20150305_1 腓骨神経麻痺について多くの症例を見てきました。足関節の自動運動(自分の意思で動かす)がまったく不能となったケースから、底屈はできるが背屈は不能、また、底屈・背屈共にやや動くものの制限あり、経験上この3ケースに分かれています。

 おさらい ⇒ 腓骨神経麻痺

 立証には2つのハードルが存在します。1に神経伝導速度検査を行うこと、2に正確な角度を記録するです。 これは医師の知識や人間性に大きく左右されます。  まず、神経伝導速度検査をしたからといって治るわけではありません。治す為、手術のためなら術前に検査を実施しますが、後遺障害の立証のために検査するなど、通常、医師は積極的ではありません。したがって、検査の必要性をご理解いただく作業が必要となります。さらに、神経麻痺の可動域制限について医師が正確な計測方法を知っているとは限りません。自賠責の審査上、規定の数字をオーバーすれば等級を取りこぼします。  自動的に後遺障害が立証されるわけではないのです。本件も「治療には熱心ながら後遺障害の基準を知らない」医師と、「相談を受けながら具体的な手を打たない」弁護士に任せたままでは危なかったのです。    「挙証責任は被害者にあり」・・腓骨神経麻痺はこれを実感する診断名です。

 

8級相当:腓骨神経麻痺(20代女性・千葉県)

【事案】

通勤時、自動車で直進走行中、対向車がセンターラインオーバーしてきて正面衝突したもの。自動車の前部は潰れ、左脛骨・腓骨を開放骨折、腹部を強打し、肝損傷の診断となる。 続きを読む »