win  被害者請求の場合と事前認定の場合とで、被害者自身が回収する必要のある書類の量に差がでます。 後者の場合、これまで前者に比べて非常に楽である旨を何度も述べさせて頂きました。その楽である特徴の一つとして、回収する書類が非常に少ない点にあります。  大抵、交通事故の加害者側の任意保険会社(以下、相手方保険会社と略す)が被害者にお願いする書類はたった一つに絞られます。それは、後遺障害診断書です。残りの書類、例えば、診断書や診療報酬明細書(レセプト)事故証明書等は、既に相手方保険会社が回収しているのが通常です。何故なら、相手方保険会社は、治療費等を出す際に、自賠責保険に求償するため、どのような事故なのか、どのような治療をしたのか、どのぐらい病院に通ったのかを調べるからです。

※ 求償とは、単純に言ってしまえば、本来お金を支払う者が別にいるのに、違う者が代わりに支払った場合には、代わりに支払った者が、来支払う必要のある者に対してお金を請求することです。

※ ちなみに自賠責保険の制度は国民皆保険制度に近いものであり、被害者には、契約者に代わって自らに保険金を支払うように請求する権利(16条請求=被害者請求)があります。この自賠責保険が支払う金額は、最低限度分であり、相手方保険会社の支払いよりも優先されるものです。

 もし、交通事故の被害者がまず自分で病院に治療費を支払い、その分のお金を加害者が被害者に支払い、その後、加害者は自分が加入している自賠責保険に支払った分のお金を請求する・・・このやり方ですと非常に面倒なので、相手方保険会社がサービスとして、まず、相手方保険会社が治療費を負担して直接病院に払い、その分を自賠責保険に請求することで運用するのが普通の流れです。このことを一括対応といい、長くなってしまいましたが、最後に任意社が自賠社に一括対応分を請求することを求償と呼んでおります。

 以上から、症状固定をするまで、相手方保険会社は各種書類を集めつつ治療費等を支払い続けていくことがわかります。そして、後遺症(後遺障害)の申請の際に、最後に欲しがるのは、お医者様自身が後遺症(後遺障害)と認めた点をまとめた書類だけなのです。それが、後遺障害診断書です。

 しかし、これまで様々な相談者を見てきましたが、ここまできれいにいかない場合もありました。例えば、相手方保険会社が診断書や診療報酬明細書をすべて回収せずに、病院からの領収書のみで治療費等を支払い続けている場合もあります。(もっとも自賠責保険の傷害限度120万円を超えれば、自賠責に求償する必要がなくなるので、超えた治療費は領収書で済ますこともあります。)この点、良心的な相手方保険会社であった場合、最後にまとめて回収する場合もありますが、まったく回収せずに手続きを進める場合があります。    20121107  また、後遺症(後遺障害)の申請では、我々は画像を併せて提出しますが、事前認定の場合では、相手方保険会社がすべての画像を回収せずに申請してしまうこともありました。何故、画像を回収しなかったのか?ですが、自賠責保険のパンフレットもご覧いただければわかりますが、画像は必要書類リストに入っていないことがあり、相手方保険会社も迅速に手続きを進めていきたい思惑と、後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低いとみていることから、画像回収に積極的になりにくいことがあるとみています。

 以上から、結果、中途半端な書類のみで申請にあげられる可能性があることになります。さらに、被害者からすると、申請するために提出した書類は何かがわからないまま申請が進みます。

 一方で被害者請求は、すべての提出書類と画像を用意するという大変な思いをしますが、ご自身の症状を必要な書類にまとめて、かつご自身の画像等、自ら必要な書類を確認してから提出できます。

 結論として、被害者にとって、一番安心できる申請は被害者請求であるといえます。しかし、書類等の回収が大変です。そこで、交通事故を専門としている等の士業の方々に被害者請求を依頼する方法もあります。 このようなことから、交通事故に遭われた方々は、なるべく早めに専門家等に相談することをお勧めしております。

※ 但し、士業者の中には事前認定のみしかやらない方もおりますので、相談される際には質問してみてください。  

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