交通事故で受傷してレントゲンを撮ったら「骨折」が見つかりました。被害者は「事故でこんなひどい状態に!」と騒然、相談に訪れます。しかし、診断名を鵜呑みにしません。まずは読影です。
受傷機転に不相応な骨折であれば、事故による新鮮骨折か陳旧性(古い骨折)か?、MRIにて区別しなければなりません。現場の医師がそれを判断できればよいのですが、残念ながらすべての整形外科医にMRIの読影能力が備わっているわけではありません。時には医師の診断名ですら疑います。
さらに、事故での骨折と思い込んだ被害者さんに対して、読影能力のない法律家は「〇級が認められます」と早とちり、すると、認定結果がでた後に依頼者のクレームと異議申立ての大合唱が待っています。
それでは、私たちの読影能力による冷静な対処をご覧ください。
14級9号:陳旧性・腰椎隅角骨折 (30代男性・埼玉県)
【事案】
車外から助手席の荷物を出そうとしている際、スリップした自動車に追突された。腰を痛め、レントゲンを撮ったところ、腰椎の角が折れていることがわかった。
【問題点】
まず弁護士が受任し、「隅角骨折」として依頼を受けた。受傷機転から、その衝撃で腰椎が折れるかをまず検証すべく、CT、MRI画像を読影した。やはりというか、MRI上、骨折部が新鮮骨折でなく陳旧性と判断できた。他にシュモール結節もあり、事故による損壊との認識はできなかった。
【立証ポイント】
診断名を鵜呑みに申請しても11級7号など望めないことはわかっていた。事前に依頼者を諭し、14級を抑えることを目標に申請を進めた。過度な期待を持たせればトラブルに発展することになる。このようなケースでも正確な読影力が不可欠なのである。
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