相変わらず「事前認定と被害者請求、どちらがいいのか?」が質問されます。被害者はネット情報や各相談先の回答によって、迷っているようです。特に多いパターンですが・・
「依頼した弁護士が「被害者請求など無駄、相手保険会社に任せるべき!」と言って被害者請求してくれません。ネットでは絶対に被害者請求にすべき!と書いてあるのですが・・」
加害者側の保険会社と戦うためにせっかく依頼した弁護士が、「相手保険会社を通して審査を任せるべき」と依頼者を説得している姿に違和感を覚えます。逆に被害者請求を煽る業者の論調も、商売上に立脚した胡散臭いものに感じます。まさにネット情報の功罪ですね。
まず、弊事務所の姿勢ですが、基本方針は被害者請求です。誤解しないで欲しいのは、等級申請は医療調査を主体とした立証作業が本質であって、事前認定か、被害者請求とするかなど、形式上・手続上の手段でしかない、と捉えている点です。大事なことは障害の立証作業、つまり遺漏なき検査データと間違いのない診断書を収集することです。これを漫然と医師任せ、相手保険会社任せにすると・・正確な後遺障害等級が認定されず、大変なことになりますよ、と注意喚起しています。
しかし、両派それぞれ主張が分かれます。
<被害者請求派> 事前認定は相手保険会社の妨害がある等、危機感を煽ります。それに比べ被害者請求は自ら書類を精査して申請できる点、先に自賠責保険金を確保できるメリットを訴えています。 自賠責保険の被害者請求を推進しているのは、ほぼ100%が行政書士です。なぜなら、この手続きを仕事として報酬を得ている以上、絶対に譲れない手続きなのでしょう。
<事前認定派> 対して、事前認定で十分と主張するのは弁護士でも保険会社の顧問・協力弁護士を兼務、もしくは経験者に多くみられます。理由は審査先はどちらも一緒であること、審査はあくまで定型書類を対象としていること、したがって、せっかく一括社が事前認定してくれるのであれば、被害者請求など無駄な労力でしかない、となります。
どちらもそれなりに納得できる意見です。それでも私はそれぞれの立場に立脚した極論と思っています。まして、双方の単純な優劣を語る時点で不毛な議論に陥ります。目的はあくまで前述の通り、被害者の障害立証です。そのために決め手となるのは医証収集・医療調査であって、申請方法ではありません。
私は被害者請求を基本としつつ、実は被害者請求の代理請求をほとんどやっていません。事情によりどうしても必要なケースは年に1件あるかないかです。では、手続きはどうしているか?ですが、多くのケースは集めた医証を弁護士に託し、弁護士が代理請求します。もしくは、被害者が自ら請求を行います。医証を集める作業で私の立証作業は完了しているのです。 提出書類を託した弁護士や被害者に、形上、どちらの請求とするか選択を任せていることになります。結果として、ほぼ全件、被害者請求で提出しているようです。
行政書士の資格で自賠責保険の代理請求ができるか?と言った、法律上の解釈・争いはひとまず置いておくとして、私は被害者請求を是としながら、行政書士が自賠責に代理請求をする必要性を特段に感じていません。
したがって、私は商売上の理由からこの問題を談じているわけではないのです。
つづく