異議申立ては等級の変更を主張するだけではありません。稀に同じ等級でも、誤った号が認定されることがあります。 これは調査事務所の単なるミスジャッジというより、提出した医証が不明瞭、不十分であるために起こります。12級であれば何号であっても自賠責保険金は同じ224万円です。しかし、号、つまり障害の系統は後の賠償交渉上、逸失利益の年数に大きく影響します。判例から12級13号(神経症状)は10年程度ですが、7号(機能障害)となれば67歳まで見込めます。若い被害者であれば差が何百万円にもなるのです。 号の変更申請はたまにあります。問題は等級が上がらないので私の成功報酬がないことです(泣)。 ⇐ ラックマンテスト
12級13号⇒12級7号:脛骨近位端骨折 異議申立(40代男性・静岡県)
【事案】
原付バイクでT字路前で停止中、左方より右折してきた自動車の衝突を受け受傷。その際、左膝脛骨を骨折した。骨折部をプレート、スクリューで固定し、1年半後に抜釘した。その後、リハビリを続けるものの、外出時に装具が必要で、疼痛も改善しなかった。さらに半年後に症状固定、後遺障害申請を行ったが、結果は12級13号。神経症状の評価に留まった。
【問題点】
委任を受けた弁護士より、異議申立の依頼を受けた。まずは読影である。装具を必要とするほどの症状であれば、靭帯の損傷を最初にチェックしなければならない。また、骨癒合状態に相応の変形、転位があるか、関節面の不整等も抑えるべきである。やはりと言うか、CT、CR上で骨折した骨頭部が斜め下後方に転位している様子が確認できた。これを膝の不安定性の原因に加え、検査のやり直しを進めた。
【立証ポイント】
まず最初に主治医と面談、事情を説明して立証作業の理解を得た。 MRIの再検査及びストレスXPを施行、靭帯を観察した。それらに動揺性をきたす程度の異常は認められなかった。関節面の不整は既にCT上で明らかだが、改めて確認できた。 次に伸展硬縮(膝がまっすぐ伸びない)による短縮障害も追求、下肢長の計測も加えた。左右の関節裂隙に差があるものの、脛骨自体の短縮は計測できなかった。 続きを読む »