ムチウチの患者に、神経学的所見が認められると、後遺障害が認められやすくなります。
「神経学的所見がある」とは、端的に言えば、健全な神経が通っていれば起きないであろう症状があることをいいます。
神経学的所見の検査の中で代表的なものとして、
(1)ジャクソン・スパーリング検査 (2)腱反射テスト (3)知覚検査 等があげられます。
【事案】
直進道路を走行中、脇のコンビニから急発進した自動車と側面を接触、乗っていた主人は腰椎捻挫、補助席の奥さんは頚椎捻挫となった。
【問題点】
受傷機転からそれ程の重症と思えないからか、相手保険会社の担当者と治療の継続をめぐって対立、険悪な状態になって相談会に参加された。奥さんはまだしも、ご主人の腰痛は既往症の影響大きく、「認定はかなり厳しい」と諌めた記憶がある。
【立証ポイント】
とにかく、保険会社との摩擦を避けて症状固定させ、等級申請を急いだ。医師と診断書内容について打合せし、症状を説明した詳細な申述書を添える等、基本通り丁寧に書類を完備させた。
実は、ここからが本件の問題。被害者請求したはずの書類が事前認定に回ってしまったのです。以前も保険会社窓口のミスにより、任意社の担当に書類が逓送された経験はあります。その場合、担当者から「これ、被害者請求ですよね?」と確認の電話があります。しかし、本件担当者は悪質で被害者請求の請求書と様式が整っているにも関わらず、事前認定としてしまったのです。
それでも無事に主人は腰椎、夫人は頚椎と、夫婦共に14級認定。
【秋葉の仕置き】
だからといって担当者の行為は許されるものではない。電話で事情を問いただしたが「私のところに書類が回ってきた以上、これは事前認定となります」と苦しい持論で抗弁していた。(実際は自賠担当に提出された書類を「自分に回せ」と指示したと思います。)この担当者をただ糾弾しても面白くないので、決して責めず丁重に「書類一式をお返し下さい」とお願いした。
帰ってきた書類を再度、自賠責保険の窓口に提出、今度は間違いが起こらないように、当該サービスセンターの管理職に担当者の違法行為を訴え、不問にする代わりに自賠責からの保険金支払いを急かした。つまり、事前認定後の被害者請求切替えを実行した。これが秋葉流の仕置き。
もちろん、即座に夫婦合計150万円が支払われた。そして、件の担当者へは連携弁護士から受任通知を送りつけた。
怒り心頭の依頼者夫婦であったが、この担当者へは「事前認定で等級を認定下さり、ありがとう!○○さん(担当者)のお陰です!」と言わせた。 担当者は調査事務所の認定結果を苦く思っていることでしょう。
(平成27年1月)
【事案】
国道へ合流する脇道で、左折待ち停車中、後続車の追突を受けた。共に手指の痺れを発症、後遺障害の可能性をもって相談会に参加された。
【問題点】
50代の娘さんと80代の母、保険会社から加齢の影響を指摘されるのは必至。特にお母さんは既存の糖尿病、関節痛などが絡み、非該当も覚悟するよう説明した。実際、医師も外傷との因果関係を「神経学的異常所見なし、画像上異常所見なし、経年性・退行性変性のみ」と否定、ここまでは想定内です。極めつけは見通しが「症状固定時期には訴えはほとんどなく、症状は消失・安定している」・・これで認定されることは絶対ないはず。
【立証ポイント】
保険会社の対応は連携弁護士に任せ、メディカルコーディネーターが寄り添い、丁寧にリハビリを進める。娘さんは問題なく、頚椎・腰椎それぞれ認定。
びっくりしたのは母も頚椎で認定。ここまで不利な所見で認定されたのは初めて。 これを私達は「同乗者・同時申請効果」と呼んでいます。
(平成26年3月)
【事案】
交差点で信号待ち停車中、後方より追突を受けた。共に頚椎捻挫となったが、特に奥さんは神経症状がひどく、バレリュー症状に悩まされていた。
【問題点】
割と早期から相談を頂いていたので、治療費の確保、及び後遺障害認定への準備は余裕を持って進めることができた。 そして、共に回復を目指し、1年の通院を続けた。相手保険会社もややキレ気味。
【立証ポイント】
リハビリの効果からそれぞれの症状は軽減傾向であったが、共に14級を確保、奥さんは腰椎捻挫も加わり併合14級。その後、連携弁護士により、2人合わせて700万円の賠償金にて解決。夫婦だと賠償金もダブルで、お得感を感じてしまいます。
(平成25年10月)
【事案】
自動車停車中、後方より追突を受け、3台の玉突き衝突となった。主婦のお友達二人でお買い物へ向かう途中の事故。
【問題点】
頚椎捻挫で同じ病院に通院も、一人は早めの相談により、転院を勧めて違う整形外科でリハビリを継続した。ここは神経学的所見をしっかり記録してくれる医師だからである。当然に丁寧な後遺障害診断書が仕上がった。しかし、もう一人は相談を受けていないので、そのまま同じ病院に通院を続けた。
【立証ポイント】
早めに依頼を受けた一人は楽勝で認定される状態であった。症状固定を前に友人(の認定)を心配して、ご紹介を頂いた。弁護士費用特約は両者に適用できるから費用面の心配はない。 友人については今更転院などできないので、とにかく病院に同行、あまり協力的ではない医師であったが必死に診断書の修正等働きかけ、最終的には認定に足る診断書に近づけた。
その後、無事に二人とも認定を受けた。通院先の医師(の判断)によって判定が変わってしまうことがあります。それでもなんとかすることが私達の仕事。
(平成25年9月)