【事案】

自転車走行中、脇道からの自動車に側面衝突を受け、左側の電柱に激突、左肩を受傷したもの。診断名は上腕骨近位端骨折。術式は骨折部から剥がれた肩の棘上筋を大結節にスクリューで固定したもの。したがって、正式な診断名は上腕骨大結節(はく離)骨折となる。

【問題点】

相手保険会社の対応が遅いため、早期に弁護士に依頼したが、自転車の物損、休業損害他まったく請求を進めてくれない。そして、その弁護士経由で治療費打ち切りの打診。この弁護士、病院に同行して医師の判断を基に治療の継続を交渉してくれるとのことだが・・。

被害者さんはすべて後手に回っていることに不安を覚え、相談会に参加された。

【立証ポイント】

相談会ではまず、抜釘後の骨癒合の状態を確認した。この診断名から肩関節の外転運動に制限が残ることは私達にとって常識です。回復を期待してリハビリを継続することとは別に、症状固定に進めて可動域制限の12級を確保するよう提案した。事実、リハビリの成果から、可動域は120°まで回復していた。急いで弁護士を解任し、病院同行にて可動域計測に立ち会った。 kansetu_12 結果は首の皮一枚で12級6号を確保、連携弁護士に引き継いだ。以後は解決の経過を見守りつつ、健保を使ってマイペースでリハビリを進めることに。健保30%負担の治療費など後遺障害の賠償金に比べればはるかに安いのです。

何もしてくれない弁護士に早期に依頼しても無駄なだけではなく、その知識不足から等級認定すらピンチに陥ってしまうのです。

(平成27年10月)  

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 鎖骨の骨折は手術でプレート固定をすることにより、変形なく癒合させている傾向です。しかし、プレート固定術が一般化する以前は、鎖骨はほって置いてもくっつくし、多少、変形しても日常生活に影響ないものとして、医師も積極的な治療をしないものでした。  sakotsu001_20130629132258←プレート固定  したがって、プレート固定術は現在であっても高齢者の場合、手術・麻酔の負担から避ける傾向にあります。すると、クラビクルバンドで外固定しますが、多くの場合、変形が残ります。それを知っているのか、いないのか?これが運命の分かれ道です。

 医師は臨床上、「この程度の変形は”変形癒合”とは言えない」と判断します。また、示談前に保険会社が親切に「鎖骨に変形が残っていませんか?」と心配してくれる事などないのです。  

12級5号:鎖骨骨折(80代女性・神奈川県)

【事案】

交差点を歩行横断中、対抗左折車に衝突された。骨折は左鎖骨骨幹部、左肋骨、両恥骨。肋骨と恥骨は亀裂骨折なので保存療法、鎖骨も高齢から観血的手術によるプレート固定を避け、クラビクルバンドで固定とした。

以上から、相談を頂いた時点で「鎖骨の変形=12級5号」を予想した。

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