療照会等をかけて治療費の打ち切りを検討します。そして、被害者は怪我が完治しなかった場合、遺症(後遺障害)が残ったまま治療費支払い終了を迫られます。
しかし、長期にわたった治療で治りかけた怪我の症状が残った場合、後遺症(後遺障害)の等級が低いレベルで出される可能性があります。すると、将来にわたって治す予定の怪我の治療費がその分安くなってしまいます。最悪、低い等級のために将来の治療費を賄うことが困難になってしまうこともありえます。被害者は治療をしつつ、相手方加害者や相手方保険会社等を相手に損害賠償請求をする必要もあります。よって、被害者は怪我を完治したい場合、怪我の重さから後遺症(後遺障害)について視野に入れつつ治療を継続し、医師の治療の見通しや保険会社との折衝について考えなければなりません。
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