医師の診断は「常に正しく、絶対」ではありません。誤診とまでは言わずとも、限られた診断時間や不完全な検査データの影響で、正しい診断に至らない事は決して珍しくないのです。それが交通事故外傷の世界、特に高次脳機能障害では頻発するのです。誰かが気付かなければならない、具体的に動かなければならない・・だからこそ、私達メディカルコーディネーターの仕事が生まれたものと思います。

 医師の診断より私の見立てが正しいことが起きます。これは決して自らの能力を驕っているわけではありません。障害に対するアプローチが医師とは違うということです。医師は後遺症なく治すのが仕事で、元気になった患者への興味を無くします。対して私達は障害を見逃さないよう、常に綿密な観察を行っています。寝ても覚めても後遺障害、日夜、鋭敏な感覚を養っているのです。 c_byo_h_28

7級4号:高次脳機能障害(70代男性・神奈川県)

【事案】

原付バイクで直進中、後方よりの右折自動車に巻き込まれ、脳挫傷、頚椎捻挫の診断となった。 幸い回復は良く、比較的早く日常生活に復帰した。しかし、家族の観察では事故前に比べ、忘れっぽい、要領が悪くなった、怒りやすくなった等があった。

【問題点】

最大の問題は主治医が「高次脳機能障害はない」(痴呆のせい?)と診断していたことである。さらに、相手の任意保険会社も医療調査で同様の回答を得ていた。このような状態で弁護士からヘルプの要請を頂いた。確かに一見、障害の有無はわからないが、主治医が否定しようと、私の見立てでは高次脳機能障害なのです。

家族にしかわからない微妙な変化を立証しなければならない。そして、主治医の診断を覆さなければ明日はない。しかし、高次脳機能障害が評価できる病院は限られている。まして高齢者の受入れには絶望的に厳しい。

【立証ポイント】

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