10回にわたり下肢実績を投稿しましたが、続いて上肢、とくに手首~上腕を特集してみましょう。

 まずは読影力が光った実例です。繰り返し言っていますが、治療を目的とする医師の読影と後遺障害を立証する私たちの読影は視点が違います。診断書を医師任せにした結果、多くの被害者は後遺障害を取りこぼしていると危惧しています。被害者さんは相談先を選ぶ際、その法律家が画像を観ているのか否かはもちろん、できれば読影力を推し量るべきと思います。「主治医に診断書を書いて来てもらって、内容を精査してから審査に提出するから」としか言わない相談先は不安ですよ。

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併合11級:橈骨遠位端粉砕骨折(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで渋滞の2車線道路の間を走行中、左側の自動車が急に車線変更したため衝突、右手首、左手甲を骨折したもの。その後、1年の通院を経て症状固定前に相談会に参加された。

【問題点】

まず画像である。粉砕骨折した橈骨を確認、骨折の割に癒合状態はまずまず。続いて可動域の計測をしたところ4分の3制限を計測。以上から12級6号を予断したが、これではあまりにも普通の対応。数多くの相談先から私たちを選んでいただいたが、期待に応えることができたのか?何か物足りなさを感じた。

【立証ポイント】

相談会後、画像を改めて読影したところ尺骨の茎状突起部が骨片化していることに気付いた。もちろん診断名はない。これは以前にも経験したパターン。早速、主治医に面談し、指摘したところ「あ、確かに骨片化しているね。これは手首に深刻な影響はないけど、診断名が必要なの?」と。そこで、後遺障害診断書に「尺骨茎状突起部骨折、癒合不良、骨片化」と改めて記載、長管骨の変形欄に「イ ...

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